私が反発してきた母親と同居した理由 ダメ男に翻弄され続けた一族のリベンジを ギャンマネ(33)
再婚して、子供も生まれ、気がつけば、ずっと反発していた母と同居を始めた私。その背景には、親族の複雑な人間模様がありました。

公開日:2025/09/08 01:47
連載名
ギャンマネなぜ私は反発していた母と同居することになったのか
さて、無事娘を出産した私ですが、とにかく借金がありすぎて暢気に専業主婦をやっている場合ではありませんでした。また、出産を期にうちの母親が67歳まで頑張って働いていたコンビニの仕事を辞め、我が家に同居することになったので、私は出産後すぐに再就職をしました。
ちょっと我々の結婚生活とは脱線するのですが、この「なぜ母と同居することになったのか」。我が家の深い闇、これが私のアイデンティティの重要な鍵となっているので今回はそのことについてお話したいと思います。
イケメンで優秀だった叔父
うちの母親は5人兄弟の2番目。長女、次女(母)、長男、三女、次男という兄弟姉妹がいました。うちのギャンブラーの祖父というのは、若い頃めっちゃイケメンだったらしく、我が家の叔父・叔母のうち長女、長男、次男というのはお祖父ちゃん似で美男美女、残念ながら母と三女はお祖母ちゃん似だったんです。
で、この母のすぐ下の弟たちというのを、両親はことのほか可愛がった。母のすぐ下の弟に関しては、あのクソ貧乏な家庭にもかかわらず、開成高校に入れたくらいなんです。そんなもんだから二人ともめっちゃモテた。
しかも、長男は大人になると四大証券に入ったもんだから、ますますモテて速攻で謎の女と結婚したんです。遊んでいた女子の一人で叔父は逃げたかったらしいのですが、「妊娠した」ということで、お祖母ちゃんが「子供ができたなら」ということで無理やり結婚させた。
ヒステリックな叔母が虐待していた従姉妹
これが全ての悲劇の始まりだったんです。モテモテの叔父は、もちろん結婚出産なんかで家庭になんか収まらない。その上、叔母になった人というのが、ものすごいヒステリックというか、エキセントリックな人で、生まれてきた娘、つまり私の従妹を虐待したんです。
叔父は娘が虐待されているというのに、仕事も忙しかったでしょうが、遊びまくってもいて家に帰ってこない。ついにブチ切れた叔母は、叔父が仕事中にですよ、会社に1歳の娘を連れて乗り込んできて、机の上にドンと置いて「あなたが面倒見て下さい」と言って帰っちゃったんだそうです。怖っ!強っ!
慌てた叔父は、娘を抱っこして我が家にやってきた。叔父は母に「娘の面倒を見てくれ」と頼み込み、なんとこの従妹が我が家で一緒に暮らすことになったのです。
もちろん私は大喜びだったようで、1つ違いの私たちは、ここから姉妹の様に育ちました。でも当時の母の心境はいかばかりだったのか?と思います。
母や祖母が言うには、「梨美(仮名)が来た時には驚いた。ご飯は不二家のミルクキャンディだったらしく歯が全部虫歯だった。その上、お櫃に入っていたご飯を手づかみでむしゃむしゃ食べだして、飢えていた」って言うんです。「あの女と結婚させたのは失敗だった」。祖母はしきりに言っていて、私もそんなもんかと思っていましたが、今思えば、叔父もひどすぎるだろ!と思いますね。
母親が従姉妹を連れ去り
そして幼稚園時代に事件が起こります。ある日突然従妹の毒母が、こっそり裏口から忍び込んで従妹を抱き上げ、さ~っと連れ去っていったのです。
私達は驚いて大泣きです。従妹が「姉ちゃ~ん」と叫んで私に手を伸ばしていた光景は忘れられません。私は慌てて表に飛び出し、店の前で客とくっちゃべっていた母と祖母に、「梨美ちゃんが連れていかれた!」と叫びます。
母親は「えぇ!」と言って走り出し、お祖母ちゃんは私に「紀子、タイガー行って爺さん呼んで来い!」と言ったのです。タイガーと言うのはもちろん、近所にあったパチンコ屋です。私は泣きながらパチンコ屋に走り、お祖父ちゃんを見つけると「お祖父ちゃん、大変だよ。梨美ちゃんが変な人に連れていかれたよ」と言います。さすがのお祖父ちゃんも慌てて帰ってきました。この日のことは、まだ幼稚園だったというのに、くっきりとまるで映画の様に覚えています。トラウマですよね。
このあと、母が叔母を連れ戻し、叔父も呼ばれたのですが、結局従妹は毒母に引き取られていったのです。この大人たちの決定による私の喪失感は大きかった。しかもですね、従妹は少し成長し、小学生になると度々我が家に家出をしてきたのです。その度に私は「梨美ちゃんを引き取ってくれ」と泣き、従妹も帰りたくないと泣く。今考えるとあの幼少期は地獄でしたね。従妹は「母親にはさみで殴られた」とか暴力を訴えてきて、この時は大人たちも驚いていましたが、やはりうちで引き取ることにはなりませんでした。この辺りからですね、私は我が家の大人たちにとことん失望していました。そして何もできない自分が歯がゆく、「早く大人になりたい」こう思っていました。
