Addiction Report (アディクションレポート)

「自分を丸ごと受け入れてくれる相手なんているわけない」 恋愛に狂わずに済む方法

作家の赤坂真理さんと雨宮処凛さんがアディクションについて語る対談。第3弾は恋愛についてで、二人の姿勢の違いが明らかになります。

「自分を丸ごと受け入れてくれる相手なんているわけない」 恋愛に狂わずに済む方法
恋愛における依存について語り合う雨宮処凛さん(右)と赤坂真理さん(左)(撮影・後藤勝)

公開日:2024/09/16 08:09

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作家の赤坂真理さんがアディクションについて考察した『安全に狂う方法 アディクションから掴みとったこと』(医学書院)。

この本を読んで救われたという作家で活動家の雨宮処凛さんとの対談の詳報第3弾は、恋愛について語り合います。(司会・まとめ 岩永直子)

自分を丸ごと受け入れてくれる人なんていない、という諦め

(赤坂さんは本の中でも自分のことを気にかけてくれないお母さんとの関係に苦しんだり、愛する人との関係で、相手を殺すか自分が死ぬかまで追い詰められたりした経験を書かれています。とはいえ、家族とのつながりに救いを求める物語は巷にあふれていますね)

雨宮 『安全に狂う方法』を読んで思い出したのは、ある程度、近くなった関係の人とは全員、殺しあうぐらいの関係になってきたということです。ならないですか?そんな関係にならなくなったのは最近のことです。

赤坂 わたしも、思えば恋愛で感情トラブルを持ちやすいたちで、自分でも自分が面倒くさかったんですけど、原因不明だと思っていた。でもそれ、わたしが特にメンヘラだからじゃないらしいんですよ! 瞑想の先生によれば、それみんなそうみたい。程度の差だけで。それ聞いた時少し安心したんですけど。

最もよくある愛は、ロマンティックラブという、性愛を伴う愛でしょう。そこには所有欲(独占欲)、嫉妬などがセットでついています。期待も。それらが分かちがたくついてる。なので、人によって程度の差はあっても、ほとんどすべての愛は、時間の問題で憎しみに変わるんだと言うのです。すべての期待はいつか裏切られますよね、他人なんだから。それに恋愛じゃない関係だとしても、人と人の惹かれあいって、全部、恋愛に似てるんですよ。

で、思い出してみると、愛について書かれたほとんどすべてのものが、「愛と憎しみの劇場」「愛と苦しみの劇場」なわけで。火曜サスペンスだけじゃなく、古今東西、文学も音楽も歴史もほとんどそうです。

そういうレベルを超えて愛すること、人とかかわることは、意思と技術の問題になってくると思う。愛にこそ、技術がいる、っていうのが、この頃のわたしの考え方ですね。あと、本当の愛は、対象がなくてもあるものだと思うんです。でも一気にそこへは達せないから、対象を経由するんじゃないでしょうか。もちろん、この考えを忘れて対象に執着したり怒ったりしてることは、あります。ハッともどる!

雨宮 でもすんなり愛に到達している人もいるみたいじゃないですか。殺意とかもなく。みんな隠しているだけなんですかね。

赤坂 「夫(彼氏)に殺意を持ちました」とかは、案外いますよ。他のカップルや家族ってみんな幸せそうに平和そうに見えるんだけど(笑)、内実は、一瞬殺意を抱くくらいは本当によくあるんじゃないか。

「満たされない」「不満を溜めている」くらいならたくさんいるでしょう。満たされなさは、相手を恨みます。なんなら「爆発寸前」という人も、存外いるのでは。「自分を抑圧している」っていうのもいて、これは、一見平和なんだけど、危険な状態だと思う。それと違和感や対立や衝突がないことと、「愛である」ってことは、まったく違うことだと思います。

雨宮 なるほど。ただ、今思うと、若い頃の刺し違えるような、好きなんだか意地なんだかわからないような、ものすごく傷つけ合うような関係は、結局、全部自分の問題だったんだなと思います。

赤坂 どういうこと?

