Addiction Report (アディクションレポート)

第三章「回復編」の幕開けです!ついに医療機関、自助グループにつながる ギャンマネ(40)

ついにギャンマネも第三章「回復編」に突入です。ギャンブルがやめられない夫とやっと精神科クリニックを受診した私。そこで自分も病気だと告げられて、自助グループを紹介されます。それが、今に続く仲間たちとの出会いでした。

第三章「回復編」の幕開けです!ついに医療機関、自助グループにつながる ギャンマネ(40)
子煩悩な夫と、ギャンブルの借金を繰り返す夫。どっちが本当の姿か分からない、と思っていたころで

公開日:2026/02/07 04:51

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連載名

ギャンマネ

「回復」とは、生き方を変えること

さていよいよこのギャンマネも回復編となりました。

我々当事者家族が心から伝えたいと思うのは、回復というのはただ単に依存が止まることではないということ。生き方を変えることです。

そして、私が大事だと思うのは、生き方を変えるってことは、心の安定と共に、経済的な不安も取り去ることだと思うんです。

大体、ギャンブルだけに限らず、人って金にとらわれていますからね。

無くても不安ですけど、いくらあっても不安なもんなんですよね。

このギャンマネは、単なる節約本でも「これで儲かる!」みたいなエセ経済本でもない、経済的な不安を取り除くことに主眼を置いていますので、是非、回復編もお楽しみください。

本と映画の影響で精神科病院に抱いていた誤解と偏見

さて、夫と共にギャンブル依存症の専門医なるものを発見した2004年の2月、私たち夫婦はさっそく行ってみることにしました。でもですね、当時はまだまだ精神科ってメジャーじゃないし、どんなところなんだろ?と一抹の不安がありました。

今では、メンタルクリニックなんてゴロゴロありますけど、当時はやっと「うつ病って病気らしいよ」ぐらいの感じです。あの世の中に大ブームを起こした、細川貂々さんの人気漫画『ツレがうつになりまして。』の発売が2年後の2006年ですからね。あの漫画でだいぶ世の中の精神科の敷居は低くなったと思いますが、その前って「精神科」と言えば怖いやつしかなかったんですよ。

私の精神科の教科書と言えば、大熊一夫さんの大ベストセラー『ルポ・精神科病棟』。短大時代に、興味半分に読んで、「精神科とは信用ならないものだ」と、心に深く刻んでしまっていました。なぜバブル短大生ながらにそんなルポを読んだかと言えば、ちょうどその頃、患者を殴り殺した宇都宮病院事件という精神科病院での事件が、社会で大問題になっていたからなんです。

そしてですね、私ってこういういまだに覚えているようなインパクトの強い本を読んだりすると、その関連のものを折に触れ観たり読んだりするところがあるんですよ。良くも悪くも「飽きるまで、とことんまで追求する!」という気質。

そして80年代後半に世の中にレンタルビデオブームがやってくると、精神病院に興味があった私は見ちゃったんですよ、あの名作映画『カッコーの巣の上で』を。

はい、もうこれでスリーストライクですね。ジャック・ニコルソンの名演技とルイーズ・フレッチャーのこっわ~い看護婦長役で、精神病院への誤解と偏見が一丁上がり!です。

これで私の中では、「大騒ぎをする患者さんを、無理やり部屋に閉じ込め、ロボトミー手術を行う」こんなところだと思っていたので、「診察では精一杯礼儀正しくしよう。ガクブル」なんて思いながら夫とおっかなびっくり向かいました。

報道やエンタメって標準モデルから外れたケースを、クローズアップするんですよね。だからその分野に知識や経験がない人は、逆にそのレアケースを標準ケースだと勘違いしてしまう。ホント気をつけないとダメですね。

「ご主人はギャンブル依存症」「奥さんあなたも病気ですよ」

さて、実際に「こまごめ緑陰診療所」に到着してみると、別にその辺の内科と全然変わらない。騒いでる患者さんもいないし、受付があって待合室がある。確か1人か2人患者さんが座っていたような気がしますが「なんだ、全然普通だな」と、ほっとする気持ち半分、拍子抜け半分でしたね。

そしていよいよ福田博文先生に診察して頂いたのですが、「ご主人はギャンブル依存症」「奥さんあなたも病気ですよ」ってなことを言われまして、やっぱそうなんだと思いました。福田先生の「奥さんあなたも病気」の病気は、ギャンブル依存のことを言ったのか?共依存のことを言ったのか?今となっては分かりません。

でも先生の「自助グループに行きなさい」という後押しに、私はギャンブルの家族の自助グループに繋がりました。

「ギャンブル依存症という病気です」

こう言われた時の仲間たちの反応は様々ですが、私は「病気って、なんだそれ?」と思いながらも、とりあえず理由がわかって、ちょっとホッとした気持ちもありましたね。だって人間理由がわからないことほど怖いこと不安な事ことってないじゃないですか。でもとりあえず病気なんだってことがわかったんで、なんとかやれることはあるんだなと思いましたね。

