「逮捕では解決できない」 米オハイオ州公安局と民間団体が大手スーパーなどで依存症の回復支援イベントを開催
「ダメ。ゼッタイ。」でおなじみのキャンペーンが日本で行われる中、アメリカでは公安局や警察、社会福祉サービス、民間サービス事業者、医療関係者が手を取り、依存症からの回復にむけてあらゆる障壁を取り除くためのイベントが開催されている。
その一つが、米オハイオ州の「オペレーション・ブリッジ(Operation BRIDGE。正式名称はBridging Recovery and Interdiction Data Gathering Enforcement)」だ。
公開日:2024/07/30 02:00
「逮捕で解決できる問題ではない」
オペレーション・ブリッジは、オハイオ州公安局 (ODPS) とRecoveryOhioが協調関係のもとで主導するイベント。
米メディアChronicle Telegramによれば、「(オハイオ)州は、逮捕すれば解決できる問題ではないことを全員が理解している、と語っている」という。
薬物依存症に苦しむ人々が回復し続けるためには、薬物との関係以外にも多くの課題に直面する。仕事を失ったり、精神状態を悪化させたり、といった課題だ。
オペレーション・ブリッジでは州が住民に総合的なサポートを提供するために、法執行機関とコミュニティ支援プログラムとのパートナーシップを構築することに重点を置いている。
無料の健康診断、薬物使用やメンタルヘルス治療の紹介や就職支援なども行われ、当事者に限らず誰もが参加できる仕組みだ。
大型スーパー、ウォルマートも会場に
オハイオ州では、これまでロス郡、サイオト郡、コロンビアナ郡といった地域ごとにイベントを開催しており、8月初旬にはロレイン郡でもイベントを予定している。ここで特筆すべきは、大型スーパーのウォールマートなどオープンな場所で開催されている点だろう(出典:The Morning Journal、The Review)。
ロレイン郡公衆衛生局の広報担当官ケイティ・ベヴァン(Katie Bevan)氏はChronicle Telegramの取材に対し「人々が毎日通う場所で回復と予防に関する情報を提供することによって、治療や人命救助の障壁を打ち破ることができる」と期待を寄せる。
依存症は誰かに相談しづらい病気の一つだ。だからこそ、日々の生活習慣になじんだオープンな場で、依存症からの回復を支援するための総合的な情報を提供することの意義は大きい。
当事者や家族の孤立を和らげる可能性だけでなく、依存症に苦しむ身近な人に対してどのように手を差し伸べることができるかを知るヒントにもなるかもしれない。
依存症からの回復、そして社会への回復を願う
8月初旬にイベントを控えるロレイン郡のリチャード・ボズリー(Richard Bosley)保安官は「依存症からの回復は重要だが、このイベントにはそれ以上の意味がある」という。
ボズリー氏は、一般市民に対して依存症から回復するために必要なリソースを提供できるだけでなく、法執行機関の職員に対して依存症などの問題で助けが必要な人をどこにつなげれば良いかを知らせる役割も果たすだろうと述べている。
【出典】
'Operation Bridge' Aug. 1-2 at Elyria Walmart to help with substance abuse recovery and services (Chronicle Telegram)
Operation BRIDGE hosts successful event in Scioto County (The Highland County Press)
Lorain County Drug Task Force organizing addiction recovery resource fair (Morning Journal)
Operation BRIDGE Days (The Review)
Operation BRIDGE Wraps Up: Ross County Takes Aim at Drug Trafficking and Addiction (The Scioto Post)
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コメント
日本でもそのような取り組みが出来たらいいな。よく行くスーパーやコンビニに普通に情報提供があれば繋がるハードル低くなりそう。