雨宮 相手が悪いわけではなくて、たぶん誰が相手でも、自分のコンプレックスをぶつけていた。とにかく自分が大嫌いで、だからこそ誰かに受け入れてほしくて「私を全部受け入れろ」と迫るようなことをしていた。相手にすごく迷惑をかけたなと今では反省しています。

赤坂 自分が欲しくて満たされなかったものを、相手に求めるんだろうね。具体的には、親からもらえなかったものを、もう一度、親子関係と同じくらいの「接近戦」の関係にある性愛の相手に求めるのではないかしら。それもある意味の自然というか、しょうがないとは思うけど。

ちなみにわたしもそうだったと思う。何度セラピー的なセッションを受けても、ママのことが出てきちゃうことがあって、「この期に及んでもママか!」と叫んだら、「どの子もどの期に及んでも、ママなのよ」ってセラピストに言われたことがあって、それは安心しましたね。

雨宮 やっぱりその辺りに大きなものが隠されているんですね。ちなみに自分の若かりし頃を思うと、それまでの人生の不全感、満たされない思いを全部ぶつけて、自分をまるごと受け入れろというとんでもない押し付けをしていた。当然、全部受け入れてくれる人なんているわけないじゃないですか。やっとこの年になってわかった。

赤坂 わたしは、受け入れてくれるというか、自分の可能性を全開にしてくれる誰かはいるんじゃないか、ということを思うところがある。

雨宮 思っちゃうけど、そんな人はいないってわかってますよね?

赤坂 わかったという感じだよね。わかっている、という感じではなくて、ああ、私にもそれがわかった、という感じ。

雨宮 絶対どこかにわかってくれる、自分を全て受け入れてくれる人がいると思っている時は苦しかったですね。今は誰にも何も期待していない。自分だってこんな自分を受け入れられないのに、人に受け入れろだなんてとんでもない迷惑行為だなと思っているので。

ホスト狂いは夢の恋愛の行き着く先?

(そんな達観しているんですね。私は50にしてまだ夢見ちゃっています)

雨宮 え?自分を全部受け入れてくれる人がいるって?そんな人、いるわけないじゃないですか!

赤坂 でも私もちょっと思うことはあるよ。

雨宮 1時間50万円ぐらい払えば、1時間ぐらいそんな思いをさせてくれる人がいるかもしれない。そんなのは全部有料サービスだと思ってますよ。

赤坂 だから人はホストにハマるんだと思います。こういう恋愛がしたかったという夢を叶えてくれる。そこにいっぱいお金を注ぎ込んでしまう。でもそれが有料サービスだということと恋愛が区別がつかなくなって、執着したり、ホストを刺したりする人がいるわけじゃないですか。

雨宮 ホストを刺して「好きで好きで仕方がなかった」と言った女性がいましたね。

(お二人の話を聞いていると夢が壊れますね。どこかにこんな自分でも丸ごと受け入れてくれる人がいると信じたいですよ)

雨宮 すごいですね。絶対そんな人いないですよ。断言します!いるわけない。しかもそれが自分好みの顔とか思っているわけですよね。そんな奴いるわけないから!好きな見た目の男が全部受け入れてくれるなんて絶対ないと思う。

赤坂 すごいね!処凛ちゃんの達観ぶり!

雨宮 二人の方がすごいですよ。夢を見る力が。

赤坂 夢を見る力(笑)。

(なんでそんな冷めているんですか。どこかにいるかもしれないって思いたいじゃないですか)

雨宮 ああ、でも私は猫にぶつけているから、愛情を注ぐ対象があるから余裕がある。これが対象がなくて、愛情を持て余していたら大変です。自分の面倒くささを知っているので、猫にぶつけることで社会に迷惑をかけないようにしているんですよね。

推し活は見返りを求めないけれど

(雨宮さんは最近、推し活もしているんですよね)

雨宮 そうそう。

赤坂 だれ?

雨宮 ビジュアル系バンドです。今は若いバンドですね。

(でも推しは好きでも、それに見返りは求めないわけですね)

雨宮 全く求めないです。ただ推したい。

赤坂 推しに見てもらいたいという望みはない?

雨宮 あります、あります。でもそれも枯れ果てさせようと思っています。だって迷惑がかかるじゃないですか。見てもらったところでお目汚しにしかならない。

(そんな自虐しなくたって笑)

雨宮 お金を使って、推しの電気代の足しくらいにはなりたい。その一員でいい。赤坂さんは推しに認識されたい方ですか?

