大安にまさかの長男が爆誕! 病室でも築いたママたちの仲間の輪 ギャンマネ(36)
不正雇用の病院で出産ギリギリまで働いていた私。陣痛が来るとあっという間に長男が生まれ、病室でもママたちと仲間の輪を作ってしまうのでした。

公開日:2025/11/12 03:45
連載名
ギャンマネとにかくぎりぎりまで働きたい
さて、某都立病院の掃きだめのような職場で本領発揮し、不正雇用で働いておりましたが、どんどんお腹が大きくなりいよいよ臨月を迎えました。
皆さんに「産休はとらないの?」なんて聞かれましたが、「おめ~らみたいに、休んでも給料が貰える立場じゃないんだよ!」と、はすっぱな気持ちを隠しつつ、「そうですね、いつからにしようかなぁ」なんてはぐらかしていました。お陰さまで、めっちゃ健康体で特に不定愁訴もなかったので、時給労働者の私の本音としては「とにかくぎりぎりまで働きたい!」この一心でした。
大安に陣痛がやってきた!
そして、予定日2週間前の朝、出勤準備をしていたら陣痛がやってきたのです。
実は私、この日が大安だったので、この日に産みたいなぁと思っていたら、ちゃんと陣痛が来たんですね。信じて貰えないかもしれないんですが、上の娘も「この日が大安だから、この日に生まれて欲しい」と願っていたら、ちゃんとその日に陣痛が来たんです。脳と身体の不思議な神秘の世界。ギャンブラーはゲン担ぎが大好き、大安が大好きなんですよね。
「お~陣痛がきたから、病院に行かなくちゃ」と夫に言い、休みを取ることにしたのですが、当時はまだスマホもLINEもないので、職場にはFAXで「すみません。今朝陣痛がきたので、今日から産休を取らせてください」と書いて送りました。
そして入院準備をしていなかったので、陣痛の合間を縫って、用意をしていたのですが、一人目の体験から「まっ、陣痛なんか来たって、そう簡単に生まれないわ」と余裕をかましていたら、なんか間隔がどんどん短くなって、あっという間に10分間隔を切ってしまったんですね。
夫に「もう病院行った方がいいかも」と言ったら、焦って車を出してくれました。途中で「あっ、コンビニ寄って。水忘れたから」と言ってコンビニに寄ったら、そこでもう陣痛が5分間隔になり、レジ前でうごけなくなるアクシデントも。
どんどん早くなる陣痛に、「あれ、けっこうやばいかも」と思いました。病院の受付をしていると、また陣痛が来て動けなくなり、収まったのであわてて診察室に入ると先生がすぐに「これはもうすぐ陣痛室へ!」なんて焦った声を出され、私は車いすに乗せられると、看護師さんが猛ダッシュで陣痛室に連れて行ってくれました。
そして婦長さんが「今日は学生に実習をさせてもいいですか」なんて挨拶されたんで「はい、もちろん大丈夫です」と答えたのですが、切羽詰まっていることに婦長さんも気が付くと、剃毛だなんだと前処置の間中、学生さんに「早く!早く!産まれちゃうわよ!!!」なんて、叫んでいるので、自分のことより学生さんが心配で気が気じゃありませんでした。
前準備が終わると、すぐに分娩室に移動です。
超安産で予想外の息子が爆誕!
