だまし合い、助け合いをもう一度! ハマったバリを再訪し、珍道中の始まり始まり ギャンマネ(14)
すっかりバリにハマってしまった私。子分のような存在の従姉妹と一緒に再訪し、珍道中のはじまりはじまり!
公開日:2024/09/09 23:57
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ギャンマネさて、前回バリ島の人々の暮らしに触れ、すっかりはまってしまった私。
帰国することが嫌になりました。
しかし、いくら何でもこのまま失踪するわけにも行かず、
一度は仕方なく帰国しました。
ですが「もう一度行こう!」すぐさまそう決意し、
今度は用意周到に出かけることにしました。
”子分”の従姉妹と二度目のバリへ
さすがにひとりで行くのは怪しまれると思い、1歳下で以前出てきたバブリーな証券会社重役叔父のヒマしていた娘、つまり私の従姉妹を誘って行きました。
この従姉妹というのが、昔から私の子分みたいな存在で、
当時は仲良く一緒に遊んでいたんですね。
(のちにこの家族と断絶する大きな事件が起こりますが、それはまた後日)
従姉妹はどこかのアパレルでアルバイトをしていましたが、
私が「バリに行こう」と誘ったら、すんなりついてきました。
2度目のバリ旅行。
1度目の旅行からまだ半年も空いていません。
夫や職場には「従姉妹がどうしても行きたいと言っている」と従姉妹のせいにし、
全員にあきれられていましたが、とにかく行ってしまえばこっちのものです。
嫌味や皮肉もなんのその。
「もう従姉妹がお嬢様でわがままだからさ、言い出したらきかないのよ」
と事実と真逆のことを言って、相手を煙に巻いていました。
「私がなんとかしなくっちゃ!」だまし合い、助け合いをもう一度
なぜあんなにもバリに惹かれたのか?
多分、私はバリ島と日本の圧倒的な経済格差を目の当たりにし、いてもたってもいられなくなったのだと思います。
あの頃のバリは戦後の日本のようでした。いや正確には日本の戦後を知っているわけではないですが、私の子供時代をさらに貧しくしたような暮らしぶりでした。
その中でみんなが助け合い、日本の若い女の観光客をカモにして生き延びようとするジャワニーズやバリニーズ。
「羽目られているかも」と薄々気がつきながらも、しがない日本のOLでしかない自分がチヤホヤされ、まるでプリンセスの様に変身できる国。
そのだましあいのような助け合いのような、芝居のような現実のような不思議な場所だったのです。
自分より大変な想いをしている人を見ると「私がなんとかしなくっちゃ!」と、無駄な使命感に駆られる私は、すっかり島の虜になってしまいました。
東大でバリへの「お土産」を調達
2度目のバリ旅行では、東大の先生方に
「バリの貧しい若妻と知り合って、彼女に色々お土産を持って行ってあげたいので、先生方いらないお洋服とか、コスメがあったらください」と言って、先生方の不要品をぶんどってきました。
実際、初のバリ島で衝撃を受けた私は、持っていった自分の洋服やサンダル、シャンプーやトリートメントなど、殆どのものを彼女たちにあげてきました。
特に喜ばれたのが、シャンプーとかトリートメントなどの日用品。これは現地のものと、クオリティが違ったんですよね。
私が東大で回収に回っていると、噂を聞きつけた一人の女医さんが、でっかいスーツケースと一緒に、「これいらないからスーツケースごとあげるわ」と言って、洋服やサンダル、それに化粧品や日用品を大量にくれました。さらに男の先生もお古をくれたんですが、これがまた「ゼニア」「フェラガモ」「アルマーニ」のTシャツなんかだったりするんで、「あっ、これは私にください」と言って、ちゃっかり自分がせしめたりもしました。
こうして「すごいね。ひとりユニセフだね」とからかわれながら、私は再びバリ島に旅立ったのです。
Beach Boysに連絡 夜遊び三昧に
2度目のバリ。
私は出かける前に、前回仲良くなったBeach Boysとあらかじめ連絡を取っていました。
メールなどない時代の事ですから、連絡は国際電話でした。
余談になりますが、当事の日本はまだまだバブルの残り香があったので、日本にはインドとかパキスタンなどなどアジアの人たちが出稼ぎにたくさん来ていたんですね。そして偽造テレホンカードなどを売りさばいていました。あの頃はテレホンカードが使える公衆電話というのが沢山あったので、本国との連絡手段にテレカを使う人が多かったんでしょうね。