赤坂 スターに会って認識されたいと思ったことは、過去にはあるかな。今危ないのは、スターというより、会えるような距離にいる「プチカリスマ」じゃないですかね。そのへんは、深入りせずに離れることにしてる。わたしはそのへんが危ないんですね。今現在はいないんだけど、ひょっと出てくることがある。あ、また来たか、今度はこの人か、みたいな。異性にも限らないんですよ。

雨宮 良かった。良かったって言ったらいけないけれど(笑)、赤坂さんが推すと結構大変なことになりそうじゃないですか。

赤坂 そっか(笑) まあ、人物アディクションしやすいのは、認識してる。

ファンビジネスもアディクションの一つ

雨宮 ファンビジネス的なアディクションについても書かれていましたけれど、そういうのにハマったことはないんですか?

赤坂 あるある。普通の人です。友人でなんなら会えちゃうような人。わたしはこの距離がやばいかもしれない。向こうもアディクション的な感情を不特定多数に起こせることを知っていて、文通権とか、サシで飲みに行く権とかを有料サービスで売ってたりした(笑) これ悪いことしてるわけじゃない。でも危ない人には危ないんですよ。ファン間で競うと、ホストへのドンペリ合戦と同じになるし。

雨宮 それは危険ですね。

赤坂 でもそこにアディクションが起きているというセンサーは今は働くわけ。「今、この人に対してアディクションが起きている」と気づくと、スパッと切るしかないんだよね。明日行くと言っていたイベントに、「もう行かない」と決めて布団をかぶって寝る。

そういうふうになることがあるし、なんでここまでなるのかわからないんだけど、そういうのが上手い人がいる。

雨宮 ファンサービス的な、恋愛的なものを振り撒く。しかも近しい関係だったらよりハマるでしょうね。

赤坂真理さん(撮影・後藤勝)

赤坂 今のビジネスのキモは、どれだけ恋愛アディクションを起こさせるかにある気がする。だから、するほうも危ないことがあるんじゃないか。あるYouTuber男性が、いろんな子に色恋営業をして、その中で彼女格だった女子高生に、当てつけのように自殺をされた事件が松戸でありました。しかも彼女は自殺を公開ライブ配信しました。彼への究極の承認欲求も感じる。自殺された方は、たしかに忘れられない。

「推し活」がこんなに盛んなのは、恋愛のハードルが上がっているけれど、誰かを愛してたいから、と聞いたことがあります。

境界が曖昧なものは、努力すれば接触可能に見える。逆に境界を曖昧にすることでビジネスチャンスを創出しようというやり方が今ある。スターでその境界を壊す商法をしたのはAKBでしょう。一般人もこれを本能的にやったり、ビジネス講座で教えられたり、教えたりする人もいる。

雨宮 そうですよね。特に恋愛的なものって、どこまでがビジネスでどこからがプライベートなのか線引きが難しい。推し活やファンビジネスが盛りの今、20代だったら本当に大変だと改めて思います。ある程度枯れてきた今になっての推し活は平和なのでよかったです。猫もいるし。

赤坂 愛のパワーを、猫と推し活に全部できるのですか?

雨宮 自分を理解してくれる男の人なんて絶対この世にいないという確固たる信念があるから。

赤坂 それを聞いて今、すごく楽になった。

雨宮 何十年生きてきてそんな男に会ったことありました?映画とかでしかないでしょう?

「別の人の方が良かったんじゃないか」と悔いた祖母と母

赤坂 想像力の特権であり、罠なんだけど、「ifもの」を考えられる。あの時ああだったら、とか。あの人とならこうだったのでは、とか。そしてそれってすごくある意味魅力的な想像で、その想像に持って行かれてしまうことがあるんじゃないかな。自分にもたまに発動します。恋愛にも限らず、学校選択とか職業選択とか。

そういう想像って、ものすごくアディクティブなんですよ。苦しいんだけど、出る脳汁がどこか美味しいんだとしか思えない。妄想アディクション。自分を救いながら苦しめているというような。それは、無価値感につながりかねないから、苦しいんだけど、やめられない人が多い。

わたしの母親にもあったんです。別の人と結婚した方が良かったんじゃないかというようなことを、言うことがありました。父親は、家を抵当に入れて事業に失敗した人なんだけど、そういう人だから元々浮き沈みがあった。魅力があって優しい人だったけれど、安定した別の男の方がよかったんじゃないかと言うことがありました。そういう縁談が実際あったらしくて。忘れた頃に言う。祖母にもそんなことがあったらしい。

