「恋人がいない期間は綱渡りです」風俗もキャバクラも精神的にギリギリ。精神科に行くが、不眠が続く…恋愛依存のモデル・ゆめじさん(中)
キャバクラで3年働いていたが、寂しかったので、客にも手を出したというゆめじさん。愛情が不足していたために、自分を追い詰めるような恋愛をしていく。
公開日:2024/09/02 22:30
眠れない街・新宿歌舞伎町で、ゆめじさん(37)がキャバクラ嬢を続けて3年が経っていた。キャバクラでの男性客と付き合ったこともある。
「キャバクラに行った時点でもまだ男性恐怖症が続いていました。えらい迷惑なキャストなんですけど、お客さんの隣に座らされるじゃないですか。怖くて泣いちゃうんです。それをずっと繰り返していました。一軒目キャバクラは、ずっと泣いていました。でも、メンヘラには、メンヘラの客がつく。とりあえず、時給分ぐらいはちゃんと稼いでいました。その中で、男の人に少しずつ免疫がついてきました」
愛情を求めるが故に、キャバクラの客にも手を出していた
キャバクラで働きつつ、愛情を求めていた。そのため、交際相手がいる状況は続いていた。
「キャバクラで働いていたときもお付き合いしている人にずっと依存していました。例えば、こまめに来るお客さんじゃなかったけれど、来たら結構、お金を使ってくれるお客さんで、私のことを気に入ってくれているのがわかりやすい方でした。そして私の依存を真に受けて許してくれた優しい方です。本当に心根が優しい、珍しいお客さんでした。
ただ、その方とは1年も持たなかったかな?おうちが東京郊外だったため、歌舞伎町からは遠くって、依存するのはなかなか大変でした。仕事終わりにタクシーで行ったりしましたが、相手はお仕事あるし、お家にお邪魔すると私が仕事に行きたくなくなるし。それに衝動的に会いに行くので、お金がかかりました。私のお給料は食費と交通費でほとんどなくなっていました。
その頃は本当に不安定で、マンション借りていましたが、私は歌舞伎町のサウナに住んでいたようなものでした。本当にお金なかったんです。1人でいるのも、誰かと居るのも辛いから、他人の気配と寝息が聞こえるところにいただけでした。
お付き合いをする人がいないという期間はしんどすぎました。だから、自分の客に手を出してみることもありました。ちゃんとお付き合いするんですけど、面白くないから短期間で終わっちゃう」
心中相手を求めるが、度胸がないと思えた男たち
依存だけでなく、濃密さも求めているのだろう。ここまで依存するのは、自分の成り立ちを認めていないためだ。
「本当はここにいるべきではないんです。私が生きていることですべての人に迷惑でしかないって考えが真ん中にあるんです。自分がいなかったら、周りの人は困らなかった。自分で自分のことを否定し続けるがゆえに、喧嘩になったりしました。ちゃんとした会話ができなくなったりもしました。せっかくお付き合いをしたのに、殺してくれって意味わからないじゃないですか。恋人がかわいそうです。そうしないと生きていけないんです。
本当に死んでくれそうな人だなと思った人もいたんです。恋人として選んでいましたが、結局ね、男の人は度胸がない。ファッションメンヘラだったのか、お前は…って思ってしまいました。本当に死にそうな女の子に出会っていたら、死んでいたと思います。でも出会ったのが男の人だった」
心中を想定する相手は、依存対象でもある。その対象は、同性でもよかった。ただ、女性との恋愛では引け目を感じてしまっていた。
「女の子を好きになったこともあるんです。でも、ちょっと、女の子のライバルがいて、勝てなかったんです。共学だったんですけどね。ほんと好きだったんですけど、引け目があって。こっちとしては、結婚してあげられるわけでもないし、子どもを作ってあげることもできない。私、必要とされないっていうのがあって。所詮、遊びのプレーしかできなかったし、それ以上は踏み込めなかったんです。子どもを欲しい子だったので、無理なわけですけど」
自分が自分であることを認めてくれるものがないと保てない
精神科に通ったこともあるが、病院との相性が合わなかった。
「新宿で飲み歩いていたときに紹介されて通った精神科がありました。それ以前にもメンタルクリニックをいろいろとトライしたんですが、うまくいかなくて。でも、紹介されて行ってみたんです。やっぱり、ダメでしたね。うまく生きられなくて困っているんですよ。保育園のころから眠れない。精神不安定でもありました。さっきまでケラケラ笑っていたのに、急に気分が沈んでしまう。そんな感じでした。人と話をしているときに、〝人格が変わるぐらい〟って思われていて。記憶が変わっているわけでもないですが、感情がすごく動いてしまうんです。 めちゃくちゃ困るじゃないですか」
愛情に飢えており、何かに依存しなければならなかった。依存対象がいなかった小学生や中学生のときは、自分の創作物に依存する形をとった。その後は、お酒に依存したり、人に依存した。死のうと思っても死ななかったのは、「人に迷惑をかけないで生きろ」と母親に教えられてきたから。自殺もできなかった。
「心中も難しいんです。シチュエーションがすごく難しい。賃貸マンションの場合、大家さんが困ってしまうわけで。自分は取るに足らないものだという大前提があるので、他人の人生を犠牲にしてまで自分の答えを見つけたいのかと思ってしまいます。上京前に青森の方とお付き合いして以降、付き合っている人がいない状況は不安で、必ず(恋人が)いるようにしていたんです。自分が自分であることを認めてくれるものがないと保てない。それでも、形を保てるのか。そもそもわからないから不安がすごく強いんです。自分の価値をようやく認められたのは女性の部分です。恋人がいない期間は綱渡りです。恋愛依存ですね」
孤独感から恋愛に依存するようになっていたゆめじさん。その背景には、幼い頃の家族関係が影響していた。次回は、家族関係を詳しく見てみる。
(続く)