元夫がギャンブラー!シングルマザーと子どもたちを助ける「子ども基地」を作りたい
ギャンブラーの元夫がいると、離別、死別した後も、シングルマザーや子どもたちは経済的、精神的に苦境に立たされがちです。ギャンブル依存症問題を考える会は、そんな仲間を助けるべく、つらい思いをしているシングルマザー家庭の母子が集うことのできる「子ども基地」を作ります。クラウドファンディングで改装費の寄付を募ります。

公開日:2025/12/27 23:04
私が、ギャンブル依存症問題を考える会を2014年に立ち上げた時は、ギャンブル依存症問題がこんなにも多岐に渡ってくるとは思ってもみませんでした。昨今、顕著になってきた問題の一つに、ギャンブル依存症者との離婚や死別(ギャンブルによる自死を含む)した「シングルマザーの就労と子供たちの不登校問題」があります。特に子どもがまだ低学年の場合、シングルマザーが不登校離職をせざるを得なくなり、これが今、当会と連携するNPO全国ギャンブル依存症家族の会の大問題となっています。
現状を調査しようとこの度、当会では家族会のシングルマザーを対象にアンケート調査を行いました。
調査結果から見えたギャンブル依存症者の元妻と子供たちの苦境
調査結果から、ギャンブル依存症者の元妻とその子供たちの苦境が見えてきました。
(N=85)
Q1)元夫が使い込んだものはありますか?(複数回答可)
ある98.8% ない1.2%。ないと答えた人はたったお一人でした。


ご覧頂いた通り、ギャンブル依存症者と離婚や死別した時には、預貯金や子供のための学資などが使い込まれ、シングルマザーはすでに家計に余裕をなくしています。
Q2)夫との離別や死別を経験し、子供に変化はありましたか(複数回答可)
はい56.5% いいえ43.5%。半数以上の子供のメンタルになんらかの不調が現れています。