かくいう私も、バリの繁華街レギャン通りにある、革製品のお店「JANOKO」に電話をかけます。
ここは前回お土産にと、革のジャケットかなんかを買わされた店ですね。
「Rico、次来るときは絶対にここに電話してね」
Boysは必ず次の約束を取り付けたがります。
だって、自分たちが次にまたガイドすれば、それだけお金になるわけですからね。
律儀な私は言われたとおり電話をかけ「Ricoだけど、いついつのガルーダで行くから、EcoかAriかAgusに伝えといて」と、知り合ったBoysの名前を伝えておくと、相手は私が誰だかわかってんだか、わかってないんだかわからないですが、「OK!Rico、来るのね。わかったよ。伝えておく。楽しみね~。迎えに行くね」なんて伝言をしてくれました。
そして本当にデンパサール空港に着いたら、Boys達が車で迎えに来てくれていました。
そっからはもう夜遊び三昧です。
従姉妹は私の顔の広さに驚いていましたが、私の顔が広いと言うより、Boys達は飯の種ですからね、向こうがよく覚えていて声をかけてくるんです。
「Rico~!いつ来た?どこ行く?誰と一緒?」彼らは、専属のガイドがもう決まっているのかどうかが重要な問題なのです。横取りは御法度、誰かが迎えに来たなら、そのグループが今回のガイド役で、滞在中に日本女子が払うお金は彼らのものになるのです。
最初は、そんなことよくわかんなかったのですが、どうやら同じ事を聞かれまくるので、そういうシステムらしいと滞在中にわかってきました。
男の子が日本人女性を争奪戦?
けれども時々その御法度を破って、横取りするグループが現れます。
それが、ジャワニーズが相手をしていた女の子を、バリニーズがかっさらった、もしくはその逆なんてことになると乱闘騒ぎになることもあります。
一度、レギャン通りで「どこでご飯を食べようか?」なんて話しながらぶらぶらしてたら、
「Rico!危ない、店に入って」と引っ張り込まれたかと思うと、その横を猛スピードで男の子達が走ってきて、先にいたグループの男の子達に殴りかかったことがありました。
あっという間に大乱闘になりましたが、みんなトラブルに巻き込まれたくないとばかりに、遠巻きに眺めています。
ひぇ~!怖っ!っと思って、「何があったの?」と慌てて聞くと「ケンカね。ケンカ。女の子とっちゃった」などと言っていました。
バリニーズはヒンドゥ教、ジャワニーズはイスラム教と宗教も違うため、現在ではどうかわかりませんが、私が滞在していた頃はお互い仲が悪くて、しょっちゅう小競り合いが起きていました。
警察に拘束! お金を踏んだくられる経験も
バリの警察官というのも結構ひどくて、例えばBeach Boysが物売りをしては行けない場所で、観光客に何かを売りつけているのを見つけたりすると、警棒でまだ子供のような若い男の子を執拗にぶん殴ったりしてるんです。
私なんぞ頭にきて「ちょっと。やりすぎだよ。止めなさいよ」とかって怒鳴ったりすると、「Rico、黙って。危ないから!」と本気で、止められたりしました。
実際、警察権力はものすごく強くて、賄賂が横行していました。
一度、Boys達が「ジャワ島に遊びに行って、馬に乗ろうよ」というので、
「いいね~、行こう!行こう!」となって、ジャワに渡ったのですが、
ジャワ島の田舎町に行くと、バリと違って日本人女性は目立つんですよね。
そこで警察に止められてしまいました。
「パスポートを見せろ」というので、「そんなものはホテルに置いてきた」と言ったら、
それだけでしょっ引かれて、なんと留置されてしまったんです。
しかも通訳になるBoysと離されてしまったので、警察官達が何言ってんだか、さっぱりわかりません。
ニヤニヤしながら、「Money」「Money」と言って、お金を数えるジェスチャーをしてくるんです。
このくそ親父ども!と思いましたが、こんなトイレもない留置場にいつまでもいるわけにも行かず、「ハウマッチ」とつたない英語で聞いてやりとりした挙げ句、なんと8万円もふんだくられるという目に遭いました。8万ルピーかと思ったら、8万円ですよ!あの頃のバリの4ヶ月分の給料です。全くふざけた警察官です。
