Addiction Report (アディクションレポート)

今回もお悩み相談です。「女」を武器にして生きてきたけど、自分が空っぽな気がして苦しい。自分は何が欲しいんだろう?と悩む「みーさん」です。「失われた私」を探して(48)

今回も読者のお悩み相談への回答です。女を武器にして生きてきたけれど、自分が空っぽな気がして苦しい。そんな37歳女性にうさぎさんはどんな言葉をかけるのでしょうか?

今回もお悩み相談です。「女」を武器にして生きてきたけど、自分が空っぽな気がして苦しい。自分は何が欲しいんだろう?と悩む「みーさん」です。「失われた私」を探して(48)
撮影・黒羽政士

公開日:2026/04/20 10:00

関連するタグ

連載名

「失われた私」を探して

あなたは自分の生き方を恥じる必要なんかない。

一生懸命生きてるんなら、それでいいのよ。

 

いつものエッセイの合間にお悩み相談を挟むつもりだったのですが、ご相談メールの数が私の予想を上回ってしまったので、今回も続けてお悩み相談にお答えしますね。

今回は「みーさん(37歳)」からです。

 

私は37歳、3人の子供を持つ母親で、2年前に旦那を亡くした未亡人です。私の母は水商売で、既婚のお客に水揚げされ現在も不倫関係。それを見て育ったためか、女がお金を稼ぐには、女を売るしかない。と若い頃から思っていました。中学を卒業してすぐ水商売を始め、その途中で大恋愛して結婚するも、夫はDVで浮気性。でも私はDVより、よそ見されるのが耐えられなかった。悔しさから水商売に復帰し、お客と体の関係も持ちました。夫が亡くなるまでずっと。現在は好きでもない男と婚約し(体の関係なし)生活費をもらって暮らしています。それでもまだ女である価値を確かめたくて、男漁りをしています。でも空っぽなんです。本当は男が私を性的な目で見ることに嫌悪感を感じるしSEXも好きじゃないのに、もう1人の私は女として求められたがっている。矛盾した私が2人いて、苦しい。私は何が欲しくて、何になりたいんだろう。お言葉頂けると嬉しいです。

 

まず最初に、私はあなたの男性関係や暮らしぶりを批判する気はまったくありません。

何故わざわざそんなことを宣言するかというと、文面から察するに、あなたがご自分の生き方を恥じていて、私を含む世間から断罪されると思ってらっしゃるようだからです。

世間には「文春砲」などと称して、他人の不倫を暴露したり断罪するのが正義だと勘違いしてる人が大勢いらっしゃるようですけど、浮気なんてものはあくまでプライベートなことであり、他人がどうこう言うことではないと思ってます。

むしろ、他人の私生活を安易に断罪する人々に、品性の下劣さすら感じます。

なので、あなたは自分を恥じる必要なんかありませんよ。

浮気が悪いことなのかどうかは、当事者間で決めること。

第三者には関係ないのです。

 

また、「女を武器にする」ことに対しても、べつに引け目を感じる必要はありません。

我々は、さまざまな自分の武器を使って生きています。

スポーツ選手は身体能力を武器に、アイドルは美しさや芸能を武器に、営業の仕事に就いてる人はコミュ力を武器に、専業主婦たちは母性や家事能力を武器に。

そうやって、己の持てる武器を最大限に発揮して、評判を取ったり飯の種を稼いだりしているわけですよ。

なのに「女」を武器にした途端、蔑まれるのはおかしいと思う。

そこには「性」を商品化することへの根深い忌避感があるのでしょうが、その忌避感を合理的に説明できる人に、私は今のところ会ったことがない。

「女」を武器にできるのなら、使えばいいじゃないですか。

 

世間の目のジャッジよりも大切なのは、あなたが自分の人生を歩むことだと私は思います。

あなたにしか歩めない、オリジナルの人生です。

でも、オリジナルの人生を歩むには、まず、己を知らなくてはならない。

どう生きれば自分は満たされるのか、自分に何ができるのか、自分は何をしたいのか……それを考えなくてはならないのです。

自分が何を求めているのか知らないと、永遠に満たされないでしょ?

あなたは「女」を武器にして生きてきた。

それが本当に「したいこと」なら、あなたは満たされているはずです。

でも、どうやら、それは「したいこと」ではないようだ。

セックスも好きじゃないし、男から性的に見られることにも嫌悪感がある、とおっしゃる。

つまり、あなたは「女」を武器にしたくないんですね。

なのに、その一方で、「女」として求められたいという願望がある。

それは、どうしてでしょう?

 

私が思うに、あなたの「女として求められたい」願望は、そもそも性的欲求ではないからなのでは?

つまり、あなたは「女」を武器にして生きてきたものの、男性から「性的対象」として扱われることを欲しているわけではないんです。

じゃあ、何が欲しいのか?

おそらく、「価値あるもの」としての承認が欲しい。

自分に何らかの価値を認めて欲しいのです。

それには、「性的価値」が一番手っ取り早い。

だからついついそれに頼ってしまうけど、本当に認めて欲しいのは性的価値に限らず、あなたという人間そのものの価値なんじゃない?

 

他者の評価に頼っていると、自分が空っぽになってしまう。

でも実際には、あなたは空っぽなんかじゃないんだよ。

 

人間は、他者からの評価を通して、己の価値を測ってしまう生き物です。

他者から求められなければ、必要とされなければ、愛されなければ、「自分には価値がない」と感じてしまう。

本当は、そんなことないのに!

