Addiction Report (アディクションレポート)

辞めたとたんに闇カジノ摘発!待望の妊娠も果たし、順風満帆だと思いきや?ギャンマネ(31)

辞めたとたん、闇カジノが摘発され、ギリギリセーフだった私と田中くんの新婚夫婦。待望の妊娠も果たし、順風満帆だと思っていたのですが......

辞めたとたんに闇カジノ摘発!待望の妊娠も果たし、順風満帆だと思いきや?ギャンマネ(31)
夫にも着付けをして友人と「細雪ごっこ」

公開日:2025/07/15 06:37

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ギャンマネ

夢に終わった結婚式でしたが、私たちの結婚生活は中野区沼袋の6畳に小さなキッチンが付いただけのワンルームマンションで始まりました。狭いと言えば狭いですけど、それまで6畳のワンルームに韓国人ギャンブラーの2人、田中君と私の4人で住んでいたことを考えれば倍の広さです。

ちなみに4人で住んでいたマンションの方は、田中君名義のままホン2号が住んでいました。ところが、なんと我々がバイトを辞めた半年後の1999年の夏、働いていた闇カジノ店が摘発にあい、一緒に働いていた従業員が軒並み逮捕されてしまいました。そのうち起訴されたのは、ディーラー長やフロントなどの幹部連中だけでしたが、ホン2号も強制送還されることになり、マンションは我々が荷物を片付け、引き払いました。

この逮捕、驚いたのなんのって、私なんか万が一あのまま働いていたらフロントでしたからね。間違いなく起訴されたことでしょう。まさにぎりぎりセーフでした。

逮捕された仲間の面会に

逮捕のことを聞き、お節介な私は、元従業員仲間たちの面会や差し入れにすっ飛んでいきました。通っているうちに、私自身も事情聴取されることになり、警察はこんな下っ端達じゃなく、オーナーを捕まえたがっていることがわかりました。

事情聴取に呼ばれた時に部屋の入り口に「上野闇カジノ摘発事件捜査本部」なんて書かれた看板が掛けられていて、「おお!テレビで見たまんまじゃん」と興奮しました。非日常的なことが起きるとワクワクする私。事情聴取は、向こうも根掘り葉掘り聞いてきましたが、こっちも根掘り葉掘り聞きだしました。

当時は「こんな経験一生に一度だ!」と思いましたが、その後、今の仕事について、事情聴取も、面会も、裁判も頻繁に行くようになり、今では全く興奮もワクワクもなくなりましたけど。

警察に「社長は誰?」と聞かれたので「横山さん。金融屋だよね」と言うと、「写真持ってる?」と聞かれたので、「持ってないけど、愛人のチグサちゃんなら持ってんじゃないの?」「何、横山さん逃げてんの?そっち捕まえようとしてんだ。へぇ」なんてペラペラ謳いながら、警察にこんなふてぶてしい態度を取っていました。「もう一人オーナーがいただろう」と聞かれたんで、「えっ、やっぱそうなの?噂で総会屋だって聞いたことはあったけど。そっちのことはなんもわかんないなぁ」と言ったら残念そうでした。

そもそもあの闇カジノのあったビルは、オーナーが元警察官だったんですよ。それで絶対に摘発されないという触れ込みで、従業員もその言葉を信じていました。私がバイトを始めた1995年というのは、オウムのサリン事件と阪神淡路大震災という未曽有の事件が立て続けに起こっていた時で、その頃警察は大忙しで、風営法なんて構っちゃいられないから大丈夫と言われていたんです。1998年にオウム裁判の判決が出始めて、「そろそろ風営法の摘発がまた始まるよ」とビルのオーナーから聞かされていたのですが、本当にその通りになりました。私と田中君は「収入は激減したけど、辞めておいてよかった」と心から思いました。

ちなみにギャンブル依存症だったホン2号は、強制送還された半年後にはまた日本に戻ってきていました。

びっくりした我々は「どうやってまた日本に来たの?」と聞くと、「大使館だってどこだって金に困ってる奴はいるんだよ」と謎の言葉を残していました。そのうちホン2号はギャンブル依存症がすすみ、色々周囲に不義理を重ね行方不明になってしまいました。

和裁に没頭、卒業後は和裁所に就職

話が脱線しましたが、あの沼袋時代はまさに狭いながらも楽しい我が家で、夫は初めてのサラリーマン生活、私はせっせと着物を縫いながら、主婦もしていました。

そもそも私はものすごく手先が不器用なのです。入学した時には本当にクラスのどん尻で運針もろくにできないどころか、指ぬきにちゃんと針をあてることすらできないような状態でした。先生にも怒られてばかりでしたが、なんせこの負けず嫌いで、根性だけはある私。他人の倍くらい練習して、結構うまく早く、縫えるようになっていくんです。夏休みには「浴衣を2枚縫い上げる」という宿題が出て、みんなはうんざりしていましたが、この私は2枚と言われれば、ド根性で3枚縫い上げていきました。