やっとBoysと合流できたので、通訳させ「ここで遊んでて、また別の警察官に捕まって金とられるの嫌だから、もう罰金は払ったと証明書を書け!」と言ってやったら、ニタニタしながら書いてくれましたが、あとからBoysに聞いたら「もうRico達の噂は村中に知れ渡っている」とのことだったので、証明書なんか役に立つわけない。早々に引き上げることになりました。
「なんでパスポート持ってこないんだ」とBoys達は怒ってましたが、こんな治安の悪い国で、しかも国内移動なのに、なんでパスポートを持ち歩かなきゃならないんだ?と、そっちの方が不思議でした。
ジャワのど田舎に一泊する羽目に
お金も時間もすっかりなくなりましたが、そもそもジャワのど田舎に来てしまい、ホテルもなく、その日は民宿のような所に泊まる羽目になりました。
馬がいるような山の中だったので、夜になったら急に冷え込んできます。その上、お風呂は浴槽とも言えない、でかい風呂桶のようなものに水がたまっているだけ。しかもその水にはボウフラも沸いていて不衛生そのもの。それでも埃だらけだったので、二人でブルブルしながら水浴びをし、敷物がわりに持ってきた、ジャワ更紗にくるまります。「あぁ、布一枚でもあるとないとでは大違い。更紗に命を救われたわ」と、土産物屋で売りつけられた時の恨みはすっかり消え感謝の気持ちが沸いてきました。
そのうちニワトリがけたたましく鳴き出し、朝になっていました。
バリは戦後の日本のようだけど、ジャワの田舎からみたら大都会だと実感し、
私たちは速攻でバリに戻りました。
珍道中はまだまだ続きます。
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コメント
どこに行っても誰とでも、仲良くなって面倒をみてしまう頼れる姐御。頭脳明晰でリッチな方々には、愛嬌のある憎めないキャラで可愛がられ、貧しいながらも助けあい、たくましく生きるBeach Boysには、共依存を発揮して可愛がってあげる。ハラハラドキドキの海外旅行だけど、誰かの為に頑張る今のりこさんの根っこがここにあるような気がします。
どこに行っても誰とでも、仲良くなって面倒をみてしまう頼れる姐御。頭脳明晰でリッチな方々には、愛嬌のある憎めないキャラで可愛がられ、貧しいながらも助けあい、たくましく生きるBeach Boysには、共依存を発揮して可愛がってあげる。ハラハラドキドキの海外旅行だけど、誰かの為に頑張る今のりこさんの根っこがここにあるような気がします。
数年前、友人達が海外で
安い宿に8人で宿泊していて
突然警察が入ってきて、8人共、留置されました!
パニックになり、言葉が聞き取れなくなり
本人達は、何のことか分からず、
ただ怖いだけで、次の日に日本大使館の方が来るまで、泣いていたそうです。
なんと!同じ安宿に、グループ窃盗団がいたらしく、
それと間違われたそうです。
現在でも、海外ではあります。
海外で警察に捕まってしまった大事件、私なら心が折れてしまいそう。
でも、状況把握し、その場を離れる行動を、次に備えて証明書を書いてもらう、それらが寸時に頭に浮かび行動出来てしまうりこさん、すごいの一言です、感動しました。
続きがとても楽しみです。
警棒を振りかざす現地の警察官に「ちょっと。やめなさいよ。」って言えるりこさんすごいと思います。ドラマ化したら異国のシーンも入れて欲しい。
半年たたずにバリヘ2回も行って、パスポートないだけで留置されて、普通メッチャ怖いだろうに、証明書書けって言える田中さんやっぱりすごいなと思いました。バリ島編個人的には1番好きです。
続きが気になる。
りこさんの人生おもしろすぎる!
これまでの自分の人生を振り返っても点と点が線になる…とつくづく思うけど、りこさんの場合、点と点がしっかりとした道になっている!と感じる。
若い頃の冒険って本当に大事なんだな〜と改めて感じる。その後の人生に役立つことばかり。私もりこさんほどではないけど(笑)国際線CAだった頃、同期とステイ先ではない都市に(ニューヨークステイなのにボストンへ、フランクフルトステイなのにアムステルダムへなどなど)よく冒険しに行った懐かしい記憶が蘇ってきた!やっぱり人生冒険って大事!かけがえのない経験になる!この先のりこさんの人生も楽しみ過ぎる!やっぱりりこさん主演の映画作らないと!ドラマ化書籍化トオル様!本当に待ち遠しいわ~!
