Addiction Report (アディクションレポート)

私は、自分が正しいなんて思ってません。だって、いつも間違えてきたから。そして、間違えることの意味をずっと考えてきました。「失われた私」を探して(54)

間違いだらけの人生を歩んできた私。でも、私が求めているのは、「正解」ではなくて、別の視点。視点をずらすと、いろんなものが見えてきて、人生が自由になる気がするから。

私は、自分が正しいなんて思ってません。だって、いつも間違えてきたから。そして、間違えることの意味をずっと考えてきました。「失われた私」を探して(54)
撮影・黒羽政士

公開日:2026/07/20 02:08

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「失われた私」を探して

人生に必要なのはたったひとつの「正解」ではなく、

より多くの「間違い」なんじゃないだろうか。

えーと、そもそも私は間違いだらけの道を歩んで来た人間であり、70歳近くなっても未だに迷ったり悩んだりの連続なので、皆さんに対して偉そうに説教したりアドバイスしたりできる者ではありません。

そのことは、どうか充分に理解してください。

いくつになっても、私は自分に確信が持てない。

だから、自分が正しいなんて思えないし、自分の意見を他人に押しつける気もありません。

私にできるのはただ、「私の視点」を提供することだけなんです。

必ずしも「正しい視点」ではない。

いや、むしろ「間違った視点」かもしれない。

でも大切なのは、正しいか間違ってるか、ではないと思うんです。

正誤なんて簡単に決められるものではありません。

私もあなたも、人生でいくつも過ちを犯すでしょう。

その時は正しいと思った決断が、後々、「しまった!」になるかもしれない。

あるいは、その逆もね。

「やらかしたー!」と思ってその時は落ち込んでも、その失敗が自分にとって大きな転機になることもあるんです。

少なくとも私の場合は、そうでした。

やらかさないとわからなかったことが、人生にはいくつもありました。

「依存症」も、そのひとつです。

だから、私、思ったんです。

よし、間違いまくってやろう、と。

間違うたびに何かを学べるんなら、正しく生きて何も学ばないより、ずっと私にとっては実り多い人生じゃないか、と。

常に「正しい視点」で物事を見ることなんて、我々には不可能なんですよ。

正しいつもりの人は大勢いますけど、その人たちだって私の目には全然正しく見えない。

誰かの間違いを見つけると鬼の首を取ったように息巻いて、「とっちめてやるー!」とばかりに鼻息荒く攻撃しまくる人々がネットには大勢いますけど、私の目には彼らが重篤な「正しさ病」の患者にしか見えません。

他人の不倫を暴いて正義の味方ぶってるマスコミも、同じ病の方々です。

過ちを犯した人をとっちめることで、自分の正しさにうっとりと酔ってる。

そういう癖がついてしまうと、何が怖いかって、己の過ちを認められない人間になってしまうんです。

「正しさ病」の患者さんたちは、決して自分の間違いを認められない。

だから永遠に、学びや成長のチャンスを逸してしまう。

誰かの間違いを攻撃することでしか、アイデンティティを保てない人間になってしまう。

そんな人生、私は嫌です。

繰り返しますが、物事を見る時に重要なのは、「正しいか、正しくないか」ではないと思うんです。

大切なのは、複数の視点を持つことじゃないのか。

ひとつの事象には、いろんな側面があります。

ひとりの人間にも、いろんな顔があります。

「正しい/正しくない」「善人/悪人」という二元論では切り分けられないことが、この世にはたくさんありますよね。

「正しさ」もまたひとつの尺度ですが、それ以外の尺度で人や物事を測ってみる。

そうすると、今まで見えなかった別の解釈が、そこに生まれてくるかもしれません。

「正しい」と思い込んでいたことが、必ずしも人や自分を救わないという事実に気づくこともある。

ならば、別の尺度を探してみれば?

自分は道を誤ったと思ってたけど、この道が自分をどこかに導いてくれるのかもしれない。

ならば、己の過ちを責めてばかりもいられないのでは?

