23区内のマイホームにマイカー、夢の新婚生活!のはずだったのに...ギャンマネ(8)
マイホームにマイカーを買って始まった夢の新婚生活!のはずだったのに、見栄を張る私に対して、堅実な夫。すれ違いはどんどん大きくなっていき......
公開日:2024/06/17 04:22
連載名
ギャンマネ前回、「ギャンマネが書籍化からドラマ化されて、仲村トオル様に会いたい!」と長年の夢について魂の叫びを書いたところ、なんと、青山ゆみこさんがXでつぶやいて下さり、それを見た出版社の方からご連絡を頂いたのです。今月末にお目にかかることになっており、夢の第一歩が手に届くかもしれません。青山さん、皆様、応援有難うございます。
しかしトオル様までの道のりはまだまだ果てしなく遠い......。なんせこの私、すでに3冊著書を出版しておりますが、もちろん依存症関係者以外では全く話題になっておらず、出版社に貢献などまるでできておりません(こんなことを言うと、今回の話しも流れてしまいそうで心配ですが)。運良く出版させて頂けたとしても、次の目標であるドラマ化までどれだけ大変か、誰よりも身に染みてわかっております。気合いを入れて頑張らねば。引き続きこのトオル様プロジェクト、見守って下さい。
新婚で譲れなかった東京23区のマイホーム
さて、最初の結婚をした私、これがバブル崩壊の1年前でした。
当時は「土地神話」というものがあって、国土の狭い日本の土地は、買っておけばすぐに値上がりすると思われていたのです。
それがもう田舎の土地であろうとなんだろうとです。
だって年に数回しか行かないスキーのために、わざわざ3000万円~5000万円もするリゾートマンションを購入するというトチ狂った見栄と金儲けを目論んだ人が続出したんですよ。
まさかその30年後には、売れない土地だらけになって、空き家問題が発生し、地方の引き取り手のない土地を「負動産」なんて呼ぶ時代が来るとは、誰も思ってもみなかった頃です。
もちろん貧乏人の借家暮らしだったこの私、なんとしてもマイホームが欲しかったんです。
「絶対に賃貸なんか嫌」と言い張り、夫の実家に頭金2,000万円を出して貰い、地元中野の外れ練馬区との区界の私鉄沿線にマンションを購入しました。
私の実家は、中野区でもJRの駅前。ボロい借家でしたが立地は最高!みたいな所だったのですが、もうすでにこのあたりの土地は若いサラリーマンには買えなくなっていました。
バブルで見栄を張り合った女子達も、私と同じエセお嬢レベルは結婚すると都下や都外に新居を持つケースが多かったですね。それでも「家を買った」というのはかなりのステータスでした。
我が家の新居も5800万円くらいの中古マンション物件でしたが、これがローンを組める限界で、なんとか区内に買えたギリギリのタイミング。翌年には同じマンションが8000万円代になっていました。
景気がいいと言えばいいし、誰しもが強気の攻めの時代ではあったと思いますが、内心空恐ろしかったのも事実です。だってとにかく物価があれよあれよとあがっていくんですから、これからどうなるんだろう?と思っていました。でも考えてもわからないし、考えたくない。目をつぶって、走り抜けるしかない!みたいな感覚でいました。
ですから心の内はひた隠しにしながら、「旦那の親が頭金出してくれたんで、中野に(中古)マンションを買ったのぉ」などと、自慢しまくっていました。
当時、23区内に家を買えるのは、かなりの勝ち組と思われていました。
「えぇ、すご~い」と、思った通りの反応を返してくれる友人知人は大好きでした。
「ふうん、中野のどこ?」なんて冷静に突っ込んでくる、不動産に強い真の金持ちには、
「あっ、野方(しかも駅から15分)」なんてオズオズすることになり、(野方の皆様すみません。あくまで私の感情問題です)ムカついていました。
夫を焚き付けてマイカーは「カッコインテグラ」
夫に、「車を持っていない男となんて、絶対に結婚しない」と言い張り、車も買わせました。あの頃、大流行したマイケルJフォックスがCMをした「カッコインテグラ」です。
1989年4月にフルモデルチェンジしたばかりのインテグラは、同じく当時大ヒットしたソアラが買えない層が言い訳として買うには最高のスペックとデザインを誇っていました。
