再就職した歯医者で開花した意外な才能! なんでどこでも頼られちゃうの? ギャンマネ(34)
出産後、金がなくて再就職した歯医者で、意外な才能が開花します。そこでも歯医者さんたちに重宝されますが、もう一度エキサイティングな出産を体験したくて......

公開日:2025/10/01 04:58
さて、長女を出産したのち、私はのんきに休んでいる場合ではない!と、速攻で仕事復帰を決めました。なんせ、借金を返し続けていたのと、住宅ローンもあり、母との同居、子供が生まれるという、夫婦二人の生活が一気に倍増し、生活費がとんでもなく嵩んできたからです。
子どもを持った経験のあるかたは分かると思いますが、子供が一人増えただけで、水道代とか目ん玉飛び出るくらい上がりますよね。
しかもこの私、母親が母乳が全くでなかったと言っていたので多分私も出ないだろうと例によって医学的根拠のない迷信を刷り込まれていたのですが、もうあふれんばかりに出て、2回も乳腺炎で高熱を出す羽目に。
「この無駄に出ている母乳を北朝鮮の子供に届けてあげられたら」と真剣に思っていました。当時、北朝鮮の飢餓が度々報道されていたんですよね。
そんな母乳がバンバン出ている最中にですね、出産わずか2か月後には母乳を止めて速攻で就活を始めたんです。ミルク育児の方、悩む必要なんかありません。子供はどっちでも健康に育ちます。母乳にこだわっていると、子供が預けられなくて困りますよね。大丈夫ですよ。
有名人御用達の歯医者さんに就職
私は、そんなことは全く気にせず、今度は歯医者さんに就職したんです。
ここがですね、有名人御用達の歯医者さんだったんで、ミーハーな私は楽しくて仕方がなかったですね。
余談ですが、売れっ子のタレントさんとか活躍しているスポーツ界、将棋界の方なんかがいても、こういう方々で傲慢な態度をとる人なんかいなかったです。めっちゃ謙虚で礼儀正しい方ばかり。
でも「あんまり売れてないけど、なんかのCMに出てる人らしい」——、この位の人が威張っていてこっちを見下してきて嫌な感じでしたね。売れるっていうのは、こういうことを含めて気が回るってことなんだろうなぁとその時学びました。
なぜか取り立て業務で能力を発揮
さて、再就職を果たし、歯医者さんの助手みたいなことをやらされたんですが、これが全く向いていない。もともと私はものすごく手先が不器用なので、細かい作業が苦手なんです。歯の型を取る印象材を練るだけでもできない。入社したとたん「こりゃダメだ」と思いましたね。
向いてないのでさっさと辞めようかなと思っていたのですが、なぜか院長先生に気に入られていて、受付業務に回されることになったんです。私は、ここでめっちゃ意外な能力を発揮することになりました。
それは何だと思いますか?
はい、「取り立て業務」です。
歯医者さんって本当に保険の点数が安いんですよ。保険診療ばっかやってたら潰れますね。だから先生方は自由診療素材の値段が高い詰め物等の素材を患者さんに入れさせたいんですよ。私の勤め先では、自由診療分の売り上げの一部が、歯科医にキックバックされる仕組みだったんです。
ところがそこの歯医者って当時カードが使えなかったので、金の詰め物とか、セラミックのかぶせものとか入れた人たちが、「ツケ」で帰っていくんですね。そんな馬鹿な!と、思いますけど本当なんです。実にザル会計で、性善説を元に診療していたんです。
だから診療が終わっちゃったら、代金を払わない人たちが何人もいたんですよ。そうすると先生たちのマージンも入らない。マージンが入らないと安月給でこき使われることになるわけです。
で、ありながら先生方も、このバックレている患者に取り立てもしなければ、制度を変えようともしない。ひたすら「いつか払ってくれるだろう」と、ギャンブラーの共依存の家族みたいなことを心の中で願っているだけだったんですよ。人って結局信じたいことを信じるんですよね。
ある日このツケの台帳みたいなものを引き出しから見つけた私。「これなんですか?」と聞くと事務局長が、「お金払わない患者たちのリストなのよ」なんてのんきなことを言ってるんですよ。なんじゃそりゃ!?って思うじゃないですか。
「じゃあ、私電話して払ってもらいますよ」と言ったら、事務局長のおばちゃんが「えっ!そんなことできるの。勇気があるわぁ」などと言い出す始末。「いやいや、あんたどこのお姫様やねん」と突っ込みたくなりましたが、そんなもんに勇気も何もいらない私のことを、ものすごく感心しているんですね。
なんでも取り立て業務は、本社の総院長秘書の男にやらせようということになっていたらしいのですが、(この歯医者は都内に3クリニックあり、本社がまた別にあった)この男の人が全く無能なんだか、度胸がないんだか、無知なんだかよくわかんないですけど、まったく取り立てに着手していなかったらしいんです。
簡単、簡単、あっという間に5人ぐらいから取り立てて
私の方は、受付業務もたいしてやることもなく暇だったので、どんどん電話をかけていって、出てくれた方に取り立てをしたんですね。そしたらあっという間に5人くらいが支払ってくれたんです。
めっちゃ簡単です。だってギャンブラーじゃあるまいし、金に困っている人が、歯医者に来て自由診療の素材を選んだりしないじゃないですか。しかも金でトラブルなんか普通の人たちは起こしたくないですよね。
そうしたら先生方からものすごく喜ばれた。
「ありがとう!他にもこの人も、この人もお願いできるぅ?今度奢るねぇ」なんて甘えられる始末。自分でやりゃあいいじゃんと思いましたが、こんなことで喜ばれ、暇な受付業務の時間が潰せて、しかも会社が潤うならまぁいいかと思って、私はひたすら取り立て業務に精を出すことになりました。
なぜ先延ばし?なぜ今できることをやらない?