視点をずらすと、いろんなものが見えてくるんですよ。

ほんと、ぱぁっと目の前の世界が広がった気がするんです。

だから私は、人から相談を受けた時に、「正解」を授けようとするのではなく、「別の視点」を提供しようと考えるのです。

その人の視野がほんの少しでも広がれば、それは絶対に今後の人生に役立つと思うから。

今は「うーん、ピンと来ない」と思っても、何かの拍子に思い出していただければ、「あ、それもありかー」と思ってもらえるかもしれないから。

鼻だけで呼吸している人は、鼻が詰まると苦しくて仕方ない。

たちまち生きていくのが困難になる。

でも、「口でも呼吸できるじゃん」と気づいたら、どんなにラクになるでしょう。

私がやりたいのは、そういうことなんです。

もちろん私は愚か者なので、「目で呼吸すれば?」なんてトンチンカンなことを言ってしまうかも。

でも、それをきっかけに「目は無理だけど耳は?」なんて試してるうちに、口に辿り着ける人だっているかもしれない。

大事なのは「他にも道がある」って気づいて、いろいろと自分で考えてもらうことなんです。

自分を憎むのも人を憎むのも苦しいから、

出口を求めて、私は奮闘し続けています。

たとえば、あなたの人生を一編の小説だと考えてください。

あなたの一人称によって綴られる物語です。

そこにはあなたを苦しめた「加害者」がいたり、逆にあなたに苦しめられた「被害者」がいたり、あなたを愛してくれた人や、あなたを見捨てた人もいる。

そりゃもう、いろんな登場人物がいるわけですね。

でも、あくまでそれは、あなたの視点で語られた物語です。

時には視点を変えて、この物語を見渡してみましょう。

あなたを苦しめた「加害者」の視点で、あなたの物語を語り直してみる。

すると、まったく別の物語が立ち現れます。

それぞれの登場人物の役割も、微妙に変わってくるかもしれない。

そして何より、自分自身に対する見方も変わる。

私は必ずしも「被害者」ではなかったかもしれない。

あるいは、私を愛してくれた人は、もしかするとその愛で私を縛り付けていたのかもしれない。

私を見捨てた人は、結果的に私の自立を促してくれたのかもしれない。

こうなると、誰が加害者で被害者だったのか、誰に感謝して誰を憎んだらいいのか、わからなくなってきます。

混乱するかもしれませんね。

でも、それでいいのです。

「視点を変えれば、人生には複数の解釈が成り立つ」ということがわかれば、あなたの人生はもっと自由になるのです。

ひとつの視点に縛られて、自分を責め続けたり誰かを憎み続けたりしなくて済むのです。

憎むことって、苦しいよね。

自分を憎むのも、他人を憎むのも、同じくらい苦しい。

私はずっと、自分の父を憎み続けて来ました。

彼はいつも私に対して否定的で高圧的で、ともすれば暴力的で、ちっとも愛されている実感がなかった。

その父がいよいよ認知症になり、肉親は私しかいないので、私が彼の世話をしなくてはならなくなりました。

この一週間ほど、マジでその件にかかりきりで、頭がパンパンでした。

憎いんだけど、ちょっとかわいそうでもあって、大変複雑な心境です。

彼と一緒にいると、嵐のように愛憎が吹き荒れまくって、私は薙ぎ倒されそうになります。

早く彼から解放されたい。

正直、彼の死を願ってしまうこともあります。

でも、これは、私と彼との物語を再解釈するチャンスなんだ。

そう考えて、必死で頑張ってます。

たぶん、この父親こそが、私の人生の最後の宿題なんでしょう。

これを解かないと、先に進めない。

うまく解けるか自信ないけど、最大限の努力はしたいのです。

皆さんにも、それぞれの「宿題」があるでしょう。

どうか、真摯に取り組んでください。

その中で、自分を責めたり赦したり、いろんな視点で解釈を試みたり、できることは何でもやってね。

その努力は、いつかきっと、自分に返って来るからね。

最終的には、「よしよし、よくやった」と自分を抱き締めてあげられるように。

さぁ、頑張りましょう!(←これは自分に言い聞かせてます。ほんと弱いなぁ、あはは)

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「失われた私」を探して

コメント

13日前
ぴか🌟

YouTubeで拝見して

昔そう買い物依存の本も

読ませていただきました。

間違えないように

やたら

慎重になってなにもしなかったり

何かしている人がいたら

バカにしたり

人を叩く

批評することで

自分を保とうしている人が

たくさんいると思うけど

うさぎさんは

泥のなかに入って 

泥ともまみれて

生きてるから

間違っていると言われる人を

責めないし

優しいし

深いし広い

ネットでこの記事を読めること

感謝します

13日前
匿名

ほんと人生何一つ無駄なことなんてないなーと思う。嫌な人に出会ってしまったら反面教師にすればいいんだし。

視点を変えればあの事があったからこそ今の私があると思える。共感することばかり!私もゆるく地味に地道に取り組んでいこう!