「VTECってやっぱいいよ。走りが最高」と言っておけば、「ソアラも買えるんだけど、あえてスポーツカーが好きだからさぁ」と十分な言い訳になると思っていました。
1989年(平成元年)は、ユーノスロードスター、スカイラインGTR、セルシオ、アコードインスパイアなどなど今思い出してもワクワクする名車がこぞって発売された年で、当時はF1にホンダが参戦していたこともあり、若者はみんな車に熱狂していました。翌1990年にNSXが発売されピークに達した感じでしたね。
今のように、若者が免許も持っていない、車に興味がないなんて、バブル青春組には信じられない話しです。
当時は、ナビなんてありませんから、車持ちで道に詳しいというのが、男の必須条件で、裏道、抜け道を知らなくて渋滞に延々並び「ちょっと地図見てくれる」などと言われようものなら、「チっ」っと舌打ちをしたものです。
スキーに行く時には、男の子達はせっせと雪道でチェーンをつけ、女の子達は「ねぇ、まだぁ?」などと言って車内でぬくぬく。車の扱いに疎い男性は見下されていました。
ところが最初の夫は、地方上京組なので道も知らない上に、車は乗れればなんでもいいとばかりに、安くてもっさいオジさんが乗るような車を買おうとしたりする人だったのです。私はそういうダサさに腹が立っていました。
そう、元夫は堅実で、マイホームは賃貸よりも得と考え購入してくれましたが、他のことには案外ケチで、結納金に300万円くれた親も、いつまでもずっと援助してくれるわけではなく、ある程度のものは揃えてやるが、あとは自分達でやりなさいという人達でした。
今思えばですよ、元夫の方が普通の感覚だったんですよね。
そもそも当時は23~25歳で結婚して、新居にマイカーを買うのが当たり前みたいな風潮でしたが、現代にしてみたら10歳は若いですよね。しかも今じゃ結婚しても家も車も買わない人も増えた。元夫は4歳年上の27歳でしたが、その若さでドンと責任がのしかかっていたんです。しかもこっちは全くの世間知らずの見栄っ張りで、時代は浪費をあおりにあおっていました。
ですから貧乏だけど都会の最先端で遊びまくってきた私と、田舎のプレスリーともてはやされながらも堅実な親に育てられ、血迷って社内でちょっと目立ってた派手な女と結婚してしまった夫。価値観が全く合わないのです。
新婚旅行はグアムと言われ、大げんか
新婚旅行はグアムと言ってきた時には、それこそ離婚騒動となりました。当時は円高で、円が80円の時代ですよ。こっちはグアムや香港なんか、営業店時代に休み上手にくっつけて3連休でさんざん行ったりしてたんです。週末弾丸買い物ツアーなんていうのが流行していました。「いまさらグアムだとぉ。新婚旅行は一生に1回じゃ!(再婚しその後も行った)」と、当時はカッカしていました。
しかし夫は譲らない。ついに年休が取れないと言いだしたのです。そんなわけないだろ!と思いましたが、大喧嘩の末、グアムも行くが、半年後の年休に長期休暇を取りヨーロッパに行くことで、新婚旅行問題は解決しました。しかもその金は、離婚騒動に焦ったうちの親が、珍しく出してくれることになったのです。
「ウォッシャブルスーツ」を買ってきた夫に幻滅
そしてですね、私がもう無理と思ったのは、今でもハッキリと当時の光景を覚えているのですが、元夫が当時発売されたばかりの「ウォッシャブルスーツ」なるものを買ってきて「これ家で洗えるから、クリーニング代が節約になるよ。いいでしょう」と言った時ですね。
その化繊のテカリの入った安っぽいスーツを見た瞬間、一気に熱が冷めてしまいました。
1989年のバブルまっただ中、アルマーニやゼニアなんかを着ているヤンエグが街を席巻している時代、ついこの間までそう言う男達を落とそうと、ボディコンシャスで頑張っていた私が、結婚した途端に、化繊のウォッシャブルスーツの男と歩かなきゃならないなんて冗談じゃないわと思いました。
まさかの夕飯づくり「だしってどう作るの?」
しかも元夫は毎日8時には帰って来る。結婚したら毎日夫の金で遊ぼうと思っていたのに、まさかの夕飯作りが期待されていたのです。
一応、料理もやってみようとは思いました。本を買って挑戦もしてみました。
でも、基礎がないから読んでも1ミリもわからない。