そして和裁に夢中になり、「和裁職人になろう!」と決意し、国家資格である和裁士3級を取得すると、卒業後は和裁所に就職してしまうのです。

ローンを組んで、新居まで購入

その上、学校のあった都心の地域がすごく好きになり、ここに住めたらいいなぁと漠然と思っていたのですが、卒業間際のある日、学校を出ると建売住宅の捨て看が電柱に貼ってあったんですね。それを見た瞬間「これだ!」と思ってしまい、その場で不動産屋に電話をかけ、なんと新居を購入してしまうのです。

なぜあの時、夫だけの収入しかなかったのに、しかも借金もあったのに審査が通ってしまったのか全くの謎です。しかも普通新居というのはいくつか見て回って決めると思うのですが、私はその土地を見ただけで、まだ建物も建っていないのに買うことを決め、夫に至っては「こんな物件があったから買わない?」と言ったら「いいよ」と言って何も見ずに契約してしまったのです。

今振り返ってみても、あの頃の私は自分というものが全くわかっていません。依存症なので黙々と打ち込むようなものにはそりゃあハマればハマります。でも「黙々と」なんて、私の強味であり、特技であり、最も人の役に立てる「喋り」という最強のスキルを全無視じゃないですか。そして当時の一般的な妻のように夫に住宅ローンというプレッシャーを一人で背負わせ、それが当たり前だと思っていたのです。

妊娠作戦で、目指せ!円満退職

和裁所での生活は、私にとってはまさに映画「あぁ野麦峠」のようでした。現代はだいぶ違うと思いますが、今から30年近く前の職人の修行の世界なんて、朝から晩までひたすら黙って縫い続け、給料が月7万円とかなんですよ。「好きを仕事にしちゃダメなんだ」この時私は痛感します。

そして「学校から推薦でこの和裁所に入ったからには、ここから逃げるには妊娠しかない」と、なんとか学校のメンツを潰さぬように円満退職をしようと妊娠作戦を考え出し、私は子作りに励むのです。

しかしすでに34歳になっていた私、全然妊娠しないんです。これには本当に驚きましたね。子供というのは作ろうと思えばすぐできると思っていましたし、むしろ学生時代なんか妊娠に怯えてきたわけじゃないですか。でも現実はそう簡単に妊娠しない。それならそうと誰か教えてくれよ!と思いましたね。

さっさと和裁所を辞めたい私は即行動を起こし、不妊治療の検査をしにまたしても東大病院の門をくぐります。

そして分かったことは、私は卵管閉塞であり、夫は精子の数がとても少ない。これはなかなか妊娠しないかもしれないから、人工授精もしくは年齢的にすぐに体外受精でもいいかもしれないと言われたんです。それならそうとどんどん治療をするしかありません。帰り際に「タイミング療法的に、今日排卵日だから子作りして下さい」と言われ「先生、なんかロマンチックなムードとか一切かけらもないじゃないですかぁ」とクレームを入れてみると「不妊治療とはそういうものです」と、1ミリの笑顔もなく言い返されました。あっ、さいざんすか。

巨人軍が大勝利!泥酔して翌朝、慌てて子作りすると?

しかし、その晩私たち夫婦は大好きな巨人軍の応援に東京ドームに行くことになっていました。1999年は巨人と中日がリーグ優勝をかけて接戦となっていました。ところがこの日の巨人は絶好調!なんと17対1の大差をつけて勝利するのです。

私は「そうでしょ、そうでしょ。これが実力よね」と非常にいい気分になり、巨人軍が点数を重ねるたびに「カンパーイ」と夫や周りの人と大騒ぎしながらレモンサワーをがぶ飲みし、隣の知らない人にもたれかかって寝るという暴挙に出てしまいました。泥酔した私は子作りどころではなかったのですが、朝起きて慌てて子作りをすると、なんとそれでできてしまったんです。これが上の娘、子作りしたタイミングは1998年の7月7日の七夕の日とここまではっきりしています。

東大の先生方も妊娠に超絶驚き、夫は「子供の名前は、茂子か茂雄にしよう」と喜んでいました。

こうしてめでたく妊娠に成功し、私はまんまと和裁所を辞めることに成功したのです。

全てが順風満帆だと思っていた裏で......

全てが順風満帆だと思っていたこの時期、私は9か月までつわりに苦しむことになりました。

それでも何一つ文句を言わない優しい夫は、裏で黙々とギャンブルに励んでいたのです。

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