Addiction Report (アディクションレポート)

「友達との関係が長続きしない」と悩む30代の男性。いいんだよ、それで。あなたは全然、間違ってない。「失われた私」を探して(58)

人間関係が長続きしないと悩むゲイの男性のお悩み相談。うさぎさんは、それでいいんだよ、と彼の感じている寂しさごと肯定します。

「友達との関係が長続きしない」と悩む30代の男性。いいんだよ、それで。あなたは全然、間違ってない。「失われた私」を探して(58)
撮影・黒羽政士

公開日:2026/09/20 22:39

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「失われた私」を探して

たくさんの出会いと別れを経て、

私たちは「寂しさの処方」と「他者との距離感」を学びます。

 

 

今回は、30代前半ゲイのコロンさんからのお悩み相談です。

 

30代前半のゲイ。

友達が出来るといつかは離れたくなります。

 

大好きだった人が居て、訳有って新宿から離れてしまいました。

今はSNSで繋がっているだけ。

遠方だから、また会うことはほぼ無いと思います。

 

都内に住む私は、告白だなんてするつもりは更々無く、彼を見送りました。今も喪失感がありますが、二丁目には数少ない知り合い?が居て、たまに行きます。

 

とはいえ、インスタグラムにはどうでもいい繋がった人たちのストーリーを追うのにも疲れました。

そろそろ、また人間関係をリセットしそうで…...アンインストールしてます。

 

深く繋がろうとして、呑み歩けば相手の言動に傷付いて、次第に離れたくなる。

毎回、プライベートはその繰り返しです。まさにツギハギだらけのハート。

 

恋人はおろか、二丁目にもどこにも居場所が出来ず、最終的にはこじらせて、ひとりで生きようと思います。でも、つらい。

 

宜しくお願いします

 

コロンさん、あなたのメールを読んで、自分の30代の頃を思い出しました。

私も当時、あなたとよく似た気持ちを抱えて生きていたんです。

ちょうど最初の結婚が破綻した直後でした。

学生時代の友人たちはほとんど結婚していて子供もいたりして、どんどん話が合わなくなっていく。

今思えば、寂しくて寂しくて仕方なかったんだと思います。

「買い物依存症」になったもその頃だったので、おそらくあの異様な消費行動も、誰かと繋がりたかったからかもしれない。

たとえ相手がブティックの店員さんでも、誰かに気にかけて欲しかったのかも。

「寂しさの処方」がわからなかったのですね。

そんなの、誰も教えてくれなかった。

いえ、そもそも人から教わるものじゃなく、自分で見つけなくてはならないものなんです。

でも、当時はそんなことわからなかったの。

ただ、やみくもに「寂しさ」から逃げていた。

 

やがて、私は新しい友達を求めて、新宿2丁目で飲み歩くようになりました。

最初の頃は楽しかったです。

友達もいっぱいできました。

口を開けば子供の話しかしない同年代の主婦の友人たちにも飽き飽きだったし、独身の女友達の不倫騒動に巻き込まれるのもウンザリ。

そんな私はゲイ友たちと出会って心の底から晴れ晴れとした気分を味わい、過去の友達関係を完全にリセットしたのです。

 

後悔してるかって?

いいえ、全然。

人は変わっていくものだし、変化と共に新しい人間関係が必要になるのは当然だと思います。

ただ問題は、その「新しい人間関係」も、時間が経てば経年劣化していくという抗いようのない事実です。

 

そう、私はそのうちに、ゲイ友たちとの人間関係も面倒臭くなってきたのです。

コロンさん、あなたと同じです。

親しくなり過ぎると、退屈したり重くなったりして、リセット期が始まるんです。

一時期は親しかったのに疎遠になったゲイ友は、数え切れないほど大勢います。

初期の2丁目友達で未だに友達付き合いしてる人たちは、現在の夫も含めてほんの数人。

その人たちとも昔みたいに頻繁に会うわけではなく、たまに思い出してLINEをしたりご飯を食べたりする程度。

夫だって、同じ家に住んではいるけど、基本的にそれぞれの部屋で暮らしていて、食事も睡眠も別々。

なんなら、ほとんど口をきかない日もあるので、ルームシェアみたいな関係です。

 