Q3)養育費を受け取れていますか。
はい57.1% いいえ42.9% 半分近くの方が養育費を受け取れていません。

元夫が回復もせず、養育費も支払われず、子供も不安定なのがもっとも深刻なケース
これらのデータからギャンブル依存症者と離婚の末にシングルマザーとなったといっても、そこから生じる問題は様々ですが、大きく分類すると以下の4つになります。
1)元夫も妻も支援団体に繋がり回復し、子供も安定しているケース
これまでの様々な経過などから、結局離婚を選んだけれども、当会や家族会といった民間団体に繋がり両親ともに回復し、離婚しても子育ての協力をしあい、養育費も支払われているケースです。
「お互いにとって離婚したほうが良い距離感が保てむしろ健康的な関係性になった」と皆さん口にします。
子供たちのメンタルも安定していて保育園や学校にも通え、両親ともに就労できていてギャンブルで多くの財産を失ったと言えども、今は経済的にも安定しています。
2)元夫も妻も支援団体に繋がり回復したが、子供はメンタルに不調があったり、不登校になっているケース
1)のケースと同様、夫婦仲は離婚したとはいえ協力関係にあるのですが、子供のメンタルに不調が出たり、不登校になったケース。母親が在宅勤務になる、ベビーシッターなどを依頼する、実家の親に子供の面倒を見てもらうなど、使える支援全部を総動員してできるだけ離職しないような検討をしてはいるのです。でも、夫がまだ借金返済中とか、そもそも年収が低いなどの理由で貰える養育費が低い、親を頼れない、妻の働ける時間が減り年収が激減などのケースでは、ジリジリと貧困に陥っていきます。
3)元夫は回復しないままだが、養育費は払ってくるケース
夫のギャンブルは止まっていないけれど、収入が高い、もしくは勤め先を変えておらず仕事を続けられている場合で、離婚時に公正証書などの取り決めもあれば養育費を貰い続けることができます。面会交流などで、時々子供を預かってくれたりもできますが、ギャンブルの否認を続けているため意思疎通ができなかったり、元夫側が早々に再婚するケースもあります。
この場合も、子供に不登校などの問題がでると、シングルマザーの就労状況は一気に悪化します。
4)元夫が回復せず、養育費は不払いで子供が不登校となり妻が就労できなくなるケース
このケースが最も重大な問題となり、一気に貧困に陥ります。それでも預貯金があれば、子供が一人でお留守番ができる年齢になるまでギリギリ持ちこたえることができますが、元夫がギャンブル依存症の場合は、預貯金も使い込まれています。
その上、前年までしっかり正社員で収入があった場合など、退職した翌年は社会保険料も高額です。
さらに、シングルマザーがIT業務に長けていれば、在宅勤務も見つかりやすいのですが、サービス業や看護師・保育士・薬剤師・教師などの職業経験しかない場合、在宅での仕事がなかなか見つかりません。
これらの状況から特に4)のケースに対し、サポート体制を整えることが私たちの急務となっています。
子ども基地を作ろう!
当会や家族会は、ギャンブル依存症に関する全ての問題を、仲間たちと力を合わせ解決に取り組んでいます。
そこで私たちは、不登園、不登校になった子供たちを預かれる仕組みを作れないかと考えるようになりました。元々、東京には子育て支援が充実している地域に、ギャンブル依存症者と離婚したシングルマザーが集まってきていました。
そして学校に行けない子供達も、家族会開催中に子供を預かる保育の時には、「仲良しがいれば、そこには行くことができる」という話も聞いていました。
そして当会や家族会の強味は何といっても人材が豊富なこと。元教師や元保育士といった、ギャンブラーの親たちがいます。定年退職後と言っても、今の60代70代は元気です。こういった人たちが、子供たちを預かれたらいいなと漠然と考えていました。
更に、不登校になっていて働けなくなって困っているシングルマザーの中には、子供に関わる仕事をしていたり、子供にアートなどを教えられる人もいて、「自分の子供を連れて、ここに来ればいいんじゃないの?」「そしてここでお給料が出せたらいいよね」と話し、対策を考えていました。
そんな時に、ちょうどよい物件と出会えたのです。
一目見た時に、「運動不足になりがちな子供たちが遊べるよう、壁面をボルタリングにしよう」「キッチンも入れて、シングルマザーが働きだしても焦って帰ってこなくていいように、食事を提供したら相当楽になるんじゃない?」とこの二つを咄嗟に思いつきました。不登校で困っているシングルマザーに話すと、「それができたらすごく助かる」とのことで、お金の算段は全くありませんが、物件を借りることにしました。
ギャンブル依存症家庭に生まれた子供たちにできること
私自身もギャンブル依存症家庭に生まれ、大変な貧困家庭で育ちました。子供時代や思春期には良い思い出が全くありません。雑貨屋をやっていた母は働きづめでしたし、今振り返ってみても貧困による視野の狭さや、体験格差などが、私の生きづらさに繋がっていたと思います。
そして「なぜうちには父親がいないのだろう」ということは、ずっと謎でした。母は私に父親のことは話したがらず、我が家は依存症家庭特有のファミリーシークレットで満ちていました。「聞いてはいけない」「話してはいけない」「大人の顔色を察しなくてはいけない」そんな息苦しさの中で過ごしました。
もちろん回復しなかった父親は、我が家に一度も養育費を入金してくることはありませんでした。
ギャンブル依存症の家庭に生まれてくるということは、子供たちはそれだけで大きなハンディキャップを背負っています。両親の喧嘩や冷たい空気を目撃したり感じたり、父親が度々失踪しているかもしれません。貧困ゆえに友人たちがたやすく手に入れられるものを、自分はなかなか与えられないかもしれません。それどころか父親が自分のお小遣いやゲーム機を盗んだり、売り飛ばしてしまうこともあります。
今年の啓発動画では、そんな様子をドラマにしました。
父親が家庭内窃盗だけでなく、犯罪者になることもあります。母親もお金に異常に執着するようになったり、うつ病や心の病を発症するかもしれません。突然、出て行ってしまうかもしれません。そして中には親の自死を経験する子供もいます。決して大げさな話ではなく、これは私たちの日常です。
依存症という病気は、過酷で残酷です。子供たちに様々なメンタルの影響があったとしてもおかしくありません。
だからこそギャンブル依存症者の元夫と離婚し、シングルマザーとなり奮闘している仲間たちが孤立しないように心を砕いています。
そして子供たちには、学校に行かなくても、できることや得意なことを伸ばし、学校や就職というレールに乗らなくても、現代は幸いなことに趣味や特技で生きていける時代だよと伝えていきたいと思います。
専門家や講師を招き、ITや宇宙開発、アートやゲーム、料理や手芸といった様々なものを体験してもらおうと思っています。
「子ども基地」は、親がギャンブル依存症という病気を背負っていても、人との繋がりや、助け合いで人生を生き抜くことができる、「楽しいことや好きなことをやり続ければいいんだよ」ということが体感できる居場所にしたいと思います。
「また来たい!」と思ってもらえるよう、内装も明るく楽しいものにしたいと思います。
クラウドファンディングで寄付を募ります
1つのシングルマザー家庭ではできないことが沢山あっても、同じ境遇の仲間たちが集まれば叶えられることがあります。
今回、幅広く支援を募るためにクラウドファンディングで寄付を募ることにしました。
クラウドファンディングのご寄付はこちらから。
800万円は、「子ども基地」の改装費として使わせて頂く予定です。
皆様方の、温かいご支援のほど、宜しくお願い致します。
