地獄の門を元気よくくぐる! 離婚で貧乏になった私が次に向かった先は? ギャンマネ(20)
離婚でギリギリの貧乏生活に突入した私。割のいいバイトを探して、とうとう地獄の門をくぐってしまいました!
公開日:2025/01/21 01:05
さて、「バリに行って、ロスメン(民宿)作ってのんびりアパート経営でもしよう」と思った私ですが、当時、東大の非常勤職員で確か給料は12~3万円しか貰っていなかったと思います。そこに場外馬券売りのバイト代が月に数日あって、それが6~7万くらいだったと思います。
20万円弱のお給料でもですよ、夫の給与で生活費を賄っているのなら、小遣いとして充分です。
しかし、この手取りで自立していくとなると、超ギリギリの貧乏生活になりますし、そもそも非正規雇用など、急にクビになっても文句も言えないまま一銭も入らなくなります。
ですから、当時「200万円もあればロスメン経営くらい出来るよ」と、リゾラバ日本女子から聞き込み、すっかりその気になったわけですが、そもそも離婚後自分の生活は大丈夫なのか?と、思ったわけです。
手っ取り早く稼ぐには?水商売?
じゃあ、手っとり早くバリに行け、稼げる仕事ってなんなの?と考えた時に、「そうだ水商売をやろう!」と思いつきました。
何しろ健康だけは自信がありますし、自慢じゃないですが若い頃はこの私、銀座なんかに行くとよく街で「ホステスさんをやらないか?」とスカウトされたもんでした。そこで早速、当時バイト探しと言えばコレ!雑誌「アルバイトニュース」と「fromA」を買ってきたんです。あの当時は、ネットなんてものはありませんから、雑誌全盛期の時代だったんです。
そして夜のバイトで何かいいのないかなぁと、馬券売りかつバリフレンズと探すことにしました。そのバリフレンズは8歳くらい年下の若者でしたが、馬券の仕事以外特に何もしていないフリーターで、金が出来たら速攻でバリに行くという生活を続けていました。「うちも、なんかいいのあったらやろうかなぁ」って感じで、シェーキーズで揚げた芋を食べながら顔をつきあわせていました。
当時、ホステスさんはフロアレディとかそんなネーミングでバイト募集していたと思うのですが、それらの求人を見ているうちに、私とその友人には自分たちに致命的な問題があることに気づいたんです。とにかく二人とも「ガラが悪い」。
ヤンキー上がりで、喧嘩っ早く、髪は海に行きすぎて傷みまくりで、肌の色は真っ黒。そもそも酔っ払い親父の横に座って、根気強く話し相手をしてやれるだろうか?と考えた時に、お互い「無理無理無理無理ゼッタイ無理だよなぁ」という結論に至ったのです。
「うち、『オヤジしつけ~んだよ!』って怒鳴っちゃいそう」と友人が言えば、私も「『てめ~、ドケチのくせに、何偉そうなこと言ってんだよ』とかってキレちゃいそう」となって、高級クラブのホステスさんはもちろのこと、スナックの店員さんとかでも「無理じゃね?」ということになったのです。
カジノバーのフロント募集に注目
で、何かいい夜のバイトはないかなぁと思っていたら、「カジノバー:フロント募集PM7:00~零時」という広告が目に入ったのです。「まりちゃん、コレよくね?フロントなら酔っ払いのオジサンの相手しなくて良いしさ」と言ったら「りこちゃん、カジノって何?カジノバーってどんなところ?」と聞くから、「知らない。でもフロントで時給2000円だってよ!楽勝じゃね?」と言うと、友人は「えぇ、でもカジノってなんか怖そう。やめなよ、ヤクザがいたらどうする?」と止めてくれました。
しかし、そんな忠告など耳に入りません。もともと好奇心旺盛で、社会に歯向かうことがかっこいいと思っているような、厨二病の私。
「アルバイトニュースに載ってんだから大丈夫だよ」「ヤバいところだったら走って逃げてくる」と短絡的なことを言って、面接をしに行くことに決めたのです。
当時、時給の平均は1200円くらいで、夜の商売でホステスさんでもなく時給2000円というのは破格だったこともあります。結局友人は堅実に居酒屋かなんかでバイトすることになりました。
「ザ・ヤクザ」風のおじさん登場