私としてはですよ、あのエキサイティングなお産をもう一度味わいたくて妊娠したのに「えぇ、こんな慌ただしく、もう分娩なわけ」「もう終わっちゃうの?やだぁ」ってな気持ちが強く「はい、もうイキんでいいですよ」なんて言われても、もうちょっとこの大騒ぎを味わいたくて我慢してみたりしました。でも、「はい、イキみましょう」なんて言われて、あっさり生まれてきた息子。
診断の時には「女の子」と言われていたので、看護師さんに「男の子ですよ」と言われ、第一声は「えっ!?男ですか?」と驚きの声をあげてしまいました。
でも自慢じゃないですが息子は、看護師さんたちが「わぁ、かわいい!」と言ったくらい、産まれてきたときは本当に可愛く「こりゃ、ジャニーズも夢じゃない!」と思ったものでした。でも、ものすごい速さで太っていき、半年後にはジャニーズから二子山部屋に変更になりましたが。
6人部屋で大おしゃべり大会!ここでも中心人物に
そして産科の大部屋に移動になったんですが、私は6人部屋の真ん中のベッドだったんですね。私、閉所恐怖症なので、四方をカーテンに囲まれているのがもう息苦しくて無理なんですよ。だもんで、ベッドにつくと「今日、出産した田中です。よろしく。あのカーテン開けていいですかぁ」と聞いて、前も両隣もカーテンを開けちゃったんです。
そもそも産科って幸せに満ちているじゃないですか。もうみんな気が良いというか、浮かれてるわけですよ。それで皆さんにOK貰ったんで、私たちはカーテン全開で、自己紹介から始まり、出産の様子とか、大おしゃべり大会になったんです。すると前の列の人たちも、全開にしてきて、おしゃべりに花が咲く。
窓際の二人は切迫早産を防ぐための入院で絶対安静だったのですが、もうあまりにみんなの話が面白すぎて「やだぁ、安静なんだから笑わせないでぇ!」なんて悲鳴があがるほど。お掃除のおばちゃんにも「ここはいつも賑やかねぇ」なんて言われてしまうくらい仲が良くなりました。
舅や姑の愚痴なんかもあって、そういう話を聞いた後に、その人たちが面会に来たりすると全員で聞き耳を立て、お帰りになったあと「マジで、疲れるお舅さんだね!」「すごい強引」とか、みんなで「大変だよね」「でも、あんなに立てているなんて偉いわ!」「頑張ってるよね」と、エールを送ったりしました。
うちの夫が帰った後は「田中さん、ご主人年下でしょ」なんて言われて「やっぱ判っちゃう?」「いくつ年下?」「6歳」「なんで知り合ったの?」「闇カジノ」「ええええええええ!」なんて会話があって、本当に楽しかったです。
もう一人は「言いにくいけど、実はうちは15歳年下なの」なんて、強者もいて全員が「えぇ!羨ましい。なんで知り合ったの」ってな話から、これがまたものすごい大恋愛話だったので、みんなで「今日は感動で眠れないわ」なんて話をしながらグウグウ寝ました。
入院費、出産一時金の範囲に抑えるには?
こうして出産を終えたばかりのマダムたちとのおしゃべりは最高に楽しかったのですが、問題は入院費です。当時は、出産一時金が25万円しか出ないのに、ここの病院は1週間もいさせてくれるので、(娘の時は4日で、しかも陣痛室で過ごす羽目になったので格安で済んだ)費用が45万円にもなるとの噂を聞いていました。
優雅なマダムたちに囲まれながらも「20万円もの差額を払っちゃいられねぇ!」と一計を案じた私は、「年子の上の子が、ママがいなくて夜泣きがひどい」といういかにもありそうな嘘を思いつき「前の病院は4日で出られました。さっさと退院させて下さい」と医者と婦長に食って掛かったところ「アメリカ人みたいだね」と驚かれ、「まぁ、アメリカ人は1日で退院するもんね。わかりました!」と言ってくれて、またしても25万でおつりがくる日数でまんまと退院することに成功しました。
同部屋の幸せマダムたちからは「えぇ!田中さん、もう退院するの!?寂しいわぁ」なんて言われましたが、「うん、上の子が年子なんでぇ」なんてこんな時だけ良い母親ぶって、すたこらさっさと退散しました。
わざわざ産休を縮めて職場復帰
そして年子のてんてこ舞い育児に突入したのですが、「こりゃ働いた方が楽だな」とすぐに思い至りました。それに、なんといっても夫のシングルインカムでは、住宅ローン、車のローンと、当時まだ500万くらいは残っていた借金が払えなかったので、なんとか職場復帰をしたいと考えました。
退院後、不正雇用の病院に電話すると、「再雇用は可能」とのことでした。そしてすぐにでも復帰しようとしたらですね、何と法律で産休とやらが規定されていると言うんですよ。皆さんご存じでした?産後は8週間産休があるらしくて、こんな時だけ公立病院なものですから「8週間は休んで下さい」って言うんですよ。
おいおい所詮不正雇用じゃんよ!と思ったのですが、6週間は就業が絶対に禁止だけど、医師の診断書があれば8週間を6週間に縮めて復帰できるってことだったんですね。
ですから、もちろん診断書を貰いに行きましたよ。
でも医者も当時だったからでしょうか「そんなケースは初めて聞きました」と驚き「診断書になんて書けばいいんですか?」と聞いてくる始末。
そんなのこっちもわかんないので「『この人、元気です!』って書いてください」と言ったら、若い女医さんでしたけど、人って目を白黒させるってこういうことを言うんだなぁという顔をされていました。
封をされたので結局なんて書かれたのかわかんないですが、こうして私は、出産日まで働き、6週間後にはまた復帰できたのです。
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