Addiction Report (アディクションレポート)

やめたいけどやめられない買い物地獄 中古ブランド品の売買で一儲けして解決...とはならなくて ギャンマネ(44)

買い物依存にどっぷり浸かり、借金がどんどん増えていった私。思い立って中古のブランド品売買で一儲けし、すべて返済し終えますが、そこに待っていたのは新たな地獄でした。

やめたいけどやめられない買い物地獄 中古ブランド品の売買で一儲けして解決...とはならなくて   ギャンマネ(44)
買い物依存に苦しんでいた頃の平和な年賀状。周りに幸せな一家と取り繕うことはできていた。

公開日:2026/05/18 01:00

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ギャンマネ

さてママ友比較地獄に陥っていた私、多分あの頃はギャンブラーの家族の誰もが陥る「この苦労はなんだったんだ」という虚しさを買い物で埋めていたんだと思うんですね。

だって、何百万もいえ何千万もギャンブラーの借金返済のために金を貢いでですよ、持っていたブランド物もすべて失ってですよ、「手助けをすれば自分は大事にされる」と思ってしがみついていたのに、それが全部逆効果だったなんて知ったらそりゃあもうがっくりじゃないですか。

私、あの頃のことを考えると、藤原ていさんの読み継がれる名作『流れる星は生きている』を重ね合わせちゃうんです。小学校6年生でこの本を読んだ時の衝撃は忘れられません。

満州で暮らしていた幸せな家族だったのに、日本が戦争で負けて何もかも失い、3人の幼子を抱えて引き揚げていくその様子。怖くて辛くて、胸が張り裂けそうでした。その思いを読書感想文に書いたところ、中野区で表彰されたもんですから余計覚えているんです。 

でも、引き揚げと同じと言ったら言い過ぎかもしれませんが、ギャンブラーの家族が味わう道程は似たようなものなんですよ。

今までの忍耐や努力が無駄だったという虚しさ

ギャンブル依存症に家族の誰かが罹患したら、その家族に起きる日常はまさに戦争状態。勝手に金品が奪われていくんですから。

そしてあらかた奪われたあとに、もう駄目だと思って相談に行けば「今までの忍耐や努力は何だったんだ」という虚しさが襲ってくる。その辛さは、同じ経験をした人にしか分からないと思います。

おまけに当時は、自助グループの数も少なく、辛くても週1回かせいぜい2回しかミーティングがない。当会や家族会のような活動の場もない。放っておくと辛い記憶や考えが止まんなくなるんですよね。とにかく最初の頃は、考える間がないくらい前向きな仲間達と行動を共にする。当事者も家族も、これが一番の特効薬なんですよね。

だからあの頃の仲間とは、結構飲んだくれてもいましたね。自助グループの帰りに渋谷に出て、ギャン妻たちと朝まで飲んでそのまま出社するなんてこともやってました。つくづく思いますけど、暇は良くないです。頭の中がグルングルンします。

買い物依存だと気づいて、やめたいけどやめたくなくて

そのうち仲間も自分も買い物依存だと気づくようになり、泣きながらミーティングに行って「買い物が止まらない」と言うようになりました。家族のミーティングから当事者のミーティングにも通うようになったんですが、当時の私は、やめたいんだかやめたくないんだかわからないような、アンビバレンツな状態。

「やめなきゃいけないけど、じゃあ買い物までやめたら人生に楽しみってあるの?そんな何もない、凪の様な暮らしをするくらいなら、とことんまで堕ちて、最後は死ねばいいや」と、こんな風に考えてました。

今思うとですよ、あの頃私に関わってくれた仲間の苦労はいかばかりだったでしょうか?だって私こんなにパワーがあるんですから。そりゃあ病みの力もありますよね。面倒この上ないです。 

なんせですね、当事者の自助グループに行くじゃないですか、そこは「やめたい」もしくは「やめ続けよう」と思っている人の集まりなわけですよ。なので「今日からやめよう」という姿勢が必要なんですが私にはそれがない。

仲間が私を気遣い「ワンデーの仲間(今日からやめる人)はいますか?」と言っても、私は一向に無視。明らかに私を示して「普段は違う自助グループに行かれてる方でも大丈夫ですよ」なんて言ってくれる。そんなの見渡す限り私しかいないんですけど、私は無視。本当に「何しに来てんだ!」状態でした。

買い物する言い訳を探して

こんな状況だから仲間とのトラブルも絶えない。正月最初のミーティングで仲間と揉めてしまい、「折角、元旦からやめようと決意してミーティングに出たのに、こんな嫌な思いをするなんて!これは神様が気分転換に明日の初売りに行っても良いと言ってくれてるんだな」という勝手な解釈が浮かびます。