さて生まれて初めてカジノバーなるものに面接に行きました。時は1994年の夏。そして場所は東大病院のすぐ近くの湯島です。どんな所だろう?とドキドキそしてちょっぴりワクワクしながら、エレベーターを登り、ドアが開くと目の前に生まれて初めて見るカジノなるものが広がっていました。
まだ開店前だったので、従業員達は忙しそうに準備をしていました。ディーラーはカードやチップで練習をしている様子でした。一人テーブルに座って黙々とカードシャッフルをしている人もいれば、ルーレット台では「用意~!スタート!」と声がかかり、散らばったチップを回収しながら何やらタイムを計っています。
水着にシースルーをつけたような、スケスケのきわどい衣裳で灰皿を配ったり、グラスを並べている若い女の子もいます(のちにバニーガールと呼ばれる女性アルバイトの人達と判明)。
その時は、もちろんそれが何かは全く分かりませんでしたが、私が面接に案内されたのは「大バカラ」のテーブルでした。そして、「店長、面接の人が来ました~」と誰かが怒鳴ると、奥からもういかにもといった、仁義なき戦いの高知東生さんのような「ザ・ヤクザ」みたいな人が出てきました。いくら30年前でもかなり珍しくなっていた、パンチパーマで紫のダブルのスーツと、リーゼントに紺の縞模様のスーツをきたものすごい貫禄のおじさん二人組(のちに同世代と判明)です。
私は内心「うわぁ、何だココ。どういうところなんだろう」と内心ビビりながらも、もう既に好奇心が抑えられません。チラチラと店内を見回しながら二人を観察していました。
この二人は店長と部長と呼ばれ、のちに判明していくのですが、店長の方はいわゆる街金の従業員だったんだかなんだかハッキリ判りませんが、とにかく関係者の人で、このカジノのオーナーはその街金の社長でした。一応、この街金は闇金ではなく、合法的な金融屋さんではあったようです。何しろ詳しいことは、ネット時代になった今、様々に検索してみても何一つ良く判りません。当時は誰も本当のことなどしゃべらないので、余計に何も判りませんでした。
そして部長と呼ばれている人は、土建屋さんの社長(一人親方らしい)が本業らしいのですが、この人がこのカジノのいわゆる「名義人=責任者」になっていました。
多分ですが、店を辞めてから、この店の人と会うことも全くなかったので、あくまで私の予想でしかないのですが、恐らく借金を重ね本業では食べていけなくなり、この店の従業員として派遣されたのだと思われます。こちらも付き合っていくうちにわかるのですが、とにかくとんでもないギャンブル狂いの二人でした。
地獄の門をくぐって
私の方は、律儀にきっちりと「東京大学医学部秘書 現在勤務中」なんて履歴書を持っていったものですから、二人は「えっ?東大で秘書やってるの?」などと驚いていました。
そして「うちはアミューズではないのですがいいですか?」と聞かれたのですが、こんな質問当時の私には全く意味がわからないんですよ。でも就職試験で「いいですか?」と聞かれたら、「いいです」と答えるのが常套手段。バブル育ちの私にそれ以外の選択肢などないんです。明るく「ハイ!」と答えると、今度は「風営法の関係で、アルバイトニュースの方には零時までと書きましたが、お店は朝4時まで営業してます」って言うんですね。だから何?と思いましたが「あっ、そうですか。わかりました」と答えました。
昔Discoでも12時で終了のふりして、実は朝までやってるなんてことがよくあったので、そんなもんだろうと思っていました。
こうして私は速攻でフロントとして採用され、翌日からこの店に通うことになりました。そうココが90年代の終わり、日本の繁華街で一斉を風靡し、荒稼ぎしていた闇カジノだったのです。
私はいよいよ地獄の門をくぐってしまいました。
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コメント
危ない〜!とハラハラしながら読みました。再現動画に「※筆者は特殊な訓練を受けています」とテロップが出る様子まで容易に想像できるスリル回ですね。
闇カジノはゲーム龍が如くシリーズでしか見たことないですが、やっぱり入り口も一見すると煌びやかで豪奢な空間に繋がってるとは思えないビルだったりしたんでしょうか。次もハラハラ展開が約束されていて、今からドキドキします!
リコさんの軌跡をたどるギャンマネ!