で、思ったんですけどね、どうやら私はそれくらいの距離感が一番いいみたいなんです。

たくさんの友達と出会って別れて、時には喪失感を抱き、時には自己嫌悪に陥ったりしながら、私が学んだのはそれ。

私にとって最適な「人との距離感」です。

その距離感はもう個人個人で様々で、私にとって最適の距離感が誰にでも当てはまるわけではありません。

それは、ひとりひとりが自分で学んでいくものなんです。

それには、たくさんのリセットを経験しなくちゃいけない。

だから、コロンさん、あなたは何も間違ってません。

 

 

他者に自分の「居場所」を求める人は、永遠に寂しさを克服できない。

「寂しさ」は、自分との出会いなのです。

 

 

私たちが生きていくうえで必ず直面するのは「孤独」の問題です。

家族がいても、友人がたくさんいても、人間は基本的にひとりぼっちです。

だって私という人間はこの世にひとりしかいないから。

私たちはそれぞれ、唯一無二の存在である。

それはとても尊いことであると同時に、とてつもなく寂しいことです。

その「寂しさ」を、私たちは何とか手懐けなくてはならない。

 

コロンさん、あなたは今まさに、その「寂しさ」との付き合い方を学んでいる最中なのです。

誰かとバカ騒ぎして、翌日に虚しい気分になるとか。

誰かに恋して、別れて、心に深い傷を抱えるとか。

それらはすべて、あなたが「生きる寂しさ」を乗り越えていくためのレッスンです。

あなたが「寂しさ」を手懐け、自分にとってちょうどいい「人との距離感」を獲得していくためには、いくつものリセットとリトライが必要なんだと私は思います。

「誰とも心が繋がらない」とか「どこにも居場所がない」とか、大いに悩むことでしょう。

でもね、誰とも心が繋がらないのは、当たり前のことなんです。

人間は「私」であることを始めた瞬間から、他者と隔てられ、孤独な存在となるのです。

孤独を回避するには、「私」を捨てるしかありません。

だけど私が「私」を捨てちゃったら、私は何者でもなくなってしまう。

そんなの、耐えられますか?

 

居場所だって同じです。

誰かと一時的に居場所を共有することはできても、所詮、それは永続的な居場所ではありません。

あなたの居場所は、あなたの中にしかないのです。

そこには、あなたひとりしか住めません。

とても寂しい場所だけど、同時に、とても自由な場所です。

あなたはそこで、他者の目に映る自分に傷つくこともないし、他者に合わせようと汲々とする必要もない。

あなたはあなたでいればいいのです。

その代わり、繰り返しますが、そこにはあなたしか住めません。

 

その場所で、あなたは自分と仲直りする。

他者に認めてもらうんじゃなく、ちゃんと自分で自分を認めてあげる。

私たちには、そんな場所が必要なんだと思います。

他者の中で生きてると息苦しくなっちゃうけど、自分ひとりの場所があれば、愚かさも醜さもすべて「しょうがないなぁ」と受容できるようになる。

そこは確かに寂しい場所ですが、裁く他者がいない分、ラクな場所でもあるんです。

 

あなたは次第にその場所に馴染み、こういう「寂しさ」なら悪くないなと思えるようになる。

とはいえ、ずっとそこにいるとやっぱり物足りなくなるから、時々は他者の中に入っていく。

他者と交わることも、あなたにとっては大事な生活の一部ですからね。

そうやって、あなたは「ひとりきりの場所」と「他者のいる場所」を自由に行き来するようになり、自分にとって最適な「他者との距離」を徐々に獲得していく。

それが「寂しさ」を手懐ける、ということ。

人間って、そんなふうに成長していくものなんだと思います。

 

もちろん、その境地に至るまで、何年かかるかはわかりません。

いい年してまったく「独り」に慣れず、常にそばにいる他者に縋りつく人もいます。

そういう人は永遠に、自分の居場所を他者の中に求め続けます。

まぁ、本人がそれでよければべつにいいんですが、縋りつかれた相手が苦しくなって離れていくことも多々あるので、また新たな他者を探して彷徨う羽目になります。

寂しさと向き合えない人は、一生、寂しさに苦しめられる。

コロンさんには、そんな人生を送ってほしくありません。

 

さぁ、もう開き直って、自分のために生きましょうよ。

そのためには、どんどん人間関係をリセットしていい。

今は寂しさが怖いかもしれないけど、いつか寂しさが最大の味方になってくれる時が来る。

そう信じてみてください。

寂しさは、自分との出会いなんです。

大勢の他人と出会うより、たったひとりの自分と出会うことの方が大切なの。

どうか、そのことを胸に刻んでおいてね。

 


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