はい、そうなんです。もっともらしい理由付けがいくらでも浮かんでくるのが依存症の症状の一つなんです。回復した今なら、なんじゃそりゃ?ですよ。でも当時は買い物できる言い訳が、次から次へと頭に浮かんじゃうんです。

こうして依存症の症状により頭に浮かんでしまう間違った考えに支配され、私はデパートの初売りに行き、80万円を使います。年末には、ママ友に誘われたシャネルのファミリーセールで200万円を使い、絶望の淵に立たされ、今年こそ買い物をやめようと行った自助グループの翌日に80万円の買い物をする。もう本当に自分のやってることにあきれ果て、気分はどん底です。

あまりに荷物が重く多すぎて、帰りはタクシーで帰ることにしたのですが、「お客さん、すごい荷物だね」と運転手さんに言われ、「うん、初売りで80万円も福袋買っちゃったよ。どうしよう」と言うと、今度は「お客さんが俺の女房だったら絶対嫌だな」と言われる始末。

これにキレて「なんで私があんたの女房になるのよ!」と激怒。車内はそこからシーン。楽しそうな正月の街の風景も重苦しいばかりです。

ついに究極の大買い物、家をまた購入

そしてついに私はイライラが募り、究極の大買い物をするんです。それが「家」。前回書いたように、私は高級住宅地にある犬小屋のようなスモールハウスを買っていたのですが、その後リーマンショックが起こりさらに一戸建て住宅価格がどん底になっていきました。この時、私は「別荘を買おう」と思いつき、夫に言ってみると「絶対に使わないから頼むからやめてくれ!」と大反対されました。

普段私の言うことに反対などしない夫が、強硬に反対するのでこりゃダメだなと思い、いったんはあきらめようかと思ったのですが、不動産サイトを検索していたら、今の家よりずっと駅に近い、しかも今より広い家を発見!

「じゃあさ、この家に買い替えよう」と言うと、夫はこれには賛成。賛成というか反対はしない感じで、「まっ、便利になるなら好きにして」的な感じでした。

私はとにかく買い物が早く、家を買う時も「これだ!」と思ったらすぐに決めて、他を見て悩むなんてことはほぼありません。でも、この時は本当に即断即決でした。

もっと不思議なのはうちの夫で、家を買うという一大事にですよ、夫は別に見もせずに「はい、どうぞ」で決まり。競艇で5号艇にするか6号艇にするかでは、一晩中でも悩むのに、ギャンブル以外の金の使い道には全く悩まない様子です。

もちろん買い替えで住んでいた家も価格が下がっていて1000万円位損をしましたが、もう借金が多すぎてそんなものはどうでもいい気持になっていました。おまけに引っ越しにあわせて更なるローンが組め、そこでまた山のように買い物をしました。

こんな高揚と絶望というジェットコースターのような毎日を繰り返していくうちに、ボーナス日がやってきました。するとその時貰ったボーナス120万円がボーナス一括払いにしていた買い物代で全て見事に消えたんです。もう虚しくて虚しくて、何のために働いてるんだ!と思いました。

中古ブランド品の売買で借金返済

そして私は突然目覚めます。

「そうだ。趣味と実益を兼ねて、ブランド物を安く仕入れて高く売って借金を返そう」と、思いつくのです。

当時はまだ、メルカリなんかありませんから、ヤフオク全盛。そしてフリーマーケットも地域で活発に開催されていました。私は、それこそ毎週フリマに出かけ、ブランド物を安く仕入れ、それをヤフオクで売りさばく、今でいう「せどり」ですね。これを始めたんです。

幸いに都心の高級住宅地で開かれるフリマには、ハイブランドが超安値で出されるんですよ。シャネルの水着100円とかですからね。それがヤフオクなら2万円で売れちゃう。

自慢じゃないですが、デパート時代から始まって、私は流行のブランド、高値で売れるモノの目利きには自信がある。さらに子供服なんかも当時お高いのが流行ってたんですよ。

それを山のように仕入れ、新品より安値、フリマより高値という絶妙な価格設定で売る。フリマに行くと8~10万円位仕入れてきてましたね。夜も寝ないで、オークションに出し、なんとこの私、1年間で借金を全部返済しちゃったんです(注:住宅ローンと自動車ローンを除く)。

借金さえ解決すれば全て上手くいく...とはならず

それまで私は「依存症のことはわかってる。だから借金が問題なんだ。借金さえ解決すれば全て上手くいく」と思っていたんです。そしてそのネックの借金をやっつけた。さてこれでめでたし、めでたしとなったのか?

もちろんそうはなりません。ここから私は本格的な抑うつ状態になり医者通いをすることになりました。

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