葉梨内閣府特命担当大臣「来年度に実態調査をやることは決まっている」 依存症対策議連が政府に実効性のあるギャンブル依存症対策を求めて申し入れ
超党派の依存症対策議員連盟が10月27日、葉梨康弘内閣府特命担当大臣に「ギャンブル依存症対策に関する申し入れ」を手渡しました。葉梨大臣は、以前からオンラインギャンブル対策などに力を入れてきたことに触れ、申し入れ項目の一つであるギャンブルによる社会的損失等の実態調査を、来年度に行う方針であることを明らかにしました。

公開日:2026/10/27 10:14
超党派の依存症対策議員連盟(会長=中谷元・自民党衆院議員)は10月27日、葉梨康弘内閣府特命担当大臣に「ギャンブル依存症対策に関する申し入れ」を手渡した。
ギャンブルによる社会的損失等の実態調査や違法オンラインカジノのブロッキング導入など5項目を求めた。
中谷会長は、「ぜひ、調査を政府としてやってもらいたい。ネットカジノは違法なのですが、ネットを見るとコマーシャルがあふれていて、こんなのを容認していいのか疑問に思います」と大臣に違法なオンラインカジノが野放しになっている問題を訴えた。
同席した「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、「若い20代、30代の男性たちが依存症になって、犯罪まで行ってしまったり自殺してしまったり、大きな国の損失だというふうに思っております」と、早急な対策を要望した。
ギャンブル依存症対策5項目を申し入れ
申し入れ書では、競馬や競輪、競艇などの公営競技について監督官庁の取り組みが不十分なうえ、違法なオンラインギャンブルについては、広報・啓発などでは対応できない深刻な状況に陥っていることを指摘。
公営競技も含めたギャンブルのオンライン化で、依存症の若年化が進み、借金額の増大で犯罪や自死に至るケースも増えていて、「ギャンブル依存症はもはや我が国の国力を削ぐ大きな社会問題となっている」と説明した。
「エビデンスに基づいた実効性のあるギャンブル依存症対策が早急に講じられることを切に願い」として、以下の5項目を要望した。
- ギャンブルによる社会的損失等に関する調査
ギャンブル依存症については、高額の借金で横領等の犯罪に走るケースや働き盛り世代の失業、自死等の深刻な事態が生じているにもかかわらず、依存症による社会的損失などの実態調査は行われていない。エビデンスに基づいた実効性のある対策を講ずる上で、専門家による調査を実施する必要がある。
- クレジットカード等の後払い決済の規制
公営競技のオンライン投票におけるクレジットカード等を利用した後払い決済がギャンブル依存症や高額の借金の誘因となっているとの指摘があるが、対応が進んでいない。オンライン投票における後払い決済についての法規制を検討すべきである。
- 公営競技におけるポイント制の規制
公営競技におけるポイント制(登録や友達紹介などで賭け金に使えるポイントが付与される特典が、利用者をギャンブルに誘い込む)についても、昨年来、ギャンブル依存症の要因となっているとの指摘があるが、過剰なキャンペーン等は収まる気配がない。効果の不確かな自主的取組みに任せるのではなく、公営競技全般に横断的な法規制を検討すべきである。
- 違法オンラインカジノのブロッキングの導入
総務省の「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」で、違法オンラインカジノへのブロッキング等について検討が行われ、報告書案がとりまとめられたが、更に検証が必要であるとしている。深刻な被害を生み続ける違法オンラインカジノに迅速かつ適切に対処すべく、ブロッキングの制度設計に関する具体的な検討を加速すべきである。
- 十分な普及啓発等の予算の確保
ギャンブル事業では巨額の広告宣伝費が投じられている一方で、依存症に関する普及啓発のための厚生労働省の予算は、アルコール、ギャンブル、薬物を合わせて5000万円にとどまっている。数年後にはカジノ開業も控える中、この程度の予算規模では、有効な普及啓発の対策を講じることは困難であり、アルコール・薬物とは別建てのギャンブル依存症啓発予算を早急に確保すべきである。ギャンブル事業者が相応の負担を担うべきである。