やがて従妹も成長し、高校生になるともうしょっちゅう我が家に来たり、一緒に遊びに行ったりするようにもなりました。バブルの頃は、以前ギャンマネにも書きましたが、この叔父が証券会社でめちゃくちゃ出世し、ハイヤーで我々を遊ばせてくれたんです。
あれはなんなんでしょう?罪滅ぼしなのか分かりませんが、しょせん貧乏人の成り上がりだった叔父には、そういうキラキラした償いしか思い浮かばなかったのかもしれません。
バブル崩壊で叔父が自殺未遂 金の亡者に
そしてこの叔父が、次期社長と目されていたのに、バブル崩壊後の損失補填問題で失脚することになり、その退職金を全て投資に突っ込み自殺したんです。あの時代、バブル崩壊は一時的なものと思われていましたが、結局、3億円もの負債を抱えた叔父は60代の若さで亡くなるのですが、一度目の自殺未遂となったこの時は生き残りました。叔父は「政権に裏切られた」とものすごく恨んでましたね。
この生き残った時に、叔父はなんと他の兄弟を焚きつけて、ほんのわずかしかない、当時死にかけていた祖父の預貯金を狙ってきたんです。一度など、病院で実印と通帳を盗み出したりしたんです。もう本当に驚きましたよね。あの我が家で一番出世し輝いていた叔父が、こうも落ちぶれるのかと思いました。
第一、祖父の預金と言ったって、それはうちの母が馬鹿みたいに祖父の名前で貯金していたに過ぎないんですよ。だって働いていたのは母なんですから。それを兄弟姉妹全員判っているんですよ。金って本当に恐ろしいですよね。絶対残すもんじゃないと思いますね。
母は、祖父母の介護を押し付けられ、そしてそれはつまり私にとばっちりが来て、私が一度目の結婚の時にかなり介護を引き受けていました。その上ですよ、幼い頃従妹の面倒まで見た。それなのに、稼ぎが良い時はいい気になって散々遊びまくり、最後の最後自分がヤバくなったら、今度は貧乏な母親から数百万にすぎない預貯金をむしり取ろうとしてきた。
もちろんそこでただ愚痴ったり、嘆いたりしている無能な母親に代わって、私が速攻で弁護士に相談し、祖父母の介護と葬式に使うということで、全額下ろしてしまったので、奴らにぶんどられずに済みましたが。
兄弟姉妹と断絶した母
細かく書くとキリがないのですが、こんな経緯があって、我が家は母とその他の兄弟姉妹とは、これを期に断絶しました。私も祖父の葬式で叔父叔母、そしてあの従妹と会ったのが最後です。
母は、一番下の弟が経営していたコンビニで、それこそ15年間殆ど休みもなく働いていたのですが、社員寮のような形で住んでいた家からもこの時追い出され、私に「そっちに行くから」と連絡を寄越し、同居することになったのです。
この一番下の叔父も、めっちゃイケメンだったため、当時区の高額納税者の娘と結婚し、婿に入ったため大金持ちになったんです。それなのに、この弟も上の兄貴と共謀して、母から金をむしり取ろうとし最後は追い出した。
母は、祖父母にとって最も役に立つ子供でありながら、最も大事にされませんでした。叔父たちは、母を利用するだけ利用した人たちでした。
私は、かなり若い頃から母のことを馬鹿にしていましたが、同時に「可哀そう」という気持ちが拭い去れませんでした。母は私にだけ強い人だったんです。そして私はそれを早々に見抜ける子どもでした。私が母の圧に負けていたのは中学生までです。高校に入って自分で稼げるようになってからは「こいつらの言うことを聞いていたら不幸になる。稼ぎの良い男を見つけなきゃ」と思い、目線を外に向けてきました。この自分のコミュ力には心から感謝したいですね。
母と同居 従姉妹のリベンジで人助けに
けれどもやはり最後の最後は母と一緒に暮らすことを選択しました。あまりに速い展開で、叔父たちの圧にあい母が家をなくしたのと、私の働きたい思い、さらにギャンブルでの借金、様々なことがあっての結論でした。
忍耐だけが取り柄の母。周りの男たちに良いように利用され、愚痴は子供に聞かせる。幼い頃、母がなぜ従妹を引き取らなかったのかわかりませんが、我が家はそういう理不尽なことが平気で起こり、どうしょうもないダメ男に翻弄された家だったんです。今、かつての我が家のような家族たちの相談を聞くにつれ、私は必死に助けを求めてきたのに助けられなかった幼い従妹のためにリベンジするように「しっかりしな!私がついてる。絶対この地獄から抜け出すんだよ」という気持ちでいます。
うちの夫は、「母が家を追い出されたんで同居したいんだけど」と言うと「あっそう。りょうか~い」みたいな軽い感じで、良いも悪いもなく受け入れてくれました。
そしてこの同居のお陰で、私たち夫婦は回復することができたと思います。過去の選択を正解にしていくには、結局自分が今どう生きるかなんだよなと思います。
左卜全さんじゃないですが(古すぎ!)ここから始まる我が家の「老人と子供のポルカ」はまた次回!
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