こんな時期があったんだとびっくりするし、リコさんの語りが聞こえてきそうな文章が楽しくて、しかしめちゃくちゃハラハラする内容。
どうなってゆくのか…!?
続きを早く読みたい!
同世代ですが、りこさんは私の知らない世界を生きておられ、毎回ハラハラドキドキしながら読ませていただいています。今回もとっても面白かったです。
カジノバーのバイトを友人に止められた時、「ヤバイところだったら走って逃げてくる」のところはクスッと笑ってしまいました。この先が楽しみ!
今回も期待を裏切らないびっくりな内容でハラハラワクワクしながら読ませていただきました。お金が欲しいから高時給のバイトで稼ごうという動機はわかるけど、この面接官(?)2人が出てきた時点で私なら逃げ出すだろうなぁ…、それを突き進んでいくりこさんのタフさはスゴイ。地獄の門をくぐり抜けて辛酸を舐め尽くしたりこさんだからこそ語れる体験は本当貴重です。続きが待ち遠しいです!
今のりこさんに繋がる本筋、核心のストーリーが始まったな、と思いました。
もうヒヤヒヤなんですけど!
りこさんが歩まれてきた人生には、さまざまな形でギャンブルが関わっていたのだと、何か感慨深い気持ちで拝読いたしました。
くわえタバコに立膝
サブタイトルは『地獄の門をくぐって』
コワイ…
でも 次が読みたい。
流石過ぎます!
やっぱり神様に導かれてる気がします。
早くも続きが楽しみです。
今回は読んでいてドキドキしました。
好奇心旺盛でも、ヤクザかもしれない所で働こうとするなんて、ハラハラドキドキ。当時から誰にも臆さず、真っ直ぐな方だったのだなと。なんかカッコいいなと思いました。
次も楽しみです。
ドラマのような本当の話しに引き込まれます!ギャンブルど真ん中地獄の門ですね…。ここからどうなっていくのか続きが気になります!
どういうところなんだろうと思いつつも、好奇心が抑えられないというところが、やはり、すごいと思いました。店長と部長が気になる。外に外にと目がいくのは、かけねなしに、すごいと思いました。90年代の終わり、一斉を風靡し、荒稼ぎしていた闇カジノの門をくぐったという、最後の文章もすごい。ここから先が気になる回でした。
りこさんの好奇心は凄い!
ビビリの私は到底近づかない場所です。
その好奇心と頭の回転の速さが今のりこさんの原点なんですね!
もう次を早く読みたいです!
実話だけど、ドラマの中の話だと思ってしまう、そして懐かしいワードもいっぱいあって早く映像化してほしいし、次が読みたい衝動止まらない!
地獄の…ワクワク
え〜!闇カジノだったんですか?
この頃から縁があったなんて!なんとも不思議。
物おじしない度胸、人並外れた好奇心、まさに与えられたんですね〜。
こんな傑作なリアルストーリー、なかなかないですよね。読めて嬉しい。
続きがまたまた楽しみです!
きゃ〜!りこさん!どこまでも勇気と好奇心が旺盛過ぎてハラハラドキドキ!まるで映画のワンシーンでも見ているかのよう!人生の点と点が線になり始めました!後にギャンブル依存症問題を考える会の代表となり、ギャンブル依存症で苦しむ当事者や家族を全力で救い出す人になるとは…誰が想像したでしょうか?こんなスリリングな人生を生きて今こうして仲間達を救い出しながら生きていてくれるりこさんに心からの感謝!続きが楽しみで仕方ありません!
社会に歯向かうことがかっこいいと思ってる厨二病の私…私もそうだったなぁ。
バリからカジノバーへ、とにかく行動力がすごいですね。地獄の門をくぐったあとどうなっていくか楽しみ。
タイトル「地獄の門を元気よくぐる!」から爆笑、ビビリな私が実際そこにいたら失神しそうな濃いスリリングな内容、でもりこさんのユーモアでこんなに笑って読めるなんて。
映画化もしくはドラマ化して欲しい。ネットフリックスで一世風靡しそう。
「無理無理無理無理ゼッタイ無理だよなぁ」に爆笑
好奇心旺盛で怖いものなしのリコさん。
過去の出来事だとわかっているのに、ドキドキしながら読んでしまう。
ああ、ここで地獄の門をくぐるのですね。
怖いけど、早く続きを読みたい。