「水原一平さんの事件は対岸の火事ではない」 日本でもスポーツ賭博を含む違法なオンラインカジノの相談が2割超に
ギャンブル依存症問題を考える会の相談をまとめた調査で、スポーツ賭博も含めた違法なオンラインカジノの相談が2割を超えたことがわかりました。水原一平さんの事件は対岸の火事ではありません。
公開日:2024/04/12 04:44
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5月14日~20日は「ギャンブル等依存症問題啓発週間」。
これを前に、ギャンブル依存症問題を考える会(田中紀子代表)は4月12日、相談会に訪れたギャンブル依存症者の家族の2023年の相談状況をまとめて発表した。
20代〜30代の依存の相談が8割を占めるなど低年齢化が進み、スポーツ賭博も含めた違法なオンラインカジノの相談は2割を超えた。犯罪や逮捕に結びつく案件も急増し、急激にギャンブル依存症問題が悪化していることが透けて見える結果だ。
大谷翔平選手の通訳、水原一平氏が1600万ドル(24億4800万円)以上を大谷選手の口座から不正に送金したとしてアメリカの捜査当局に訴追されたところだが、同会は「日本でも決して対岸の火事ではない」として規制強化を求めている。
相談の8割は20〜30代と低年齢化
調査は、同会の相談会に訪れたギャンブル依存症者の家族にアンケートに回答してもらう形式で行われた(毎年1〜12月分を集計)。2023年は479人の回答があった。
それによると、ギャンブル依存症当事者の年齢は年々、低年齢化が進み、今年は20代が37%(175人)、30代が41%(198人)と、20〜30代で8割を占めた。
同会によると、これはスマホでどこでもできるギャンブルのオンライン化が進んでいるため、誰にも見られることがなくのめり込み、急速に依存症になってしまう環境があるからだ。
最近では10代が違法なスポーツベット(スポーツ賭博)をやっているという相談もあり、スポーツベットが蔓延している高校もあるという。年齢制限で出金ができない高校生のためにアカウントを売買する業者も現れ、低年齢でギャンブルにハマっていく環境が整えられている。
違法なオンラインカジノの相談が2割越え
また日本ではオンラインカジノは違法だが、スポーツベットも含むオンラインカジノの相談が急増し、97件(20.3%)と昨年(52件、13.1%)から急増した。
同会によるとコロナの巣ごもり需要が影響しており、デジタル分析支援会社「シミラーウェブジャパン」によると、2021年は日本からのアクセスがこれまでの100倍に増え、米国、ドイツに次ぐ世界第三位のアクセス大国となっているという。
特にオンラインカジノで逮捕や犯罪に結びつく割合が増加
さらに犯罪絡みの相談も年々増え、2023年は135人(28.2%)に増加した(※2021年までは逮捕された件数を集計しており単純比較はできない)。ギャンブルで多額の借金を抱えた末の、横領、窃盗、詐欺が多いという。
特に24時間スマホでできて、短期間で借金が多額に膨らむオンラインカジノの影響が大きく、オンラインカジノをやっている人とやっていない人の逮捕・犯罪率を比較したところ、オンラインカジノをやっている人の方が高い割合で犯罪に結びついていた。
同会は「そもそも違法なものへのハードルが低い人が手を出し、消費者金融から借りられる額の制限で闇金や闇バイトに手を出してしまう。そういう人はネットで違法に金を得る情報をつかみやすく、急速に重症化してしまう」と要因を分析している。
借金額も増加
さらにギャンブルに絡む借金の額も年々増加し、昨年は一人当たりの平均額が855万円だった。
コロナ禍でパチンコからオンラインでギャンブルにシフト
また、コロナ以前は圧倒的にパチンコに関する相談が多かったが、コロナ禍での巣ごもり需要でスマホ1台でどこでもできるオンラインギャンブルにシフトしている。
公営競技もオンラインでできるようになったことから、かつてはほとんど相談のなかった競輪やオートレースの相談も増加しているという。
水原一平さんの事件は対岸の火事ではない
調査結果についてギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子は、こう訴える。
「オンラインカジノの問題がこんなにも蔓延している日本で、水原一平さんの事件は決して対岸の火事ではない。金額を小さくした事件は日本の至る所で起きているのに、事実上、野放し状態となっている。犯罪にまで人を追い込むオンラインカジノを規制するオンラインカジノ対策新法が必要だと考えているが、全くその議論が進まずもどかしい」
「若い人たちが犯罪にまで手を染めてしまい、人生を失っている。この被害に対して、あまりに対策が遅過ぎる」
コメント
オンラインカジノの摘発に加えて、闇金の摘発も必要。
昨今ではスマホひとつで誰でも簡単にお金を借りることが出来てしまう。
ギャンブル依存症と借金は同時進行。
それによって、家庭崩壊・子どもの養育費も無いほどの貧困に陥いってしまう。
本人は究極、自ら命を絶つことも、、
ここまで人を不幸に陥れるような悪徳なギャンブルや闇金を
警察は何故放置しているのか、何故真剣に取り締まりを強化しないのか。
そもそも国が公的ギャンブルを認めていることや、更にまだ大阪にカジノを誘致、
人々を不幸にするようなことに税金を使ってる。あり得ない。
この状況で放置されていることかおかしいんじゃないかとさえ思える。
本当に危機だよ、日本の依存症対策。
現実を見てない。。
何よりも考えなくちゃならないのは国民のことであり、未来を担っていく若者のことではないのかな。
低年齢化、オンラインカジノと犯罪率、グラフの上昇が同じで借金の平均額も恐ろしい数字だ。これは相談会に来た人の数字で、どこにも相談出来ないままでいる人は、どのくらいいるんだろう。オンラインカジノの規制へ早急な対応を望む。
民間団体がこんなに調査して対応をしてるのに、国の対策も支援も進まない。
addiction.reportの発信から何かが、動き出す事を願っています。
応援しています。
水原一平さん個人についてこぞってニュースに取り上げているのに、なぜ日本のギャンブル問題に目を向けないのか不思議でしょうがない。
スキャンダラスにプライバシーを掘り起こすより、自国の目の前にある問題に取り組むことが急務。
これだけの調査結果が出ているのだから、ぜひ議論し、対策をとるために動いてほしい。
現場でに一夜を問わず対応し、調査をまとめることができる家族や当事者を対策のための議論に加える必要があるのではないでしょうか。