誰にも評価されなくたって、あなたにはちゃんと価値があるのに!

あなたがあなたでいることが、あなたにとって最大の「価値」なのに!

でも、「誰にも必要とされない自分なんか、生きてていいのかな?」なんて思ってしまう。

 

その気持ち、痛いほどわかります。

私もかつてはそう感じていたから。

社会の役にも立たず、誰かから熱烈に求められることもなく、ひとりぼっちで生きていくのが怖くて仕方なかった。

でもね、違うんだ。

あなたは、生きてていいんだよ!

誰にも愛されなくたって、なんならみんなから嫌われてたって、それどころか役立たずのお荷物であったとしても、あなたは生きてていいんだ。

価値のない人生なんて、この世に存在しないんだ。

 

あなたに「生きてていいよ」と言える権利を持つ人は、他人なんかじゃなく、あなた自身なんですよ。

あなたがあなたの「生」を全うすることこそが、あなたの存在意義であり、あなたの「価値」なんです。

だって、あなたの人生を歩める者は、この世にあなたしかいないじゃん。

他の誰にも、あなたの人生は歩めない。

誰にも、あなたの代わりは務まらない。

あなたはこの世で唯一の、代替不可能な存在なんです。

 

確かにね、生きてくことは苦しかったり辛かったりするよ。

誰の評価もあてにせず、自分ひとりで自分の価値を信じることは、ものすごく孤独で心許ないよ。

ついつい他人の評価が欲しくなるさ。

だけど、考えてみて。

自分の価値を手放した人が、はたして幸せになれるだろうか?

誰かに求められるままに生きることが、本当にあなたの幸せだろうか?

私たちは、自分を幸せにするために必死で生きてるんじゃないの?

なら、自分で自分を幸せにしなくっちゃ!

それには、自分が自分の価値を認めてあげなくちゃ!

 

他者からの評価に依存して生きることの怖さは、評価してくれる人を失った途端、あなたが何者でもなくなることだ。

今あなたが直面しているのは、まさにその危機なんです。

自分が空っぽに思えるのは、そのせいなのよ。

あなたがあなたを応援できないから、空っぽな気がするの。

でも、実際には、あなたは空っぽなんかじゃないんだ。

だって、空っぽな人は悩まないよ。

悩んでるあなたは、自分を精一杯生きてる人なんだと思う。

 

あなたに必要なのは、他者の評価に立ち向かう勇気。

自分の価値を他人になんか委ねないぞ、という自尊心。

だからね、自分に「生きてていいんだよ」と言ってあげてください。

こうやって悩みながら生きてることに価値があるんだよ、と。

どうか自分を恥じず、誇り高く生きてね。

私はあなたを応援してます。

 


【中村うさぎさんに答えてもらいたい人生相談募集】

中村うさぎさんに答えてもらいたい人生相談を募集します。「失われた私」を探してで扱うテーマに絡むお悩みがありましたら、担当編集の岩永宛([email protected])に、【1】お名前(ニックネーム可)【2】年齢(掲載時にこちらでぼかします)【3】相談内容(400文字以内)を書いてお送りください。医療相談や経済相談は受け付けておりません。この連載で回答を掲載します。

関連記事

「失われた私」を探して

コメント

2日前
ぴか

うさぎさん

ありがとう。

まさに自分のことです。

だから

一言、一言胸にささる

今までは

自分の若さに調子こいて

誰か、特別扱いしてくれる人の

そばでぬくぬくしていれば

いいだけのことだったけど

実は

自分のこと

愛してくれなかった親の

代わりを探していただけで

それをうしなったら

空っぽになりました。

はじめて、ここから

自分を根っこから

組み直さざるを得なくなりました。

しんどい

苦しい

つらい毎日だけど

初めて自分のチカラだけで

よちよち歩きに

なれるように

地面を這いつくばっています。

いつか、自分のチカラだけで

歩けるかな

優しいエールを

ありがとうございました。

繰り返しなんかいも読みます

できたら

この連載、本にしていただけたら

絶対かいます!

4ヶ月前
匿名

いつも夫の顔色を窺って過ごしてきました私はいつも不安を感じていました。

「他者からの評価に依存して生きることの怖さは、評価してくれる人を失った途端何者でもなくなること」

まさにその通りだと、私の不安の正体はこれだったんだときづきました。

別居をした今でも夫の顔色を窺う自分がいて、そんな自分が怖くなります。

自分をみとめて長い間持てなかった自尊心を高めて自分の人生を歩んでいきたいと思います。ありがとうございます。

4ヶ月前
匿名

自分に言われてぃる気がしました。自分の評価を他人に委ねない。おもえばいつも他人の顔色を窺って生きてました。私も生きてて良いのですね。未来を向いていきたいです。

4ヶ月前
でんでん

うさぎさん。

質問者さんへのメッセージなのに、なんか私にエールを送ってもらった気がして嬉しい気持ちで満たされています。

『自分の価値を手放した人が、はたして幸せになれるだろうか?』が、特に刺さりました。

まったくそうだ!私は自分の価値を手放さないぞ!! って心踊るような気持ちです。感謝♡

コメントポリシー

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが確認した上で掲載します。掲載したコメントはAddiction Reportの記事やサービスに転載、利用する場合があります。
コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただいたりする場合もあります。
次のようなコメントは非掲載、または削除します。

  • 記事との関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 特定の企業や団体、商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 事実に反した情報や誤解させる内容を書いている場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合
  • メールアドレス、他サイトへのリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。以上、あらかじめ、ご了承ください。