シンディ・クロフォードの息子の死が喚起する、回復施設、治療への疑問
かつてスーパーモデルとして一世を風靡したシンディ・クロフォードの息子プレスリー・ガーバーが27歳で急死しました。彼が亡くなった場所である、セレブ向けに作られた薬物依存症の回復支援施設のあり方に疑問が投げかけられています。

公開日:2026/09/29 02:04
シンディ・クロフォードと実業家ランド・ガーバーの息子プレスリー・ガーバー(27)の息子の若すぎる死をきっかけに、回復施設の実態にあらためて焦点が当たっている。亡くなった場所は依存症からの回復を目指す人たちのための高級有料ホームで、死因はまだ明らかにされていないものの、オーバードーズと見られるのだ。このような場所で、こんな悲劇が起きたとは、どういうことなのか。
若い頃から依存症とメンタルヘルスの問題に苦しんで
スーパーモデルとして一世を風靡した母の血を受け継いだプレスリーは、自身も15歳でモデルデビュー。カルバン・クラインの広告に出るなどして注目されたが、近年は依存症とメンタルヘルスの問題から立ち直ることに集中してきた。
その葛藤についてインスタグラムでオープンに語る彼を、母シンディや妹で女優、モデルのカヤ(日本ではカイアと表記されているが、実際の発音に近いのはこちら)は公にサポートし、「誇りに思う」とメッセージを送っていた。
高級回復施設に入所した時にはドラッグの影響?
そんな彼は、現地時間今月19日午後6時ごろ、友人、依存症からの回復を指導するコーチを同伴し、サンタモニカにある、一見したところ高級住宅のような「Resolution Living」にチェックインした。この数ヶ月、プレスリーは、毎日、1日中、このコーチに付き添ってもらっていたらしい。
だが、入所時のプレスリーには、ドラッグまたはアルコールの影響が見られたという。救急車が呼ばれたのは、その翌朝。プレスリーは、搬送されるまでもなく、その場で亡くなった。彼の状態が急変した時、コーチがそばにいたのかどうかはわかっていない。
治療施設に連れていくべきだった?
この悲劇をめぐっては、いくつかの疑問が出ている。
「Resolution Living」は、あくまで回復を目指す人たちが滞在するホームであり、治療は行わない。プレスリーは影響を受けた状態でやってきたというし、治療を専門とする施設に行くべきだったのではないかと指摘されているのだ。それに、疑われている通り、過剰摂取をしたのであれば、このホームは外から薬物が持ち込まれるのを監視できていなかったということになる。そんな最も基本的なことも守れていないのだろうか。
そもそも、こういった滞在施設は、グレーゾーンに位置する。カウンセリングや治療指導を行わないこれらのホームは政府の規制の対象外で、オープンするのにライセンスは必要なく、どこにどのような施設が存在するのかも行政は把握していないのだ。
このホームの経営者で心理学者のレザ・ナバヴィは、自身も過去に依存症を抱え、違法薬物所持で起訴された過去を持つ。「Resolution Living」をオープンする前の2006年から2011年までは、「Promises Malibu」という海の見える超高級施設に勤めていた。チャーリー・シーン、ブリトニー・スピアーズ、ベン・アフレックらも滞在した場所だが、適切な免許を持たない人を医師として雇っていたなど複数の違法行為で訴訟され、廃業に追い込まれる(ただし、ナバヴィ個人に関する問題は指摘されていない)。彼が「Resolution Living」をオープンしたのは、2年後の2013年だ。「Resolution Living」は、寝室7つ、バスルーム9つ、ジム、図書室などを兼ね備え、ハイキング、ヨガなどのアクティビティを提供する。
依存症回復の専門医でテレビやポッドキャストに出演するドクター・ドリューことドリュー・ピンスキーは、ゴシップサイト「TMZ」のポッドキャストで、プレスリーは病院に行くべきだったのだと述べた。セレブが入所する豪華な回復施設は、患者から取り立てる高額な費用を、患者の回復のためではなく、美しい設備のために使っていると、辛辣な批判もしている。女優のヘイデン・パネッティアーも、オーバードーズで亡くなる数週間前、マリブの回復施設に滞在していたことが、最近、判明したところだ。結局、彼女にとってその滞在は意味がなかったということである。
入所直前に受けたケタミンセラピーは適切だった?
さらに、「Resolution Living」を訪れる前に受けていた治療に関しても疑問が浮上している。プレスリーと親しかった人によれば、医師は彼にケタミンを処方していたらしいのだ。
2023年に「フレンズ」のスター、マシュー・ペリーが亡くなったのは、まさにケタミンが原因だった。鬱の治療のため、最初は合法なクリニックでケタミンセラピーを受けていたのだが、まもなく依存するようになり、ドラッグディーラーから大量に買い付けるようになったのだ。
プレスリーもまた、鬱に苦しんでいた。ただし、プレスリーの死にケタミンが直接関係しているのかどうかは不明である。
依存症との長い闘い
プレスリーの依存症との闘いは、長い。
初めて問題を起こしたのは、19歳の時。ビバリーヒルズを運転中、警察に止められ、DUI(酒またはドラッグの影響を受けた状態で車を運転)で逮捕された。その翌年には、顔に「Misunderstood」(誤解されている)というタトゥーを入れ、周囲にショックを与える。そのタトゥーはまもなく消したが、何年にもわたって鎮痛剤オピオイドへの依存と回復を繰り返し、一度はフェンタニル(合成オピオイド)の過剰摂取で数日間意識を失ったと、昨年、本人がインスタグラムで告白している。

今年3月には、アメリカで認可されていない依存症治療を受けるため、メキシコを訪れた。彼はその効果を感じていたようで、「自分が逃げていたものに向き合えた。自分自身に立ち戻るための道を見つけたと思う」と、インスタグラムに投稿していた。今からわずか半年前のことだ。
本人も、家族も、本気で治療に挑んでいたのに、もっと何かできなかったのか。世間が解決していくべき課題は多い。
