【募集を締め切りました】薬物を使った経験のある方やそのご家族ー報道に関するアンケート調査ー【9月10日〆切】
【本調査の募集は締め切りました。ご協力いただけた方に心より感謝申し上げます】
薬物(覚醒剤、大麻など使用・所持が「違法」とされているもの)を使った経験がある方またはそのご家族で、薬物報道に関するWEBアンケート調査にご協力いただける方を募集しています。
公開日:2024/09/01 08:03
【本調査の募集は締め切りました。ご協力ありがとうございました】
筆者は、中央大学大学院法学研究科(刑事法専攻・博士後期課程)で薬物報道に関する研究をしています。
これまで、日本の薬物報道には、さまざまな疑問が投げかけられてきました。
Addiction Reportでも、報道をめぐり、国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長の松本俊彦氏、運営者である公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子氏、編集長の岩永直子氏が報道に関する鼎談をおこないました。
【Addiction Report創刊鼎談シリーズ(松本俊彦 × 田中紀子 × 岩永直子)】
・国の依存症対策の方針に利用されるメディア 一切の忖度なしで発信する意味は?
筆者は支援に携わる「支援者」、「当事者」、「メディア人」としてではなく、何者でもない「第三者」として、<外>から薬物報道をみることで、刑事政策・犯罪学の観点から、報道のあり方を探るために研究を進めています。
その「実名報道」は必要なのか?
薬物報道の問題点として、指摘されることのひとつは「実名報道」です。
2024年5月8日、依存症回復支援施設「木津川ダルク」(京都府木津川市)の入所者3人が覚醒剤を使ったとして京都府警木津署が逮捕した事件について、一部のメディアが実名報道しました。
これを受け、依存症支援団体から報道のあり方を疑問視する声明(「依存症支援団体からの声明」)が公表されました。はたして、このような実名報道は必要だったのでしょうか。どのような「意味」があるのでしょうか。
これまで、Addiction Reportでも、さまざまな芸能人が報道によって社会復帰が困難になったこと、まるで制裁のように感じたことなどを語ってくれました。
家族と仕事を失い、新たに社会の中で生きていこうとしている最中で「これらの根も葉もない報道は苦しい足枷になった」
「バッシングされているように感じましたし、まるで公開処刑されているような感覚でした。もう二度とメディアには出たくないと思ったほどです」
実名報道は、職業を問わず報じられた人やその家族の精神的負担になるだけではなく、信用喪失、退職、家庭不和などのさまざまな生活上の困難や影響を生じさせることが過去の調査(※1)でも明らかにされています。
筆者も報道に携わる一員その他として、さまざまな立場から多角的にこの問題を考えてきました。身近な薬物依存症の人が繰り返し流れるある芸能人の薬物報道をみてスリップ(再使用)し、亡くなったこともありました。いわゆる「マイノリティ」とされる人たちに焦点をあてた報道をみて、自分自身も傷ついたこともあれば、報じる側として葛藤したこともあります。
研究を始めた理由は、現状を変えたいためです。今後の薬物報道のあり方だけではなく、報道と向き合うひとりひとりに何ができるのか、について考えていきます。
【今回の調査の目的】なんのために調査するのか?
報道のあり方を考えるにあたっては、
- 報じる側となるメディア関係者
- 報じられる側となる被報道者
- 報道の受け手となるオーディエンス
の三者が、それぞれどのように報道について考えているのかを明らかにする必要があると考えています。メディアはかならずしも一方的ではなく、受け手となるオーディエンスを意識して報じると考えられるためです。
今回実施するのは、報道の受け手となるオーディエンスに焦点をあてた調査です。オーディエンスは「実名」について、どのように思っているのでしょうか。もちろん、報道をみている人たちの中には、薬物使用経験がある方やそのご家族などの「当事者性」がある人たちも含まれます。今回の調査は、当事者性があるか否かでオーディエンスを2つに分け、報道の受け手がどのように実名報道をとらえているのか?ということを明らかにすることを目的としています。
※今回の募集は当事者性のあるオーディエンスです。その他のオーディエンス調査は2024年8月中に実施しました。
諸外国では「犯罪と報道」に関する研究が複数おこなわれています。筆者は2023年9月に一般社団法人刑事司法未来(Criminal Justice Future :CJF)の助成を得て、ヨーロッパ犯罪学会(イタリア・フィレンツェ開催)で日本における著名人の薬物報道について報告する機会を得ました。当日はセッションが組まれ、筆者以外に4人が犯罪と報道についての研究報告をしました。
一方、日本の刑事政策・犯罪学の分野では、報道に対する言及がなされることはあるものの、研究調査自体が少ない現状にあります。
これまで実名報道については、内閣府による世論調査(※2)のほか、受刑者やその家族を対象とした法務総合研究所の調査(※1)がおこなわれてきました。しかし、いずれの調査も実施から年月が経過していることに加え、薬物報道のみに焦点をあてたものではありません。
そこで、これまでの調査から何が変わっているのか?薬物報道についてはどう考えられているのか?を明らかにしたいと考えました。
●【調査の内容】どんな調査なの?
