「待っていてくれたファンは神様でしかない」 一度つまずいた田中聖が再び顔を上げて歌い始める理由
新しいアルバムやシングル3曲を引っ提げて帰ってきた元KAT-TUNの田中聖さん。再スタートを切り、これから何をしようとしているのでしょうか?

公開日:2026/09/25 03:00
刑期が満了し、音楽活動を再開した元アイドルグループKAT-TUNのメンバーで、ミュージシャンの田中聖(こうき)さん(40)。
刑期より早く出所して、どのような日々を過ごしてきたのか。また、これから何をしようとしているのか。
Addiction Reportの独占インタビュー、後編をお届けします。
出て一カ月は鬱で動けず
——今年2月25日、長野刑務所を出た時は家族が迎えにきたのですね。出た時はどういう気分でしたか?
戸惑いの方が多かったかもしれません。最初の一カ月は鬱で動けませんでした。
——出られて嬉しいという気持ちではなく?
刑務所の中で自分の罪は軽い方で、周りは犯罪者しかいなくて、10年、20年入っている人が当たり前だし、無期懲役の人もいっぱいいる。でも外に出ると周りはみんな普通の人です。自分がどう見られるかわからない。

塀の中ではしょんべん刑だった俺も、外に出て普通の人たちの中に入れば凶悪犯だという感覚はあるし、やっぱり環境も変わり過ぎる。出てすぐのコンビニに寄って、「なんでも好きなもの買いな」と言われたけれど、選べない。選べないのが当たり前の2年だったので、コンビニに入っても何を選んでいいのかわからないんです。
食べたいものも飲みたいものももちろんあるんだけど、何を選んでいいのかわからない状況でした。その後すぐに保護観察所に行かなければいけなかったので、サービスエリアで飯を食おうかとなった時に、フードコートみたいなところで「なんでも好きなもの食いな」と言われても、カレーもラーメンもうどんも洋食もあるのに、何を選べばいいのかわからない。
——それは後遺症みたいなものですね。
いわゆる拘禁症とか拘禁反応っていうやつでしょうね。2年でもこれなんで、10年、20年いる人はもっとしんどいだろうなと思います。結局きょうだいが並んだところに一緒に並んで、「何食べんの?じゃあ俺はこれ食べる」と、兄弟が選んだメニューの下にあるオムライスを頼みました。うまかったけど、量も増えなくなっていたので、残してしまいました。
生ものもしばらく食えなかったんです。中では2年間一切生ものが出ないので、出て刺身とかを食べると必ず当たると言われていました。
——鬱になったというのは、どういう状態だったんですか?
動けなかったですね。ずっと家の中で寝ていました。
——その間は何を考えていたのでしょう?
何も考えていませんでした。何か考えたら動かなくちゃいけないと思っていたので。いろんなところに挨拶にいかなくちゃいけないと思いつつ、何もできない感じだったんです。
——ご家族は心配されたでしょうね。
もちろん。でも家族としては、そこでフラフラ遊ばれるよりは家にいた方がいいと思われていたかもしれません。
自助グループや回復支援施設に参加
——1カ月ぐらいそんな風に過ごした後は?
やっと周りに、「出所したよ。迷惑かけてごめんね」という連絡を取り始めました。支援者の田中紀子さんが誘ってくれた自助グループも1回断ったと思います。
——最初に外出したのは?
コンビニだったのかな。よく覚えていません。
——徐々に慣らしていって、自助グループに最初に行ったのは2カ月ぐらい経ってからですか?
そうです。3月か4月だったと思います。高知東生さんとかに会って、「おお久しぶり!」と受け入れてくれたり、喜んでもらえたりしました。それ以降は月1回、通っています。仕事があった時だけZoom参加になりましたけれど、それ以外は毎回対面で出席しています。
——そこで何を語っているのですか?
その時のテーマによりけりですね。
今日は、薬物依存症から回復を続けている仲間たちとのイベント。
— 高知東生 (@noborutakachi) September 12, 2026
著名人の仲間も増えてきて、だんだんと海外のグループの様になってきて嬉しい。
「もうやらない」という言葉だけじゃなく、自助グループに行くのが当たり前になって欲しいと思ってる。 pic.twitter.com/EBVu3hXk97
——ダルクにも行かれたそうですね。
山梨のダルクにも行きましたし、回復支援団体の大きな集まりにも行きました。高知さんとか、塚本堅一さんとか、橋爪遼さんとか、田中紀子さんとか、マーシー(田代まさし)さんもわざわざ予定を合わせてくださって一緒に行きました。
——ダルクでは何をしたのですか?
いつもの自助グループと一緒で、分かち合いのようなことをしましたね。
レコーディングやミュージックビデオ撮影も
——そうした回復のための活動もしつつ、音楽活動も始めたそうですね。
レコーディングをしたり、MV(ミュージック・ビデオ)を撮ったり、いわゆるアー写(アーティストの宣伝のための写真)も必要なので、そういう写真を撮ったりもしました。音楽を通して誰かの役に立てたらと思い、音楽療法士の資格も取りました。

