酒好きライターが予定外の妊娠!絶対禁酒の生活レポート
毎日飲酒している酒好きの筆者がある日予定外の妊娠。妊娠中や授乳中の飲酒は胎児に悪影響を及ぼすため当然禁酒しなければならない。習慣化していた飲酒を突然やめた筆者の体験談をお届けする。
公開日:2025/04/24 02:00
筆者は酒好きで、21歳の頃から37歳の今までほぼ毎日飲酒し続けている。また、昨年10月にお互い酒好き・音楽好きのパートナーと結婚して、新婚旅行は筆者の地元宮崎県で焼酎の酒造巡りだった。晩婚ということもあり、子どもを作る予定はなく、二人で楽しくおいしい食事とお酒を飲んで、たまに旅行をしたり好きなミュージシャンのライブに行ったりして今後の人生を歩んでいこうと決めていた。
予定外の妊娠で突然禁酒スタート
ところが先日、予定外の妊娠が発覚。もともと生理不順だったため妊娠に気づくのが遅れ、既に安定期に入っている16週(妊娠5ヶ月)だった。妊娠中の飲酒は胎児に悪影響を及ぼすために絶対にNG。この日から禁酒がスタートした。

しかし今年の初め、なんとなく最近飲み過ぎかもしれないと思い立ち、禁酒にチャレンジしている。一ヶ月くらい禁酒する予定だったが、もともとあった摂食障害の過食がひどくなり16日間でギブアップした。ただ、このときは既に妊娠していたのだった。なんとなくチャレンジした禁酒だったのだが、実は本能的な禁酒だったのかもしれない。
大好きなお酒を飲めないことは相当なストレスになるのではないか、また摂食障害の過食がひどくなるのではないかと心配だったが、お腹に新しい命が宿っていると思うと突然母性が芽生え、5ヶ月間も気づかずに飲酒していた罪悪感もあり、飲みたいと思わなくなった。心配していた過食もすることはなかった。厚労省によると生後1歳6ヶ月頃までに卒乳することが推奨されている。ということは、完全母乳にすると後2年近く飲酒できない。さすがにこれは我慢の限界ではないかと一瞬だけ絶望した。
好きだったお酒の匂いが苦痛に
今までは夕飯後、夫と晩酌をしながら映画やドラマを観るのが日課だった。それが妊娠発覚の日から私のドラマ・映画鑑賞のお供はノンカフェインの黒豆茶やルイボスティーになった。夫は隣で芋焼酎のお湯割りを飲んでいる。最初の頃は平気だったのだが、妊娠19週目に入って胎動を感じ始めた日から嗅覚に変化が起こった。隣で夫が飲んでいる焼酎の匂いで気持ち悪くなるのだ。それを伝えると「お湯割りだから匂いやすいのだと思う。ロックに変える」とのことだった。
また、街ですれ違った人の香水の香りが不快になり、愛用していたフェイスパックの匂いもキツくなってパックをしなくなったら肌が荒れて化粧ノリが悪くなってしまった。
味覚も変わった。甘いものは好きではなかったのに甘いものを欲するようになった。これは以前、禁酒したときも同じだったので、妊娠のせいなのか禁酒のせいなのかはわからない。妊娠中に食べ過ぎて急激に太ると妊娠糖尿病になる可能性があるため、毎日甘いもの食べるのはよくないと分かっているのだが、どうしても食べたくて夕飯の買い物でスーパーに行くとシュークリームやプリン、アイス、甘いジュースに手が伸びる。そこで、甘いものは2日に1回と自分の中でルールを作った。
あれだけ甘いものを食べていたからきっと体重も増えているだろうなと思った2回目の検診の体重測定の際、400gしか増えていなかったので安心した。
禁酒により行きつけの飲み屋にも行けなくなった。ソフトドリンクでご飯だけ食べに行こうとしたが、その日はもう遅い時間だった。やはり居酒屋はアルコールの単価が良いため、飲めないとなるとマスターに申し訳なくなる。出産して子どもができてしばらく経って飲酒ができるようになったとしても、子どもの世話があるため外食自体が難しくなる。子どもがいるとカウンターのみのラーメン屋だって気軽に入れない。そこで今は、子どもができたら行けなくなるような飲食店に今のうちに行って食べ納めしている。
居酒屋もお酒を飲めないのはマスターに申し訳ないが、今度早い時間帯に行ってマスターに妊娠の報告をし、ソフトドリンクと食事を楽しむ予定だ。子どもが大きくなったらまた来ます、と。
新宿二丁目の行きつけのゲイバーにも後数年は行けないのが非常に残念だ。6年程前から通っていたゲイバーだったが、結婚を機に行く回数が減ってしまっていた。ゲイバーこそお酒以外のものを飲めないので(ノンアルでもママや従業員にお酒をごちそうすればいいのだが)もっと店に通っておくべきだった。
このように、お酒を飲めない生活は楽しみが減ったものの意外とつらくない。ただ、夫が飲んで酔っ払って絡んでくるのがたまにうざったく感じる。シラフの人からすると酔っぱらいほど面倒なものはない。居酒屋の店員は毎日酔っ払いと接していると思うと頭が上がらない。
また、妊婦はアルコールだけでなく様々な食べ物や薬が制限される。ナマモノ、カフェイン、水銀を多く含む魚、ヨウ素を含む海藻類、塩分の高いインスタント食品など。筆者はADHDと双極性障害Ⅱ型と睡眠障害のため精神科の薬を多く服用していたが、主治医の指導のもと薬を大幅に減らし、ADHDの薬も飲めなくなった。
ADHDの特性の眠気や不注意対策のため、毎日コーヒーをガブ飲みしてさらにエナジードリンクを飲まないと集中して原稿を書けないでいたのだが、妊娠のためカフェイン断ちをしたら一気にやる気のない人間になってしまった。この原稿も普段ならネタ出しでOKが出たら2〜3時間で書き上げられるところなのに、もう4日も経っている。ミスも多い。
ADHDや精神疾患持ちの妊婦だとお酒を飲めないこと以外で困ることが多いが、9月の私と同じ誕生日が出産予定である我が子のことを思うと今を乗り越えられそうだ。
そして禁酒解禁の暁にはまず、キンキンに冷えた生ビールを飲みたい。気持ちよく酔っ払う感覚をまた味わいたい。アルコール依存症に気をつけつつお酒を楽しめる生活をまた迎えられますように。