Addiction Report (アディクションレポート)

初の打ち上げ、酔って、絡んで、撃沈して コザック前田の青春依存狂時代(8)

初のライブの打ち上げで、酔って人気バンドメンバーに絡んだコザック前田さん。相手にもされず、「イケテナイ」と言われ、ある覚悟が生まれます。そして「酒は怖い」と実感したはずなのに......

 初の打ち上げ、酔って、絡んで、撃沈して コザック前田の青春依存狂時代(8)
コザック前田さん(撮影・後藤勝)

公開日:2025/12/01 02:00

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コザック前田の青春依存狂時代

前回、初ライブハウスの打ち上げで酒を飲んで、女の子達に嘘八百を言って気を引こうとして、そして気に入らなかったビジュアル系のバンドの連中のところまで行ったところまでをお話ししました。今回はその打ち上げの続きを書かせて頂きます。

しかしながら、初の飲酒でここまでなってるっていうのは、もうダメな要素が初めての時点で既に形成されていたんだなと遠い記憶を蘇らせながら感心しております(笑)。今回もどうぞよろしくお願い致します。

人気ビジュアル系バンドメンバーに絡む

「ちょっと俺の横座れや!話しようや」

その日1番の人気だったビジュアル系のバンドのテーブルに自分から向かいイキがって言った。そうしたら向こうのバンド連中は僕をゴミを見るような目で、

「何なんコイツ、誰?」

と言ってきた。

ビジュアル系のバンドの彼らはトリの僕らなんてモチロンの如く観てもなくて、一体このイケテナイ男は何なんだろうか!?という感じだった。そして何より彼らは女の子と話すのに夢中で、僕と話すなんて単純に「時間のムダ」と感じたのであろう。

「誰か知らんけどアッチ行けや!」

と怒鳴られた。ちょっと凄まれてビビったがこちらはもうかなり酒が入っている。いつもの自分と確実に何か違うエネルギーを手に入れているので、強気に行けた。

「まぁエエから座れや、話しようや」

そう言うと、とても邪魔くさそうにボーカルが僕の横に来た。

開口1番僕は、

「お前ら、演奏上手いけどオモロないな」

と言った。

ビジュアルバンドのボーカルは目が点みたいになっていたが僕の顔を不思議そうに覗き込んで、

「ていうか、オマエ誰なん??」

と言う。

彼らはもう何回もライブハウスに出て、コピーバンドではあるがそれなりにライブハウスのシステムも打ち上げのノリも、そして女の子に対する喜ばせ方も熟知してる連中なのだろう。

対して、僕は初めてのライブハウス出演。そして初めての打ち上げ、そして初めての飲酒、そして完全なるコミックバンド。今考えたら立場も違い過ぎるし、何一つ共有出来るものごともない。

ただただ「違う人種」の人間であることが今は分かるのだが、その当時はまだ18歳。そんなこと分かるはずもなく、ましてや対バンの顔を覚えてないとか、ライブを観てないとかなんて生意気な野郎なんだと僕は思ったわけです。

相手にされず撃沈!

「オマエ、俺らのライブ観てないの!?」

僕は言った。

「何?オマエ今日出てたの!?、観てた人おる?」

周りの10人くらいにそいつがちょっと大きな声で言ったら、誰も手を挙げなかった。

手を挙げないどころか、「こんなやつ出てないやろ?」みたいな小さな声があちこちでした。

「さっき俺らのことオモンナイって言ったよなあ!?」

ビジュアル系が言ってきた。

「オマエみたいなイケテナイ奴がおるバンドなんて俺らに口答え出来る身分じゃないやろ!?とりあえず観てもらってからモノ言えや!向こう行ってイケテナイ者同士静かに飲んどき、サヨウナラ!」

結果的には全く相手にされなかった(笑)。ケンカするにも眼中にもないので素通りされてしまった感じである。

すごすご戻って「便所に乾杯」状態に

はよ戻れや!

そう言われて、なんか僕も意気消沈してしまい元のテーブルに戻った。自分のメンバーにその話をすると、

「まあ、確かに俺らイケテナイよね‥」

と逆に共感されてしまった始末。

なんか変に納得してしまった頃に突然吐き気が来た。

トイレに駆け込み、大量のゲロを吐いた。初めての飲酒でこれだけ飲んだら当然の報いである。

2〜3回トイレに駆け込み吐いたと思う。まさに僕らがさっきのライブで歌ったオリジナル曲「便所に乾杯」状態であった(笑)。

イケテナイことを逆手に取ってもいいじゃないか!

そこからは少しずつ正気に戻っていった。

なんか僕の中で「イケテナイ」という言葉がずっと頭にまとわりついていた。イケテナイ奴が音楽やったらアカンのかな?

打ち上げが終わり始発でメンバーと帰る途中で、メンバーが言った。

「前ちゃん、イケテナイって言われたことエライ気にしてるけど、イケテナイのを逆手に取ってやっていくのも良いんでない?」

イケテナイのを逆手にか‥....

酒は危ない!この時もっと自覚していれば......

とにかくお酒って危ないモノなんだなと思っていた。

帰ってその日は夜まで頭が痛く、吐き気もあったのを覚えている。

でもライブハウスの店長に「また帰って来いよ!」と言われたのは最高に嬉しかった。

なんか希望と不安とが入り混じった夜だったのを覚えている。

次回は、ピンクモータースからガガガの本格始動の話を書いて行きたいと思います!

酒は危ない!(笑)

この時もっと自覚してればな。

乱文を読んでくださりありがとうございました。

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