Addiction Report (アディクションレポート)

毎年2月の「Time to Talk Day」:ひとつの会話から心の未来を変える日【海外事例】

「最近、どう?」

そんな何気ない一言が、誰かにとっての救いになることがある。イギリスで始まり、今や世界中に広まりつつある「Time to Talk Day(話す時間をとる日)」をご存知だろうか。

毎年2月の「Time to Talk Day」:ひとつの会話から心の未来を変える日【海外事例】
「Time to Talk Day(話す時間をとる日)」

公開日:2026/02/05 02:43

関連するタグ

Time to Talk Day - 誰もが心の健康について話せる社会を

Time to Talk Dayは2014年にイギリスで始まった活動で、毎年2月第1木曜日に実施される(2026年は2月5日)。

そのルーツは、メンタルヘルスに関する偏見をなくすためにイギリスを代表するメンタルヘルス慈善団体MindRethink Mental Illnessが展開していた大規模キャンペーン「Time to Change」にある。

「専門家だけでなく、誰もが心の健康について日常的に話せる社会にしたい」という願いから、この日は生まれたという。

特別なイベントに参加する必要はない。「お茶を飲みながら同僚と話す」「友人にメッセージを送る」「家族と最近の気分について共有する」といった、日常の小さな会話を大切にする日だ。
 

感情を溜め込み、自分を孤独に追い込まないために

2024年のTime to Talk DayにあわせてCensuswide社が実施した調査では、イギリス国民の64%がメンタルヘルスについて「元気なふり(brave face)」をして本音を隠しているという実態がある。とくに、18〜34歳という比較的若い世代ではこの傾向が顕著だ。

こうした今の社会を変えていくために、現在は大手小売企業のCo-op(コープ)が公式パートナーとして活動を牽引。2025年のTime to Talk Dayでは、5000人ものメンバーが準備段階から協力したという。

そのほか、職場や学校で対話の機会を設けているケースもある。
 

依存症と「話すこと」の深い関係

じつは、依存症とメンタルヘルスは、切っても切り離せない密接な関係にある。

依存症は「孤立の病」とも呼ばれる。誰にも言えない苦しみやストレスを解消するために、特定の物質や行為にのめり込んでしまうケースは少なくない。

また「意志が弱いからだ」「自業自得だ」という偏見を恐れて声を上げられないことが、症状を悪化させる要因となる。

Time to Talk Dayの目的である「オープンに話すこと」は、依存症を取り巻く「恥」の感覚を和らげ、適切な治療や支援につながるための重要な第一歩にもなっているのだ。
 

打ち明けられた時、どう向き合うべきか

もし、誰かがあなたに何かを打ち明けてくれたら、こんなことを意識してみてほしい。

①「ただ聴く」ことに専念する
解決策を提示したり、アドバイスを急いだりする必要はない。「話してくれてありがとう」という感謝を伝え、相手のペースに合わせてみよう。

②判断(ジャッジ)しない
「それは間違っている」「もっとこうすべきだ」という批判を脇に置き、相手が感じている苦しみをそのまま受け止める。

③「はい・いいえ」で終わらない質問を投げかける
「どう思った?」「今一番困っていることは?」といった言葉は、相手のが気持ちを語ったり整理したりする助けになる。

④自分の限界を超えた無理はしない
相手の全てを背負う必要はない。深刻な状況だと感じたら、プロの支援先があることを優しく伝えよう。

また聞き手になった後は、自分自身を労う時間も意識的につくろう。
 

自分の気持を共有したい人へのヒント(話し手の心得)

自分の気持ちを言葉にするのは、大きなエネルギーがいる。まずは以下のヒントを参考に自分に合った方法を探してみると良い。

①自分に合ったツールを選ぶ
対面にこだわらず、電話やチャット、あるいは自分の気持ちを書き留めたメモを活用しても良い。

②話しやすい「場所と形」を見つける
対面ではなく隣同士で座る、コーヒーを飲みながら、あるいは散歩や料理をしながら話す、などリラックスできるかたちを選んみよう。

③話したいことを練習する
最近考えていること、ぼんやりした感情などを、できる範囲で頭の中で整理したりメモしておくと話しやすい。

④生活への影響を説明するかたちでもOK
感情そのものの説明が難しければ、「眠れない」「集中できない」など、生活への具体的な影響を伝えることから始めてみよう。
 

身近な人にこそ話しにくい。そんなときの相談先・支援制度

家族や友人とメンタルヘルスについて語るのは敷居が高い。そんなふうに感じる場合は、公的な相談窓口を利用したり、同じような悩みを持つ人たちと匿名で話せる自助グループに参加してみるのもおすすめだ。

公的な相談窓口

  • 精神保健福祉センター 各都道府県・政令指定都市に設置されている。本人だけでなく、家族からの相談も可能だ。
  • 保健所 身近な相談先として、保健師などが対応している。
  • こころの健康相談統一ダイヤル: 0570-064-556(全国共通)

仲間とつながる(自助グループ・家族会)

「今日、誰かと話してみよう」

メンタルヘルスについて話すことは、弱さを見せることではない。自分や大切な人を守るための「強さ」の第一歩だ。

今日という日が、あなたにとって、あるいは周囲の誰かにとって、「話してもいいのだ」と思えるきっかけになることを願っている。

コメント

コメントポリシー

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが確認した上で掲載します。掲載したコメントはAddiction Reportの記事やサービスに転載、利用する場合があります。
コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただいたりする場合もあります。
次のようなコメントは非掲載、または削除します。

  • 記事との関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 特定の企業や団体、商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 事実に反した情報や誤解させる内容を書いている場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合
  • メールアドレス、他サイトへのリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。以上、あらかじめ、ご了承ください。