13日前
いく

私は息子の依存症問題で万策尽きて自分の頭を打たれました。

まさに、やらかさないとわからなかったことが、人生にはいくつもあったのです。

そして、まさに自分自身の問題がそうだったのです。

うさぎさんのこのフレーズを心に留めてこれからの時間を過ごしたいと思っています。

『人から相談を受けた時に、「正解」を授けようとするのではなく、「別の視点」を提供しようと考えるのです。』

これからも連載を楽しみにしています。

いつもありがとうございます。

19日前
White

3年程前に私も父を見送りました。

言いたい事の半分も伝わらぬまま、言った所できちんと聞いたかと言うと到底そんな訳でもなく、しかしそれで良かったかなと思っています。

憎い事は憎いまま、許せなかった事は許せないまま、事実は変わらないが、時間の経過と共にそして自分の心の変化と共に受け止め方も若干変わりました。

それから、確かに大きな愛情を受けた記憶もありました。

最近うさぎさんが仰っていた様に、捉え方や視点が変わると、変わる筈の無い過去の事実にも、今まで想像もしなかった様なサイドストーリーが浮かび上がって来ると言う事を、私も両親の介護や看取りを経験して感じました。

人が大人になるとは、'親も単なる1人の人間であると認める事が出来た時'と聞いた事がありますが、その意味が最近分かって来た様な気がしています。

19日前
とちおとめ

>ひとつの視点に縛られて、自分を責め続けたり誰かを憎み続けたりしなくて済むのです

うさぎ🐰さんおはようございます。

この2ヶ月間、物語のループに囚われていました。

あるネット上での一件をきっかけに

もう『卒業』と済のハンコを押して、引き出しの奥深くに忘れていた黒歴史が吹き出してきて、止まらなくなったのです。

何度も何度もその当時の憎しみや、投げかけられた言葉の一つ一つを反芻してしまい、仕事が終わって1人になった途端に心は嵐のように荒れ狂い、腑に落ちる回答や同じ仲間を探したくて、ネットへ依存するも、ここでは自分とは無関係の誹謗中傷で溢れ、その毒でまた一層心は沈む毎日。

そんな中、全く面識のない人なんですが、私と同じようなケースに巻き込まれた方がを見つけました。そこでは起こった出来事を、第三者(イマジナリーな存在)の解釈に変えて、経緯を説明されていました。その言葉を読んでいると、不思議と、なんかもうどうでもいいや…と、あれだけ吹き出していた気持ちが治まってくる気配があり、今朝、うさぎさんの連載の更新を読んだのです。

ああ、こういうことか。。。。

自分自身ハッキリ解答を手で握りしめられた訳ではありませんが、いくつか他の視点から物事を視るという事が『宿題』に取り組む効果的な物差しになってくれる。

物語を多面的に見ることが止まらない思考の円環に、ぽこっと新しい回路をくっつけ、気づきをもたらしてくれると、ぼんやりした解析度ではありますが、実感しました。

19日前

お父様のこと大変ですね

父とは 17年 音信不通

安アパートの父を探し出したけど

相変わらずの身勝手

入院してからは

認知症もひどくなり

治療を中止してもらえるように

「縁切り榎」の神社に祈願

ある日

財布から不自然に

「5円玉」が飛び出し

レジの隙間に消えた

「御縁」を失くせると思った

生前から

父の夢は 常に悪夢でした

亡くなって5年後

初めて 父のいい夢をみた

「俺が文句を言ってきてやる」

杖をついて 歩き出す父の背中

ようやく救われた気持ちでした

「時薬」「日にち薬」だったのかなぁ

22日前
やまさん

「嫁は、こうあるべきだ」の考えにとらわれて、自分自身をがんじがらめにしてきた数十年。「こうあるべき」の考えから自分を解放してもっと自由に生きていきたいです。

ありがとうございます。

22日前
とみー

皆さんにも、それぞれの「宿題」があるでしょう。

どうか、真摯に取り組んでください。

…とのメッセージ、とても勇気をもらいました。

今、自分にとって人生最大とも思える宿題をもらっていると感じます。真摯に取り組みます。

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