田中紀子代表が対策の必要性を訴え
葉梨大臣への申し入れ書手渡しに同行したのは、中谷元会長(自民)に加え、事務局長の福山哲郎・参院議員(立憲)、副会長の庄子賢一・衆院議員(公明)、打越さく良・参院議員(立憲)、西岡義高・衆院議員(国民)、野村美穂・衆院議員(国民)、足立康史・参院議員(国民)、神谷宗幣・参院議員(参政)、宇佐美登・衆院議員(みらい)の計9人。
まず、中谷会長が申し入れ書の内容を説明した後、ギャンブル依存症の当事者や家族の支援活動を行ってきた「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表から、今起こっている問題について伝えた。

田中代表はまず「公営競技とオンラインカジノはスマホが賭博場になってしまったので、あっという間に依存症になってしまう」と、依存症になった若い男性たちが犯罪に巻き込まれたり、自殺に追い込まれていたりする現状を報告。
「そういった社会的損失に関して調査をしていただき、以前警察庁で調査していただいた時はオンラインカジノの調査だけだったので、ギャンブル全体の調査ということをお願いしたい」と要望した。
また、若いギャンブラーを依存に追い込むポイント制や後払いで借金がかさむクレジットカードの使用などは廃止を求めたうえで、こう啓発の必要性を強調した。
「何よりも本当に啓発が足りていないということで、特にご家族に向けて、ギャンブルの借金をいつまでも肩代わりしてたらダメなんだということを啓発強化したい。また、今、年齢制限が非常に曖昧になっていて、スマホでできてしまうので、兄弟とか親の身分証明書で始めてしまう。公営競技が特にゆるゆるになっているので、子供たちをギャンブルから守るために予防教育の予算もしっかりつけていただければと、大臣にお願いできたら」
議員らは何を訴えた?
続いて、同行した議連の議員一人ひとりが思いを伝えた。

福山事務局長は、「ギャンブル(の社会的損失)は関係する省庁の幅が広く、横断的な調査が必要なので、ぜひ大臣がイニシアチブを取っていただいて、政府内である程度旗を振っていただければ」と、実態調査の指揮をとることを要望した。
神谷議員は、熊本の被災地に行ったことに触れ、「震災でショックを受けて仕事に行けない時に、ギャンブルにはまってしまう例が結構あるということなので、震災などが起きた後に、魔が差していかないような注意や啓発が必要」と、対策を求めた。
庄子議員は、「オンラインギャンブルが犯罪なのだという意識の刷り込みや啓発がまだ足りていない。みんなが犯罪の入り口を手に持って歩いている国で、啓発は非常に大事だと思う」と啓発の重要性を強調した。
打越議員は「報道によると、裁判所の裁判官ですらオンラインカジノで過ってしまい、裁判官という職務が難しい状態になってしまう。違法なこととわかっているはずの方もスマホ一つでそうしたことになれば、社会的損失や家族のダメージは大きい」として対策を求めた。
カジノも含む統合型リゾート(I R)建設が予定されている大阪に拠点がある足立議員は、「2018年にIR法ができた時、ギャンブル等依存症対策基本法が兄弟法としてできた。今、準備をどんどん進めているが、ギャンブル依存症対策に魂を入れる作業を今やらなくてはいけない時だと思うので、ご尽力いただきたい」とIR建設に絡めて依存症対策の重要性を述べた。
西岡議員は「クレジットカード等、後払い決済が使えることによって、実質は借金をしているという意識がないままギャンブルを始めてしまう状況にあると思う。こういった後払い対策もしっかり進めるようお願いします」と述べた。
宇佐美議員は、「オンラインカジノは、競艇などでは今まで1年かかってたのが、ひと月で3000万ぐらいまで借金が増えてしまう。完全に家族を犠牲にしてしまうので、ぜひご考慮いただきたい」と借金の膨らむスピードが早くなっている問題を強調した。