薬物を使用した経験のある方あるいはそのご家族を対象としたWEBアンケート調査になります。所要時間は10分程度です。設問は、過去におこなわれた世論調査の文章を参考にしています。
世論調査がおこなわれたのは昭和から平成初期なので、設問に違和感を抱く方もいらっしゃるかもしれません。過去の調査結果と比較するために、ほぼ同一の質問文と選択肢になっています。
これだけ?なんか抽象的!もっと言いたいことがある!など、いろいろ思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、今回の調査の結果を踏まえて、さらなる調査・研究を実施予定なので、今回はそのための事前調査のような位置づけになります。今後は、得られた結果を踏まえて、さまざまな方たちと協働して設問づくりなどをしたいと考えています。
調査で得られたデータは論文などで発表し、この研究を遂行する目的にのみ利用します。
以下の条件および確認事項をご一読いただき、了承いただける方は、この記事の末尾にあるGoogleフォームへのリンクから回答いただけましたら幸いです。
【募集対象者】
- 20歳以上のすべてのジェンダーの方
- 薬物(覚醒剤、大麻など自己使用または所持が違法とされている薬物)の使用経験がある方、あるいはそのご家族(事実婚、同性パートナーシップ婚を含みます)
※上記にあてはまらない方の調査は別途おこなっており、今回は募集しておりません。
【謝礼】
誠に恐縮ながら、本調査では謝礼のお支払いはありません。あらかじめご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。
【調査・研究期間】
9月10日23:59まで回答を募集しています。その後データ分析をおこなうため、研究期間は分析を含めて11月30日までとなります。
【注意事項】
- 調査への回答をもって同意を得たこととみなします。ただし、本研究への協力の同意は自由意思によって任意に決めていただくものです。同意いただいた後でも、回答を送信しないことで同意を撤回できます。ご同意いただけない場合や同意を撤回した場合でも、不利益になることはありません。
- 質問を読んで気分を害されたり、精神的負荷(嫌悪感情の惹起/フラッシュバックが起きることを含む)がかかったりするおそれがあります。その場合は、無理に調査を続行していただく必要はありませんので、途中でアンケートへの回答を中断していただいても構いません。研究に参加しないことによる不利益はなく、中断していただく自由があります。
- 万が一フラッシュバック等が起きた場合は、研究責任者にご連絡ください。必要に応じて専門的知見を有する心理職の方等におつなぎします。ご連絡いただいてから24時間以内に返信および対応依頼をおこないますが、時間曜日によってはお待たせする可能性がございます。誠に恐縮ではございますが、ご了承くださいませ。
- アンケートには無記名で記載していただきますので、個人や施設が特定されることはありません。
【個人情報等の保護】
- 調査の過程で得られた個人情報および調査で記録したデータは、この研究を遂行する目的にのみ利用し、また研究責任者と共同研究者以外に共有されることはありません。
- 記録したデータは無記名のため、個人が識別されない状態で利用します。 またデータは電子データで2035年2月まで中央大学茗荷谷キャンパス大学院個人研究室および自宅にて保管します。保管が必要な理由は、第三者による検証を可能とするためです。保管期間を過ぎた後はコンピュータおよびUSBから完全消去し、廃棄します。
- アンケートは無記名ではありますが、問い合わせ等いただいた場合、その過程で個人情報を取得する場合があります。学会や学術雑誌における研究結果の公表においては個人情報の守秘に細心の注意を払い、身元等に関する情報は一切発表しません。
⇒上記をお読みいただいたうえでアンケートにご協力いただける方は、こちら
(※1)内閣府 「犯罪と処遇に関する世論調査(昭和61年7月調査)」
(※2)法務省法務総合研究所『昭和62年版犯罪白書』(日経印刷、1987年)
コメント
海外旅行に行った時に好奇心から2回ほど大麻を使用しました。1991年にタイのバンコクのバックパッカー宿その場に居合わせた人達とニューヨークの知人の家で計2回使用しました。その後は特に気持ちにいいとか気持ちがやすらぐ感覚は全く無かったので、馬鹿馬鹿しくなってそれ以降は一切やってないですし、依存症になることはありませんでした。