大トリでライブハウスデビュー!オモロい方向に振り切って、観客の反応は? コザック前田の青春依存狂時代(5)
なんと大トリでライブハウスデビューが決まった我がピンクモータース。お客さんの心をどうやってつかめばいいかわからない僕は、オモロい方向に振り切ることを決めました。お客さんの反応は?!

公開日:2025/08/01 02:00
今回が5回目になります。
ルミナリエでの奇跡の功績が認められて、ピンクモータースというバンドで卒業イベントに出演することとなったワタクシ前田少年の記念すべきライブハウスデビューの話を今回はさせて頂きます。
メンバーはドラム、ベース、ギター、そして僕がボーカルの4人編成。しかしながらこの4人は誰もライブハウスに出たこともない初心者。時代はメロコア、渋谷系、ビジュアル系が流行ってる時にローリングストーンズとベイシティローラーズのコピー。
神戸ルミナリエでのおじさんに催促された泉谷しげるの春夏秋冬で3万円をもらったという訳のわからない功績だけが先走りした状態で、何の手立てもない不安が頭をよぎり、普段からチックを持ってる僕がよりチックが激しくなったのは言うまでもありません。
まさかの大トリ!最後まで客は残るのか?
出演するバンドは6バンド、会場は神戸の「アートハウス」というライブハウス。一度出演者で集まろうという話になり、本番1ヶ月前に全体の集会を行うことになりました。
順番どーする?という話になり、「くじ引きで決めよう!」とライブハウスに慣れてる他のバンドのイケてるボーカルが言い出した。僕らは全員が初心者なんだから1番にしてもらえれば良いんだけどな......。そう思いながらも一応バンドの代表者としてクジを引く事になりました。そして結果は......。
6番目‥‥。
いやいや、無理だ!トリなんて!何をどうすれば良いかもわからない!僕はそのイケてるバンドマンに
「ちょっと〜、僕らライブハウス出た事ないからトリは厳しいねんけど〜?」
と小声で言ってみた
そしたらそのバンドマンは
「そんなもん誰でもトリは嫌やで!心配せんでも最後まで客残らんから気楽に演りーや!」
なんという言葉だろう?! 客がおらへんのは嫌や! こちとら承認欲求の塊なんだから、トリで客がおらんだと?! だからこういうちょっとイケてる空気を出す奴は肌に合わないんだ。でもそこで何も言い返す勇気もなく
「うん〜そっかぁ、分かった」
と言ってしまった自分も情けない。
自分のメンバーにトリである事を伝えると、
「まぁ〜ええんでない、楽しんでやりましょう!」
と呑気な返事が返ってきた。
もうどうにでもなれ!
そういう気持ちで、公民館の多目的場を借りてバンド練習に励みました。
「オモロい」方向に舵を切る!
自分がちょっと好意を抱いているA子ちゃんも、どうせ最後までは残らないだろう。こうなれば完全にカッコいい方ではなく「オモロい」方に舵を切ってやっていかないと何にもなくなるな。
僕は構成も考えて、その当時世間を賑わせていたある宗教の教祖(1998年くらいなら世代の人はお分かりだと思う)のモノマネや、普段から学校でやってる友達や先生のモノマネをふんだんに入れた構成を考えた。
もう身内にだけ分かってくれたら良い!そう思いながらも構成を考えている時点で緊張して、家で大声を上げたり、階段の登り降りを何度も繰り返したり、チックは酷くなっていた。
そして本番当日を迎えた。気合いを入れるため、お昼にピンクモータースのメンバー全員でラーメンを食べたのだが、食べて店を出た瞬間に嘔吐した。緊張はピークに達していて、ご飯も食べれない状態になっていた。
そして会場に入ってリハーサル。リハと言っても何をどうしたら良いのか全くわからない。とにかくライブハウスの人に聞かれる事に全て
「大丈夫です」
と答えていた覚えがある。
他のバンドの連中は楽屋でゆったり鎮座して談笑している。よくそんな気持ちでいれるなぁと感心した。僕は仕込んだネタのチェックをして、ライブハウスのフロアをグルグル練り歩いていた。多動が出ている状態ですね。
いよいよライブハウスオープン!
そしてライブハウスの扉が開き、オープンした。沢山の同級生や、他校の連中も入ってきて、フロアはパンパン状態!L'Arc〜en〜Cielのコピーバンドからスタートした。カッコいい〜!なんて、黄色い声も飛んでいる。
僕らの時はどんな罵声が飛ぶのだろうか!?そんな不安を抱えながら、他のバンドを観ていた。
ハイスタ(Hi-STANDARD)のコピーバンドではモッシュ(客同士が体をぶつけ合って踊ること)、ダイブも起きている。気持ちよさそうにライブを終えて楽屋に帰ってくる連中。悔しくて仕方ないが、それより自分たちの出番が近づいてる事に不安しかなかったのを覚えている。
ついに我がピンクモータースの出番!ガムシャラな30分間
そして我が「ピンクモータース」の出番になった。黄色いツナギを着て、首からオリックス のメガホンを掛けてステージに上がった。一曲目はベイシティローラーズの「サタデーナイト」。その当時Hi-STANDARDがサタデーナイトをカバーしてて、他のバンドはもちろんHi-STANDARDバージョンのコピーをしていたのだが、こちらは原曲。
僕は、
「一曲目はベイシティローラーズバージョンのサタデーナイト!!」
勇敢に叫んだつもりだったのだが、このエッセイを書くにあたって初ライブのビデオを何十年ぶりかに見直したら、完全に声が震えていた(笑)。
フロアには、自分たちが呼んだイケてない男連中が10人ほど前に居て盛り上がっている。そしてもうそのあとは何が何だか記憶にない。でもビデオを見直したら、きっちり寸劇のようにモノマネを入れまくってて、会場はちょっとウケていた。30分ガムシャラにやった。こんなに人生で無我夢中になったことって45年生きてても無いので、本当に必死だったんだな。
モチロンの如く、当初いたお客さんは半分以上は帰っている状態での客数のライブだったが、燃え尽きることが出来た。完全にコミックバンドだった。
ライブハウス店長から「また戻ってきてよ!」
ライブを終えて帰り支度をしてたら、アートハウスの店長が僕に声を掛けてくれた。何だろう?と思い近づいたら
「君達面白かったよ!今日出た子らは他はみんなコピーやったけど、君らはオモロいし人を喜ばせようと必死やった。また戻ってきてよ!ライブしてね」
神からの言葉だった。この言葉がなかったら、今のガガガSP は存在してなかったと思うし、バンドをやり続けることも無かったと思う。同時に酒と睡眠薬に依存することも無かったかもだけど(笑)。
とにかく嬉しかった!感動で体が震えた。
打ち上げで初めての飲酒体験
感動に打ち震えてる状態で楽屋に戻ったら、Hi-STANDARDのコピーをしてたイケてるバンドマンが僕に声を掛けてきた。
「今日はお疲れ〜!今から打ち上げ行くけど行かない?」
打ち上げ!?一体どういうもんなんだろう?
とにかく行かないと言うのはカッコ悪いと思い、
「分かった!行くよ!」と答えた。
この打ち上げで僕は初めての飲酒体験をすることになります。
今回も長くなってしまい、なかなか飲酒体験に行けなくてごめんなさい。次回は初の打ち上げでの飲酒体験と、脳みそが偏った思考になった話を書きたいと思います。
乱文、乱筆、ご拝読ありがとうございました。
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