「だし」と書かれていても、「だから『だし』ってどうやって作るのかわかんないんだよ!」とそこからつまずいてしまうレベルです。
「ひき肉」と書いてあったので、お肉屋さんで「ひき肉下さい」といったら、ミンチされた肉がでてきたので、「すいません、ひき肉なんですけど!」と言ったら、「ひき肉ですよ」とまるで禅問答のようになってしまいました。
ひき肉って「ひかれた肉」を想像したんで、ぺっちゃんこになってる肉だと思ってしまってたんですよね。
「野菜は炒めると小さくなる」と聞いたので、油揚げを殆ど切らずに味噌汁に入れたら、汁を吸ってバカでかくなっちゃったこともありました。
ヤバい!と思って、短大の友達に「どうしたらいい?」と電話したら、「すくって切ったら」と、冷たい声であきれられました。
そんな状況ですから、自分で作ったものなんかまずくて食べる気がしない。
毎日、惣菜を買ってきて出していたら、夫から嫌な顔をされました。
「これで良かったの?」自問自答
結婚ってこんなものだったの?
結婚生活に何一つ向いておらず、退屈で、おしゃれして派手な格好で遊んでいる私を、目を細めて自慢げに歩いていた夫が、こんなにもショボい感じになって、まさか主婦を求められるとは!と、結婚してお姫様になれると思っていた私は、自分の勘違いに今更ながらに気づかされ、現実に打ちのめされていきました。
こうして、結婚によって勝ち組になったと、勘違いしていた私は、あっという間に人生の目標も楽しみも失い、「これでよかったのか?」と自問自答する日々となりました。
そしてわずか1年もたたないうちにセックスレス夫婦となってしまったのです。
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コメント
「VTEC」が十分な言い訳になる。
この連載、とにかくおもろいです。
トオル様プロジェクトに一票!
ドラマ化実現、応援しております!
わはははは〜🤣
元旦那さんをdisらず、笑えて、爽快な文章✒️
リコさん色々、ヒドイけど面白いです。
赤裸々って、こういう感じ?
もう、めちゃくちゃ面白い。あの日本中が浮かれていた時代がりこさんの文章で蘇ってきます。
元夫さん、何がアカンかったの?
て(ウォッシャブルスーツか…)思うくらい、堅実で安定していたのに、それじゃ物足りないし、価値観が全く違うって結婚したから気づいたんですよね。
見栄っ張りとかブランド思考とか、そんな俗っぽい人が、今や依存症業界のトップリーダーですもん。
油あげの話、ひき肉の話…エピソードの情景が浮かんできて思わずクスッとしました。
りこさんと同世代のわたし。あの頃デートには車が超必須アイテムでしたよね。
懐かしさでキュン!となりました。
早く続きが読みたいなあ。
あっ、野方。と言った時の表情や気持ちが手に取るようにわかります。
もてはやす人=私を分かってくれるいい人、冷静な人=私を傷つけるムカつく人、という構図を私も持ち合わせておりました。
電車で読んだら思わず笑って声がでたので、次回は家で読みます。楽しみです。
皆をいつも全力で救い適切なアドバイスを下さるりこさん!の若き頃の「ひかれた肉」エピソードなど皆をまたもや安心させる(笑)人って本当に得意なことと不得意なことがあっていいんだな~と思いました。そしてそれぞれの良さを適材適所で発揮できる組織作りが出来るりこさん!本当に素敵です。書籍化ドラマ化トオル様!絶対実現出来ますよ!だってりこさんだもん!
読んでるだけで、映像が見えてくる文書。いつも一気に読み終え続きが気になってます。
「カッコインテグラ」懐かしすぎる
クスッと笑えるのがまた楽しい。
ずーとだけど、
面白すぎる🤣🤣
それにしてもりこさんの記憶はヤバくないですか。
私なぞはそんなに記憶ない。
ウォッシャブルスーツ、そんなんあったわ😅という感じ。
夫とゲラゲラ笑いました。
楽しませてくださりありがとうございます‼️
ひかれてぺしゃんこになった肉、
想像し、シュールすぎて思わず笑ってしまいました。
「カッコインテグラ」に「ヤンエグ」
調べながら楽しく読ませていただきました。
自問自答の先に何が待っているのか続きが気になります。
また、りこさんとトオル様の今後にも目が離せません!