野村議員は、家族会が予防啓発のためのパンフレットやポスターの印刷代を工面するのに苦労し、同行支援の交通費も自腹を切っている現状を伝え、「予防啓発の活動をされている団体に、そういった費用の十分な予算をお願いしたい」と支援団体への助成について要望した。
同行した家族も要望を訴え
同行したギャンブル依存症の家族も要望を伝えた。
ギャンブル依存症問題事務局長の田所幸子さんは、ギャンブル依存症になった息子が横領事件も起こしてしまうほどになり、800万円ほど肩代わりした経験を説明。家族会につながって、それがダメだとわかってやめたと話し、こう訴えた。
「ただ、今の方を見てると、もう4桁、1000万超え、2000万超え、3000万超えを、支払ったと困ったご家族が相談に大勢みえています。
ものすごくスピードが早くなってると感じておりますので、対策をよろしくお願いいたします」
葉梨大臣「令和9年度に実態調査をする」
議員や支援者、家族の訴えをメモを取りながら聞いていた葉梨大臣は、ギャンブル等依存症対策基本法の中でオンラインカジノに誘引する情報を違法にしようと言い出したのは、自民党治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の会長だった自分だったことを明かし、こう述べた。
「まさに賭博というのは治安問題だし、罪にもなるし、社会生活を破壊してしまう。警察庁が調査をして3月に結果が出て、1億2500万円の被害額でやっている人の6割が依存症だと自覚し、かつ若い人が多い。高市さんの号令で、とにかくギャンブル等依存症対策基本法に誘引情報の違法化を入れようということで皆さんの党にご賛同いただいて、スピード成立を見た」

そして、海外の違法サイトは削除要請をしてもなかなか削除されない現状があることに触れ、「正直、海外のサイトに罰則をかけてもなかなか難しい面がある。これはやると言っているわけではないのですが、総務省には当時も相当強く言いました。『ブロッキングをやれないか』という話をね」と、ブロッキングに前向きであったことに触れた上で、こう述べた。
「(総務省は)通信の秘密をすごく大事にする役所だから最初はネガティブだったんですが、ようやくそれを検討の俎上に乗せようというところまで来たのが現段階。(「オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会」の)報告書の中でも、ギャンブル等依存症を抑止するために他に手段がなければ(ブロッキングは)有効だというところまでようやく来た。よく総務省とも連携を取りながら、ギャンブル等依存症で、特にこのオンラインカジノは非常に大きな問題なんだということを言っていくことは続けないといけないと思ってます」
そして、今回の申し入れで求めている、ギャンブルによる社会的損失等に関する調査についても「令和9年度にやるというのは決まっているようです」と、来年度に実現することを明かした。
「厚労省の科研費の中でやっていただけることは決まっている、横断的な話だからどういう形で有効に進めるかの制度設計はまだこれから。(中略)来年度、有効な調査になるように、制度設計についてもよく各省庁と連携しながら働きかけるようによく言っとこうと思います」と前向きな姿勢を見せた。
その上で、「それができた上で、エビデンスをもって政策を前に進めることがどうしても大事になってきます。今非常に苦しんでる方もいるし、大変な状況にある方がいるのはよく分かるのだが、やはり国でいろんな政策を進めるにあたっては、ある程度のエビデンスは必要ですから、しっかりスピード感を持ちながら考えていきたいなと思います」
出席議員の1人から「完全に与野党一致なのでここはぜひよろしくお願いします」と超党派で政策を後押ししていく考えを述べると、葉梨大臣は「関係省庁いろいろとまたがるところもありますので、どことは言いませんけれども、ぜひ尻をたたいていただければ」と各党の協力を求めた。