雨宮 それはすごくショッキングですね。

赤坂 祖母はまだ家父長制が強い時代に駆け落ちまでした人なんだけど、祖父は酒の上での問題があったらしく、祖母は別の人と一緒になった方が幸せになれたのでは的なことを言うことがあったって。でもその人とでないとあなたたちには会えなかったから、と子どもたちに言ったと。これ複雑な心情で、もしかしたら言われた子どもたちは困ったのでは、と思ったことがあります。

雨宮 本当ですね。

赤坂 ちがう選択をしたらちがう現実があって、それは今よりよかったかもしれない。そのストーリー妄想の、どこに得があるのかわからないんです。でも自分もすることはあるんです。

雨宮 そういうストーリーが自分の救いになっていたところがあるんですかね。

赤坂 救いかどうかはわからない。人がどうしてそういう想像をしてしまうのか、自分も含め、よくわからない。今がよくなく思えるし、控えめに言っても、時間の浪費。でも多くの人にとって、それは、やめにくい想像だってことです。今ここにないことの想像ってなぜか癖になる。ハマりやすい。それは自分を幸せにしないのに。思考の癖って難物なんです。これこそをアディクションと、『安全に狂う方法』の中では位置づけました。やめたくてもやめられないんですから。アディクションは酒や薬物が本質ではない。

雨宮 まさにそうですね。

赤坂 親子や家族で気質が似てたり、うつったりってところはあると思うんですが、こういう気質の人は、他人の中にもけっこういるんですよ。

雨宮 私は別の選択してたらって思ったことないな。

赤坂 ない?それは幸せなことだ。

雨宮 最初からなんの期待もしてないんですよ。

赤坂 最初からないの?期待していた頃はない?

雨宮 そこまでは期待していないですね。受け入れてほしいという気持ちはあるけれど、30代になった頃から、誰であってもろくでもないと思うようになりました。男に限らず人類なんて。

赤坂 人類まで言うとさぁ……。

雨宮 誰にも期待していないので、誰とどうなってもたいして変わらない。その人が幸せにしてくれることなんてない。だから期待しないです。

恋愛について意見が分かれた雨宮さん(右)と赤坂さん(左)(撮影・後藤勝)

赤坂 なるほど。他人に期待せずに他人と関われたら、けっこういい関係じゃないかって思ったりもするんですが。でも物語の心理描写って、けっこう、期待したり、それが裏切られたと思ったり、そんなことでできていたりもするので、物語が面白くなくならないですか? わたしは実は物語が読みにくいんですが。

男によってなんとかなった経験なし

雨宮 そんなハッピーエンドのものは読まないです。あと、私はロスジェネで、高校出たら就職氷河期でそれからずーっと同世代の周りの男がみんな貧乏だったから、男がなんとかしてくれる経験をしていないんですよ。高いご飯を奢ってもらったとか。周りにも金持ちと結婚した人も一人もいない。

赤坂 ロスジェネにも金持ちはいるにちがいないと思うのですが。

雨宮 いるんだけど、周りにいない。だから男によってなんとかなったという成功例が周りにいないし、自分もそんな経験をしたことがない。

なんなら「金貸して」とか、金を取られた経験しかないから。そこからスタートだといいですよ。期待しないで済むから。

赤坂 世代をずらして年上にしてみるとか、年下にしてみるとか。

雨宮 年下はもっと貧乏じゃないですか。年上は老害じゃないですか。

(爆笑)

赤坂 それは決めすぎでは!(笑)

雨宮 男性一般に期待しなくて済んだことは良かったなと思います。

(恋に落ちたら、期待するとか期待しないとか考えないんじゃないですかねえ)

雨宮 自分の何かを良くしてくれる相手としては期待しない。

(自分がこの人を幸せにしたいという惚れ方もあるでしょう?)

雨宮 それはありますね。

赤坂 恋とか愛とかってそもそもコントロールできるもの?

雨宮 できないです。できないけど、大して期待していない。

赤坂 恋に落ちないというわけでもなく。

雨宮 でも過剰な期待はしない。過剰な期待をしたら迷惑をかけてしまうからというのはあるかもしれませんね。

赤坂 いい子だなあ!