何年も経ってしまった古い未払いもあって「これ、さっさとやらないと5年で時効ですよ」とデパート時代に得た知識で教えてあげると「そうなの!?」と院長はじめ皆がびっくりして、ついには他の2つのクリニックの債権まで取り立てすることになりました。
すると本社の本来取り立て担当だった秘書男が一度訪ねてきて「いやぁ、取り立てに詳しいって聞いたんだけど、どうやるの?」なんて聞いてくるから、はぁ???と思って、「どうやるって、普通に『払ってくれ』って電話するだけですけど」と答えます。
「なるほどねぇ」なんて感心されて「それでも払って来ない人は?」と聞くので、「そしたら『払わなければ裁判や強制執行するよ』って書いて請求書を出したらどうです」とアドバイスすると、「なるほど、なるほど。じゃあ、それでも払って来なかったら?」とまた聞いてくる。
「そしたら支払い命令申し立てしたらどうです」なんて、面倒くさいけど一応上司なので段取りを教えてあげたんですよ。院長も居たものですからこんなくだらないことを、いちいち重大そうに大汗かきながらこの男はメモを取っているんですよ。
こういう人っていますよね。今できることをまずやって、それでダメなら次を考えりゃいいじゃないですか。でも「それでもダメだったら?」と、先々のことばっか考えて、今やれることをやらない人。それってただ目の前にあることが苦手で先延ばししているだけなんですよね。
でもプライドが高いので「僕、そんな取り立ての電話なんてかけられないです。だって相手がどんな人か分かんないし、怒られたら怖いから」と、震えたリスのようなことを考えているんですけど、それを絶対に言えないんですよね。なので「やってる感」を出す。いかにも「勉強しています。やる気はあります」みたいな感じ。こういう人が上司だと悲惨ですよ。全く物事が進まないですから。
スタッフ:「なんで取り立てしないんですか?」
リス男:「もし電話をして相手が怒って、支払わない理由に診療の不備などをあげられたら、こちらを訴えられる可能性があります」
なんて架空問答ですけど、こんな感じになるでしょう。こういう人に何かを任せたり、相談したりすると物事が非常に大げさになり、その上一歩も進みませんから要注意です。
マジでバカバカしい。こんなところは長く勤めても未来はないなと、私はこの時悟りました。その上、ガンガン取り立てしてあげたので、先生方にマージンが何十万と入ってきたらしいのに、結局誰も奢ってもくれませんでした。その上、私のことはみんな口先で「ありがとう!」とか「すごい!すごい!」なんて言ってくれましたけど、一銭も入らなかったのです。
エキサイティングな出産をもう一度 歯医者を退職
その頃の私は、あまりに出産がエキサイティングな経験であったことから、もう一度経験したいなと思ってもいました。そこで夫に「ねぇ、もう一人子供作らない?」と持ち掛けてみました。
それまでは自分が一人っ子だったので、「子供は1人でいいな。それも娘なら最高だな」と言っていたのですが、とにかく出産が面白すぎたんですよね。
だって十月十日もお腹の中にいた生物がですよ、にゅる~っと出てくるんですよ。その快感ったらなかったです。もちろん安産だったからそう思ったんでしょうけど、こんな経験はもう他ではできないなと思ったんです。
夫のほうは三人姉弟の末っ子なので、もちろん第二子出産には大賛成でむしろ「子供は一人だけかと思っていたから嬉しい」と言っていました。
そこで私はまた妊娠して、さっさとこの歯医者を辞めることにしたんです。その頃の私は、「短期で辞めるには妊娠という口実が一番!」と思っていました。妊娠なら引き止められることもない。2000年初頭なんてまだまだそんな時代でした。
今度は都立病院総務のバイトへ
そしてこの歯医者でめっちゃ惜しまれながらも、まんまと辞めた後は、もう妊娠5か月目ぐらいに入っていました。お腹も目立って来ていたのですが、お金が全くない私は、ここからさらに某都立病院の総務のバイトにもぐりこんだのです。
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