ギャンブル依存症の支援団体、専門医らが大阪府に啓発動画の削除、是正を求める要望書を提出
若者向けのオンラインギャンブル啓発動画「ギャン太郎」が批判を浴び、公開を一時停止している問題で、支援団体らは1月30日、大阪府に完全に削除することと、適切な動画を作成し直すことを求める要望書を提出しました。

公開日:2026/01/30 06:37
若者向けのオンラインギャンブル啓発動画「ギャン太郎」が批判を浴び、公開を一時停止している問題で、支援団体らは1月30日、大阪府に完全に削除することと、適切な動画を作成し直すことを求める要望書を提出した。
呼びかけ人の公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」を含む、NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会、一般社団法人ARTS、特定非営利活動法人ASKなど6団体と、ギャンブル依存症の患者を診療する精神科医ら27人が賛同者として名を連ねた。
偏見を助長し、精神論に終始
要望書では、主人公の「ギャン太郎」がオンラインギャンブルにハマる動機を「ラクして生きる人生見つけたかもしれん」と描いていることが、「『ギャンブル依存症になる人間は怠け者である』という誤ったステレオ対応のギャンブル依存症者像を強化する」と指摘。

「依存症は環境要因など複合的な理由で発症するれっきとした精神疾患であり、性格の問題ではありません。このような安直な人格否定表現は避けるべきです」と、依存症者への偏見を助長する表現であることを批判している。

また、依存症になったことを「自分が”鬼”になってしまった」と表現し、解決法として「自分の中の鬼に勝つ」ことが重要であると説いていることについて、「ギャンブル等依存症が、本人の性格や気の持ちようの問題であるかのような誤解」を与えるとした。その上で、「依存症は脳の機能不全を伴う『病気』であり、意志の力や根性論で克服できるものではありません。病気としての説明が欠落している点は、公的機関の発信として極めて不適切です」と述べた。

さらに、桃太郎のパロディのこの動画で退治すべき「鬼」を、ギャンブルにハマった当事者に当てはめていることについて、「本来であれば未成年や若者をターゲットに違法行為を行わせる『違法業者』に向けられるべき」と指摘。「依存症という病気に苦しむ当事者を『鬼(=異質なもの、排除すべきもの)』として描くことは、当事者の自尊心を傷つけ、孤立を深める結果となります」と強く批判した。
最後に、相談するシーンで、依存症の回復に重要な役割を果たしている「自助グループ(GA等)」や「民間回復施設」が紹介されていないことにも触れ、「情報提供として不十分であり、利用者の回復の機会を狭める」と非難した。
動画の完全削除と現場の声に基づいた新しい動画の作り直しを要望
以上のような問題点を指摘した上で、動画の完全削除や、「オンラインカジノは違法である」というメッセージと同時に「ギャンブル等依存症は治療が必要な病気である」という医学的根拠に基づいた内容に是正した動画に差し替えることを要望。
新たな動画を作成する際には、自助グループや民間支援団体など現場の声を反映させ、「依存症に理解のない業者に丸投げすることはやめてください」と求めた。