——音楽活動はいつ頃から始めたんですか?
もう出て一カ月後ぐらいから始めました。中にいる時からやろうと思って出てきたので。
他には一番下の弟が、ライバー(ライブ配信する人)をやっているので、その企画を考えてあげたり、毎月グッズを作っているのでそのデザインをしてあげたり、いろいろやっています。
出てから土台としての事業を何かしてもいいのかなと思いつつも、先立つものがないとどうしようもないので。今後生きていくうえで40歳になるのに貯金がないのは問題なので、毎月そこそこの貯金をしながら、今は音楽活動も初めているところです。
音楽だけで食っていこうと思うといっぱいいっぱいになってしまうし、音楽も嫌いになりかねない。だから他のデザインもやったり、裏方仕事もやったりするとたぶん楽になる。音楽も楽しくできるのかなと思っています。
——ジャニーズで稼いだ貯金は?
個人事務所の人に騙されてスってしまって、今生活をするための土台を作り始めているところです。自分は会社を作ることができないので、親父に代表になってもらって会社も立ち上げました。自分の個人事務所でもあるし、事業内容としてアパレルとか飲食とか美容とか不動産とか、とりあえず入れられるものは全てぶち込んだ会社があります。
「ファンは本当に宝物」
——刑務所に入る前と入った後、心持ちは変わりましたか?
でも一番しんどかったのはコロナ禍でしたからね。コロナが明けるか明けないかぐらいの時に最初に捕まっています。めちゃくちゃいっぱいいっぱいだったんですよね。仕事がないからライブをやらなきゃいけないけれど、ライブをやっても客が入らない。仕事をすればするほど赤字になる状況で、がむしゃらにやりすぎて疲れてしまった。

3年間一日も休みなく毎日20時間働いても赤字になるし、それを補うために隙間時間でYouTubeで生配信をやって、ほぼ寝られていない状況でした。
——それで覚醒剤に頼ったわけですよね。
そうですね。それが理由としては一番大きかったですね。
今は単純に俺が変わったこともあるんですが、だいぶ気持ち的にも余裕がある。世界情勢も変わったので、気持ちが楽になりましたね。コロナの時期はどこに行っても、何をしてもしんどかった。もう表に立つだけで何しても叩かれましたしね。
——刑期が満了になって、24日から一斉に情報解禁となって、再出発されると思うのですが、きっとそれでも叩く人はいると思います。それに対してまたキツかったりへこたれたりした時に、薬に頼りたくなるようなことはないでしょうか?
そういう叩く声も当たり前にあるものだと思っているし、背負うべきものだと思っています。キャラクター的なものもあると思うのですが、昔から叩かれやすい人間ではあったので、誹謗中傷にはそこまで左右されていないかもしれません。
もちろんしんどくないかと言われたら、しんどいというよりは多少イラッとすることはある。俺の情報は見なきゃいいだろうと思うのに、わざわざ俺を検索して、見にきて文句書いているのは暇なのかなと思います。そんなことを書くのがカッコいいと思ってやってるのかなと疑問にも思います。でも俺としては、結果を見せるしかないと思っています。
——その一方で、田中さんのことをずっと待っていたファンがたくさんいると思います。その人たちに対してはどういう気持ちで24日の再出発の日を迎えたのでしょうか?
俺からすると、あの人たちはもう、たぶん、そこらへんのアイドルが言うのより本当に心の底から宝物だし、神様みたいな人たちなんで、あんな強い人たちはいないと思います。俺を推すって、相当壁があるはずです。今までその壁を超えてきて、未だに「待ってるよ」と言ってくれるのは、生半可な気合じゃない。
俺なんかより確実に何百倍も強い人達なんで、俺が誹謗中傷だったりなんだりにへこたれない強さも、家族とファンがいるから持てているのだと思います。その人たちさえわかってくれればいいや、と思っています。
イケイケの曲も、ラブバラードも、人生の歌も
——第一弾の曲は。
曲というよりも、アルバムを出します。「KING'S BACK」というタイトルです。
そして11/5の誕生日には「Life 〜encore〜」というタイトルで復帰コンサートをします。
——アンコールの人生ですね。これは再出発の気持ちを込めているのでしょうか。
まさにLifeは人生ですし、この人生をステージで言ったらアンコールなので。

