Addiction Report (アディクションレポート)

酒好きライターの16日間の禁酒記録

休肝日なく飲酒していた私。夫の体調不良をきっかけに、ふと禁酒してみようと思いたち、結果16日間禁酒してみた。

酒好きライターの16日間の禁酒記録
禁酒明け、行きつけの飲み屋にて(撮影:姫野桂)

公開日:2025/03/04 02:00

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私はお酒が好きだ。21歳の頃からよほど体調が悪くない限り、休肝日なく毎日お酒を飲み続けている。好きなお酒はビールと芋焼酎、最近は好きな韓国ドラマの影響で韓国焼酎のチャミスルも飲んでいる。

5年ほど前、コロナ禍に突入した際に自宅にこもっているのが暇すぎたのと一時的に仕事が減ってしまった不安から夕方から酒を飲むようになり、アルコール依存症になりかけたこともあったが、今はおいしくお酒を飲んでいる。

そんな私が禁酒しようと思ったのは、毎日共に晩酌している夫が体調不良で飲酒しなかった日がきっかけだ。そこからなんとなく、できる限り禁酒を続けてみようと決意した。

7年前、虫垂炎で手術・5日間の入院をしてその後もしばらくは飲酒を控えていたため、今までお酒を飲まなかった最高期間は8日間ほど。今回、とりあえず1週間を目標にしていたのだが「どうせなら1ヶ月頑張ってみたら?」と夫に言われ、1ヶ月頑張ってみることにした。

意外とつらくなかった禁酒期間

最初の4日目あたりまではお酒がない生活に何の苦痛もなかった。ただ、毎晩夫婦でドラマを見ながら晩酌をする習慣があったので、飲み物が手持ち無沙汰で熱い緑茶を飲んだりフレーバー付きの炭酸水を飲んだりしていた。

2日で体調が回復した夫は私のすぐ隣で芋焼酎のお湯割りを飲み始めた。以前なら一緒に飲みたいと思っていたのだが、なんだか芋の臭いニオイが鼻についた。

あっという間に1週間が経ち、なんとなく「お酒を飲んだら楽しかったよなぁ」という思いが出てきて飲みたくなったが、我慢できる程度だった。

また、我が家は夫が休みの日、週に1度は外食を兼ねて飲みに行く。禁酒から10日目、ずっと行きたかったジンギスカンの名店を予約していたので行った。通常、焼き肉となるとビールが飲みたくなる。夫は目の前でビールを注文したが、私はぐっとこらえてウーロン茶を注文した。

今までジンギスカンは薄っぺらい肉しか食べたことがなかったのだが、さすが名店。分厚い肉が運ばれてきた。それを鉄板で焼いて食べる。臭みがなくしっかりとした歯ごたえの肉がおいしい。こんなにおいしければビールなんていらないとさえ思った。お酒を飲まないと食事をいつもより楽しめる。外食をするとお酒がメインになり、食べ物はつまむ程度なのだが、この日はとにかく肉をたくさん食べた。また、焼き肉の翌日は胃もたれを起こしていることが多いのだが、ラム肉はさっぱりしているため、食べた後もお腹がいっぱいなのに胃もたれを起こさなかった。

ソフトドリンクと共に楽しんだジンギスカン(撮影:姫野桂)

急に体が甘いものを欲する……

禁酒して13日目。本来甘いものは苦手な方で、普段は甘いものを食べないのだが、急に体が甘いものを欲し始め、コンビニにお菓子を買いに行った。チョコパイ、チョコレート、プリン、アップルパイ、スナック菓子など1300円分を購入。

帰宅してすぐに過食し始めた。そう、私は摂食障害当事者でもある。7〜8年前までは拒食症の状態でほとんど食べずにお酒ばかり飲んでいたのが、5年ほど前から過食をするようになった。ここ最近、過食はおさまっていたのだが、禁酒のストレスからかまた過食が始まった。コンビニスイーツの小さなプリンを数分でたいらげ、続いてチョコパイ、アップルパイ、スナック菓子を貪ると少し落ち着いた。

コンビニで買ってきたお菓子(撮影:姫野桂)

その日の夜もアルコール無しで過ごした。

ところが過食はこの日だけでおさまらなかった。翌日からお菓子を過食する日々が始まった。グミとせんべい、調理パンなどをコンビニで買ってきて、夕方一人で食べ始めた。もぐもぐ口を動かしていると安心する。特にハードタイプのグミはずっと噛んでいられるので飽きない。別においしいと思って食べているわけではない。底冷えするダイニングで猫背になってスマホのパズルゲームをしながらお菓子を過食していると、気づいたら2時間が経っていた。お腹にたまるものを食べているわけではないので、お腹がいっぱいになる感覚もなく、夕飯も普通に食べた。

これは明らかに摂食障害という病気だ。

恐ろしくなり、これ以上過食が続くようならばお酒を解禁しようと決めた。

そして禁酒から17日目、夫とドラマを見ながらお酒を解禁した。解禁一発目に飲んだのは夫が「珍しかったから」と買ってきたフルーツフレーバーのビール。ジュースのように甘くおいしかった。350mlのビールを2本飲み、芋焼酎のお湯割りを1杯飲んだら一気に酔いが回った。普段ならあと3〜4杯はお湯割りを飲むはずなのだが禁酒したことによりお酒に弱くなっていた。

酒に弱くなり自然と休肝日ができた

しかし、お酒を解禁した翌日は飲まなかった。ちょうど夫が繁忙期で疲れ切っており、飲む暇もなく寝てしまったからだ。私もそれに付き合い飲まずに寝た。

禁酒前は毎日飲んでいたお酒だったが、弱くなってしまったことから自然と休肝日ができていった。それから数日が経ち、夫は友人とライブに行って終演後はそのまま飲みに行くというので、私は女性店主が一人で切り盛りしている行きつけの居酒屋に一人で飲みに行った。

女性店主や他の女性客と楽しく話しながら焼酎をロックで2杯飲み、早めに家路についた。シャワーを浴びてベッドに入ると酔いが回り、心臓がドキドキと音を立てている。あかん。これは酔っ払っている! しかも気持ちが悪くなってきた。慌ててトイレに駆け込み盛大に嘔吐した。嘔吐物でねばつく口をゆすいで再びベッドに潜り込む。

「寝てんの!?」

大声に驚いて目を覚ますと深夜1時。夫がフラフラに酔って帰ってきて、煌々と明かりがついている寝室で寝ている私を起こしたのだ。夫はどれだけライブが素晴らしかったのかを興奮気味に語り、さらに友人に奢ってもらったらしくご機嫌だ。私の方は吐いたおかげで気持ち悪さはおさまっている。

しかし、たった2杯しか飲んでいないのに吐いたのは初めてかもしれない。

今回、初めて体調不良以外の理由で禁酒をしたことにより起こった変化は、過食症の再発だった。アルコール依存症だったわけではないが、酒が依存先になっていたのだろう。その依存先がなくなったことにより、今度は依存先が過食に移ったように思える。

そして急激に酒に弱くなった。また、今までは夜は必ず晩酌をするのが習慣化していたのがお酒がない日があっても平気になった。

それと私はむくみやすい体質だ。禁酒により顔がシュッとなったのではないかと思い夫に「ねぇ、私、顔シュッとした?」ときいたところ、「変わっていない」と残念な答えが返ってきた……。チェッ。

当初は1ヶ月を目標にしていた禁酒だったが、過食症発症により16日しか続かなかった。しかし、これを機に休肝日を作れるようになった。今後もお酒とは依存し過ぎずちょうどいい関係を築いていきたい。楽しくおいしいお酒が一番だ。

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