私から見たら危険この上ない旅行
だけど、何とかしてあげたいの血が騒ぐりこさんが、どこでも(たとえ留置所でも山奥でも)楽しんでる画が目に浮かびます。声も聞こえて来る様な(笑)
爆発的なエネルギーで、無我夢中に駆け回る人生ですよね笑
だから、人をこんなにも惹きつける
ギャンマネ、ここまでも楽しく読ませて頂いていますが、バリ編は群を抜いて非日常な内容だなと驚きました!
東大で(高級な)不用品を集めまくるリコさんを「ひとりユニセフ」と命名した教授のワードセンスに笑いましたし、
もし自分がジャワのど田舎で警察にしょっぴかれて留置され、賄賂を要求されたら…、と想像してドキドキしました。
リコさんのパワフルさが炸裂していて、実写映画にしたら絶対に面白いだろうなと思いました。
もう!早く続きを読みたい!!
凄く大変な体験をしてるにも関わらず、それを楽しんでるリコさんのパワーは魅力的で、今も健在ですね。私の周りにはいないタイプなので、どんどん引き込まれます!
読んでいて、私までバリやジャワ島に行ったような気持ちになって、ワクワクした気持ちになりました。怖い思いや、大変な経験をされたのだと思うと同時に、自由に行動したり、いろんな国のいろんな人に会うのっていいなぁと思いました。
一つひとつの出来事が濃すぎて、これいったい何日間の旅行で起きたことなの!?とハラハラして読みました。
昔の話とはいえ、賄賂というかおそらく懐に入れる分も勘定して金をせしめる悪徳警察官との場面は、さながら海外ドラマのようでした。
インドネシアの刺激的な体験がこの後も続くなんて、何が起きるのか次回も気になります。
いつも楽しく拝読させていただいております。
私、いま会社で昼休憩中ですが、夢中で読んでいるとついニヤニヤしてしまい、周りに変な目で見られてしまっております。
バリでのひとりユニセフ、良いことなのか、悪いことなのか分かりませんが、臨場感があって単純に面白いです。まさに珍道中とはこのことですね。
次回は職場ではなく家で読みたいと思います。続き、楽しみにしております!
毎回楽しみにしていますが、今回も又ぐっと引き込まれました。読んでいるうちにりこさんの愛を感じて、胸にあったかいものが広がるんですよね。バリの人たちを助けたいという気持ちにはなってもそこから実際に「お土産」を用意して、再び現地に向かうなんて誰でもできることではないですから。
最後、更紗に守られ眠ったりこさんがニワトリの声で目覚める、その時の情景が目に浮かび感動しました。
次も楽しみです!
あのちっこいカラダのどこにこんなエネルギーがあるんだろ?
と常々思っているが、きっとリコさんの中にはマグマもしくは小宇宙のようなものがあり、つねに活性化していて、早く外に出してくれと順番待ちしているんじゃないかとにらんでいる。
人によったら、これらの経験は面白くてやがて悲しい苦労話にもなる。
リコさんの手によるとあっけらかんと底抜けに明るい。
臨場感・躍動感あふれる筆さばき。やはりただものではない。
私は冒険小説を読んでいたんだっけ?と途中混乱しました笑
これ実話なんだよな、、、と噛み締めれば噛み締めるほど、おったまげるというか、りこさんの人生は本当に映画のようですし、映画化して欲しいです。
りこさんのエネルギーと熱意は、若かりし頃から言語や国境を超えて人の心を動かす力を持っていたんだなぁと納得しました!
今回の内容だけでもエピソードだらけなのに、まだ続くんですね。すごーい。
旅行ってその人次第で上っ面の観光旅行になったり、自分の生きていく経験値を高めてくれたり・・・わかっちゃいたけど、今回はさらに、「はぁ~」とびっくりを超えてしごく感心しました。
私も国内や海外を自由に旅行した経験がありますが、自身の経験と照らし合わせると、人との関わりが全く違ったんだなとわかりました。一緒に行く人がいなけりゃ一人で行くという選択をしてきました。貪欲に求めず適当なところでOKにしてた。一歩踏み込む勇気もなかった。
りこさんの経験は無事ですんだから良かったけどヒヤヒヤドキドキ。刺激が強すぎます(笑)
スマホの時代にこんな経験はもうないだろうけど、貴重な体験記だなと・・・次を楽しみにしております。