またまた面白かった!
だしと挽肉のくだりは、私も似たようなもの。でもまだ私の方がマシだったかも(笑)
書籍化実現、待ってます^_^
バブルって、凄い時代だったんだなと思った。結婚した相手と価値観が違うことは当たり前だと思っていたし、合わせていくものだと思っていたので、私も本当は心ではなんかな〜って感じてた事に読んでて気がつきました。
見栄はるのって当然だと思っていた。
本当の自分は価値がないと思っていた。
人に合わせてなんぼと思っていた。
続き早く読みたいです。
「書籍化からのドラマ化」是非して欲しいです!
ここまでの内容だけでも、多くの妻たちにとって、1つや2つや3つ…、自分にも思い当たる、ドキッとする部分があったのではないでしょうか。
そして、そんな話は友人家族にあけすけには話せなかったでしょうから、悶々と胸の内に秘めて生きてきた方も多いと思います。
でもそんな妻たちも、ギャマネを読めば心底ホッとするでしょう。「自分だけじゃなかった…」と。
私にとっては今回も、思い当たる所がありまくりの、ドキッとする内容でした(笑)
私は自分自身の学力、キャリア、容姿に自信が無く、自分は運だけで何となく良い感じに生きて来られたと思い込んでいたので、人生を1人で生きていく自信なんて皆無でした。
そのため、夫には自分に足りないもの全てを求めていたと思いますし、幸いにも私の満足するレベルの学力(学歴)・キャリア・家族(優秀な父や兄)を持つ夫との結婚が決まった時には、純粋な嬉しさというより、「よし、これで私も皆と同じ土俵に立ったぞ!しかもちょっと良いランクの土俵!これでOKだろ!」と…、
誰に対してか分からない、妙に胸を張ったような気持ちになっていました。
だからこそ、夫がギャンブル依存性だと発覚し、借金まであると分かった時には、膝から崩れ落ちる様なガックリとくる感覚でした。
そして、「じゃあ自分はどう生きていくか?」という考えには全くならず、即座に、「私が満足するステータスを持った夫を、どうやってギャンブルから立ち直らせるか?」という思考回路になり、夫を追い詰めて行く事になりました。
全部、自分が自分の人生を生きて来なかった結果だと、今なら分かります。
改めて自分を振り返れてとても良かったですし、次回がどうなるのか?楽しみでなりません。
めちゃくちゃおもしろかったです。
油揚げすくって切る😂
ひかれた肉😂😂
あー、笑う。
あと夢や目標はやっぱり口に出していた方が近づけるんだなと気付かされました。トオル様計画楽しみだっ‼︎
土地神話、土地や車の価値を自分の価値と思ってた
そしてワンピース型のスキーウェア懐かし〜〜
え、もう終わり?次回まで待てない!ホント、ドラマの終わり方だわ。
りこさん、私も就職して初めて買う車、ユーノスロードスターにしようか迷いました。
ちなみに、新婚旅行はヨーロッパ、卒業旅行はグアムでした!共感の嵐です。
もっと続きが読みたい!で終わるこの感じ、ドラマでよくありますよね。ドラマでも見てみたい‼︎
次が毎回待ちきれない〜
料理が苦手とみた!
急に りこさんに親近感を覚えました。いまだに計量カップと大さじがなかったら 料理ができない私です。
スキーにドライブ、旅行にショッピング…りこさん楽しそうです。化繊のスーツでも、手抜き料理でも楽しく満足していられれば オールオッケーです。最近はそう思っています。
忘れていた時代背景が、ああ、あった、あった、と懐かしく蘇る。
ウォッシャブルスーツは、あかんよね。
またしても不穏なエンディング。
興味津々。
毎回、同じ感想で心苦しいのですが、本当にめちゃくちゃおもしろい!
私は地方に住んでいるし、田中紀子さんが持っているような価値観が全くなくて、新鮮で爽快で潔くて!
続きが楽しみ!