——アルバムにはどういう曲が入っているんですか?
いわゆる今までみたいなイケイケな曲もあるし、ラブバラードもあるし、Life 〜encore〜という曲もあります。
——アンコールの人生ですね。これは再出発の気持ちを込めているのでしょうか。
まさにLifeは人生ですし、この人生をステージで言ったらアンコールなので。
——最初にシングルカットするのは。
リード曲を3曲作ろうと思っています。今までのようながっつりしたバンドのイケイケな曲もあるし、今風なラップの曲もあるし、Life 〜encore〜はエモい曲です。
思ったのが、いろいろな事件があったにせよ、音楽のスタイルをいい子ちゃんにしすぎるのはファンの人は求めていない。曲は、エンタメであって、表現なので、今まで通りの攻めたイケイケなのも作りつつ、今だからこそ作ることができるライフ・アンコールみたいな曲も作りつつですね。
——MVも作られたのですね。
はい、3曲撮りました。
——Xで警察官に両サイドから押さえつけられて抵抗する振り付けのMVが流れてきました。あれは自分の状況を皮肉っている感じなのですか?
攻めた曲を作りたいと監督に相談して、牢屋みたいなMVもいいんじゃないかと話したら、監督が「こういうのはどうですか?」と提案してくれたんです。
——やはり自分は誤解されているという気持ちを表現しているのでしょうか?
MVを見て、きっと「こいつ反省してないな」と言う人もいると思うのですが、アーティストだし、表現だし、エンタメなので。反省しているからこそこういうことができるし、海外のアーティストもそういう表現をやっています。あくまでも俺の中では表現の一つです。
反省してへこみすぎていると、逆に待っていてくれたファンに失礼だと思っています。もちろん反省はしているし、背負わなければいけないと思っているし、償っていかなければいけないと思っているけれど、それとアーティストとしての表現は別です。それはそれ、これはこれなので。
24日にその警察官のMVの「KING'S BACK」を出し、25日に「Life 〜encore〜」を出し、26日に「Re:born」を出します。最初に攻めたのを出して、自分の人生も見せて、そこからもう一度生まれ変わる。順番も一応考えました。
——新しい曲が世の中の人にどう受け入れられるか、自信満々ですか?それともちょっと不安ですか?
あまりどっちも考えてないかもしれないですね。それこそ逮捕されていようが、されていまいが、何しても受け入れる人は受け入れるし、拒絶する人は拒絶する。だからこちらのやることは変わらない。
ただ、楽曲やMVのクオリティとしては、一個も手は抜いていません。カッコいい曲だし、カッコいいMVなので、エンターテイメントとして見てもらえれば、響く人には響くんじゃないかな。元々、大衆受けするような歌謡曲を歌っているわけではないし、どちらにしてもこれしか俺にはできないので。
元の場所には戻りたくない でもこのままでいいとも思えない
——日本では薬物で逮捕された経験のある人は、田代まさしさんもそうですし、高知東生さんもそうですが、二度と芸能界の表舞台に呼ばれないようなところがありますね。我々はそういうのを変えたいし、やり直す人を応援するリカバリーカルチャーを日本にも作りたいと思っているのですが、どう思われますか?
もちろん変えたいと思うし、自分がその一翼を担えるならいくらでも協力したいと思います。かといって、どうしてもあの世界に戻りたいかと言われると、そうでもないかもしれない。
——もう自分はそこから抜けたんだと。
そうですね。僕はそこに人生をかけてきたし、自分をすり減らしてやってきたけれど、大きい事務所を抜けたというだけで、くだらない忖度でその全てをなかったことにされました。手の平返しもされたし、正直傷つきました。俺には看板以外何もないんだと、思ってしまったところもあります。
だから今更、必死こいてそこに戻りたいかと言われたら、そうではないかもしれないですね。