ただ、精神科に偏見を持っていたのと同様、ギャンブル依存症?なんて言われると、場外馬券場でアルバイトをしていた頃に散々見た、ワンカップ片手に、競馬新聞をにらみながら、赤鉛筆で予想を書きなぐっている、歯のないおじさんみたいなイメージがあって、どうにもこうにも夫とのイメージとギャップがありすぎました。

当時の私も、誤解や偏見しかなかったんですよね。あれから20年経って、今でもあまり社会の理解は変わっていませんが。

なので先生に「大学出のサラリーマンでも、ギャンブル依存症になるんですか?」と聞いてしまいました。すると先生は「東大出の官僚でもなるよ」とおっしゃっていたので、そうなのかなあと半信半疑な気持ちでした。

自助グループ?危なくない?

また自助グループについてですが、色々検索していた時に、自助グループのホームページも見てはいたんですよね。でもそこには「ハイヤーパワー」とか「神様」なんて書いてあったんで、「危ない。危ない。うっかりこんなところに行かないようにしなきゃ」と思っていたので、「えぇ!?先生、あそこのホームページを見ましたけど、危ない団体じゃないんですか?」と聞いてみると、「全然危なくないよ。むしろあそこしか治る方法ないよ」くらいな感じで、言われたんです。

まあ天下の医者がそういうなら、大丈夫なんだろう、とにかく他にやれる方法もないし行ってみるかと思いました。

こういう自分が尊敬できる人や、自分よりものを知っている人、自分より賢い人のいうことには、非常に素直に従うというところが、私のめっちゃいいところだと思っています。

私は、よく他人に「怖い」と言われますけど、ちゃんと話してくれたら、全然頑固でもないです。むしろすぐに、というか「こっちのほうがいいじゃん」と思ったら、コロコロ気が変わります。朝令暮改どころか、朝令朝改なんてのはザラですね。

あとよく依存症の会議なんかで、連携のあり方なんて御大層なこと言ってますけど、簡単な話なんですよね。お医者様のような社会的に地位が高い人が、ちゃんと自助グループにお墨付きを与えてくれる、これが基本中の基本の連携です。

20年前は、むしろそれが当たり前でした。最近、いろんな制度や点数がつくようになって、いつまでも囲い込む医者も出てきたので、今度はこっちがちゃんと、質のいい専門家を見極めなくちゃならない時代になりました。我々の団体の大きな使命は、「食べログ」ならぬ「医者ログ」ですね。

囲い込んで評判のよくない医者でも、行政なんかはそこがいいとか悪いとか言ってくれませんからね。我々なんかは、自分たちがどう思われようと、仲間が回復するかどうかの方が大事ですからね「やめたほうがいいよ」っていう病院情報は、はっきりと伝えています。

その点、福田先生は本当に明確に、「自助グループ推し」の先生だったので、私たち夫婦は最初から恵まれていました。

戦闘態勢で家族の自助グループに乗り込む!

帰ってきて夫と、「自助グループを調べて行ってみよう!」って事になったのですが、家族の自助グループが木曜日で、当事者の自助グループが土曜日だったので、私のほうが先に、行くことになりました。

「しっかし、ギャンブラーの家族なんて、貧乏そうだよなぁ。惨めに泣いてるようなグループだったら嫌だな。そんな人たちと一緒にされたくない。私は、あなた達とは違うのよと、最初からカマして行くか」と、せっかく前向きな気持ちになったものの、自分の借金暮らしを棚に上げて心が揺らぎました。今なら「だったら何しに行くのさ?」と想いますが、まあ大体ビギナーなんてこんなもんですよね。心が揺れに揺れるもんです。

「こんな奴らと一緒にされたくない」そう思われたこんな奴らも、ビギナーの頃は、「こんな奴らと一緒にされたくない」と思ってんだから、人間の心理って面白いですよね。

私は、行ってみて貧乏で惨めな集まりだったら、とっとと帰る予定で、バックプリントにデカデカと「PRADA」と書いてあるダウンジャケットに、ヴィトンのバッグ、エルメスの靴(パチもの)を履いて、戦闘態勢で出かけました。

生まれて初めて降り立った、私鉄の小さな駅にある公民館に、道に迷いに迷ってやっとたどり着きました。暗くて寒いし、40年間の都民人生で一度も行ったことのない街をさまよっていると「なんで私がこんなとこに来なくちゃならないんだ!」と恨みの気持ちがふつふつと湧いてきました。ドキドキしながら扉を開けると、そこには若くて、小綺麗なギャンブラーの妻たちが集まっていました。まるで英会話教室に来たかのような雰囲気に、部屋を間違えたかと思い「あの、ここ、ギャンブルの......」みたいにモゴモゴ聞いてみると「あぁ、そうですよ。ギャンブラーの家族の方?初めてですかようこそ」と、明るく挨拶されました。

2004年2月17日、今からちょうど22年前。これが生涯の仲間となり、私の人生を変えてくれたギャンブラーの家族たちとの出会いでした。

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