雨宮 迷惑をかけて引かれるかもしれない。

赤坂 迷惑って、一方的にかけることもない気がする。

雨宮 でも、「好き」とかはありますよ。

赤坂 それでも恋愛にならないの?

雨宮 なりますよ。でも別に相手に何か過剰なものを期待しない。殺し合いになるような関係に持ち込みたくないから。

赤坂 そこなのか。

雨宮 それはありますね。そういうのがきつかったので。結局、自分の問題を相手に押し付けていたから。

赤坂 「自分が大変だから」と「相手に迷惑」のどっちが大きい?

雨宮 うーん。殺し合う、殺すかもしれない状況になったら大変じゃないですか。何もできない。生活が破綻する。下手したら死ぬ。それがすごい怖いのだと思います。

赤坂 その気持ちわかるんですけど、だからこそ愛には技術が必要なように思うんです。愛を抑圧せずに表現して、それが憎しみにもなっていかない方法。自然状態だと愛は憎しみに変わる。愛を愛として咲かせられるかというのが私の探究です。それは特定の相手に限らないのかもしれない。

愛されなくなったら女として終わり?

赤坂 一方で、世の中には「恋をしなくなったら女として終わるのではないか」と怖がる人もいるわけじゃない。そういうのはない?

雨宮 えー。そんな人いるんですか?

赤坂 結構いると思う。

 あまりそういう感覚はないな。恋愛しないと女が終わるとか考えたことはないな。

(中村うさぎさんはそんなことをおっしゃっていました。女性として見られる、求められることがなくなったら終わりだという恐怖を感じていたと。女性向けの雑誌もそんな脅し文句に溢れていますよね)

赤坂 うさぎさんは、「自分がまだ女として求められるかを知りたい」と言って風俗嬢をしてその様子をルポしたじゃないですか。あれはとても極端ではあるけれど、多くの女の欲望と不安をすくいとっていました。でもきつかったと思いますね。そこまで追い込むのかって、ショックが見ていてありました。

メディア巻き込んで公開でやるのは、独りでやるよりは身の安全が確保されているけど。つまり路上で客を取った東電OLみたいに殺されたりはしない。でもメディアを巻き込んだ公開はそれはそれで、エスカレートするところがある。ショッキングなコンテンツは好まれ、飽きられてもし、飽きられるのがまた怖くもなりエスカレートする。自傷劇みたいな感じもしたんですよね。

雨宮 うさぎさんの風俗ルポは私も読んでました。その時に、この辺りの問題を突き詰めるとここまで行き着くのかと衝撃を受けたことを覚えています。東電OLのことも含め、その辺、女の地雷だらけなので、あえて目を逸らしてきた自覚はあります。もうひとつ、日本の社会は常に若さ至上主義だから、30歳ぐらいでババア認定されるじゃないですか。その時に経験していませんか?社会的には女と見られなくなる、みたいな。

(お二人ともとても綺麗にしてらして、見た目も女性らしく維持していらっしゃるのは、純粋に自分のためだけですか?綺麗と思われたいという気持ちはないですか?)

赤坂 これは趣味なのです。自分ウケが大事。自分が自分を好きで愛でられることが大事。ご質問に答えるなら、私は、綺麗と思われるのは、好きです。でもそこを求めると苦しい。他人の評価で生きるのは苦しい。自分で自分に与える。あと、恋愛というか「恋愛感」が好き。愛って、無から生まれ、その時は、わかる。そこは不思議で、そこは大事。それはいわゆる恋愛に限らないと思う。

雨宮 なるほど。私は女コスプレしている感じですね。それはそれで楽しい。周りの人の、特に男性からの扱いがガラッと変わるのも面白い。ゴスロリしてた頃とか本当に珍獣扱いでしたが、それはそれで平和でした。

赤坂 人生はすべて、聖なるコスプレだと思っているのです。セクシュアリティ的には、内面が男で、女をやってる自分を見て、好き、というようなところもあるんです。

(続く)

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コメント

2日前
まりえ

「自分だってこんな自分を受け入れられないのに、人に受け入れろだなんてとんでもない迷惑行為だなと思っているので」

、、、そうですよね。トホホ。私はこれをしてしまい、もちろん結婚生活はうまくいきませんでした。

人で自分の不全感を埋めようとするのもアディクションで不健全だなぁと改めて思いました。自助グループや12ステップで不全感を埋める環境が今は揃い、心の底からよかったです。

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