——そうではない、自分の居場所みたいなものを探している?
そうですね。そんな場所は自分の中で見つけられればと思います。地上波が全てではないし、他にも色々活躍できる場はあると思うので。
——そういう意味ではいい時代になりましたね。
そうですね。だから、自分の中では向こうからお願いされても唾を吐きかけてやる、ぐらいの感覚でいられれば楽だろうと思っているところもあります。ただ、一度躓くと二度と戻れない今の風潮が良くないこともわかるし、それを変える上で自分にしかできないこともあると思います。惜しみなく協力できればと思います。
ファンや家族にどれだけ恩返しができるか
——今後はどういう計画があるのですか?
24、25、26と新曲のMVを出して、11月5日の自分の誕生日に埼玉県の大宮ソニックシティで復帰ライブをやる予定です。とりあえず今年はそれ一本にします。
せっかく日記もつけていたので、獄中記を出したいし、せっかく視野が広がったので、音楽面でも今までやってこなかったコラボをやって、コラボ曲だけを集めたアルバムも出せたらと思います。
いわゆるヒップホップ界は、逮捕歴関係ねえよと言う人も多いんです。そういう人たちと組んで、アルバムを一つ作れたら面白いなと思います。
また、ライブをやるんだったら、どこかでツアーもやらなければいけないなとも思っています。ただ前のように年間100本ライブをやると、自分を追い詰めることになる。1本ツアーをやるだけでも、その前にやらなくちゃいけないことがたくさんあるので、それを考えると1本が限界かなと思います。自分のツアーを1本やって、あとは世話になった人のイベントやフェスのようなものに単発で出るとか、音楽を楽しめる範囲でできたらと思います。
——やりたいことが色々とあって、今は前向きな気持ちなんですね。
ビジョンはあるし、それが現実にどういう形になっていくかは別としても、現状は楽しめていますね。もちろんやりたいことしかやらない人生は無理なので、やりたいことをやるために、それに付随したやりたくないことや面倒臭いこと、多少しんどいことまで楽しめたらいいのかなと思います。
今は復帰前なので忙しいのは仕方ない。8月、9月はスケジュールが真っ黒でした。10月になれば少し余裕ができるので、今を通り過ぎたら、楽しみながら家族孝行ができたらいいなと思います。
——最後にずっと待っていたファンに向けてのメッセージをお願いします。
ほんとにきつい思いをさせたし、正直、離れた人もめちゃくちゃいっぱいいると思います。それも当たり前なんで、戻ってきてくれとも思わない。それでも、関係なく応援してくれているあなたたちは神様でしかないです。下手なことは考えず、待ってくれているファンにどれだけ恩返しできるかを考えながら動いていくのが一番手っ取り早いし、俺の一番やるべきことなのかなと思います。
音楽をやる一番の理由はファンと家族です。もちろん自分のためでもありますが、ファンが1人もいなかったら、俺は結局、呼吸もできない状態なんです。だから、これから本当に償っていこうと思うし、そのつもりで面白い派手なことも考えているので、反省していないとは思わず、あくまでエンタメとして今まで通り楽しんでもらえたらと思います。
(終わり)

【田中聖(たなか・こうき)】ミュージシャン
1985年、千葉県柏市出身。12歳からジャニーズ事務所に所属し、アイドルグループ「KAT-TUN」のメンバーの一人として活動。2013年9月、「度重なるルール違反」を理由にジャニーズとの契約を解除された。その後もバンド「INKT」のメンバーとして活動を続けたが、2017年大麻取締法での逮捕(不起訴)をきっかけに活動を休止。その後、2022年2月、同年9月、覚醒剤取締法違反で逮捕。最高裁で上告が棄却され実刑判決が確定した。この間も音楽活動を続けており、収監前に再起を誓う「Love Yourself Again」をレコーディングした。2024年2月15日に収監され、今年9月23日に刑期満了。24日に新しいアルバム「KING'S BACK」を引っ提げて、音楽活動を再開した。公式サイトはこちら。
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